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シフォンは一連の出来事を「ほえー」と声が聞こえてくる様な顔をしながら眺めていた。
それはAPが使うオブジェクトリカバリーを初めて目の前で見たのとAPの凛とした立ち振る舞いにカッコ良さを覚えた為だろう。
一同はAPを一礼とともにお見送りをした所で、カンミは終始うつむいたままのショコラに声をかける。
「さ、中に入ろう」
「で、でも…。ごめんなさい…」
「……。ショコォ…」
『この子もシフォンと同じで悪い子じゃないんだなぁ……、ちょっと手が早いのが問題だが』
「さっきも見ただろ?APがきれいに直してくれた。さっきは事故で、APは誰も悪くないと判断した。それでいいじゃないか」
ショコラは何も悪くないと遠まわしだがカンミなりに伝える。
不器用に。
だが、それでもショコラの顔は出会った頃の笑顔はない。心に刺さった棘は周りの言葉ではなかなか抜けないものだ。
どうしたものか、とカンミは無造作に頭を掻き、シフォンを横目に見る。
シフォンも「う~…」とどうしたらいいのか分からないみたいだ。
こうなるとショコラは閉じこもってしまうんだろう。
見た目や言動は大人っぽいがこういうところはまだまだ子供なんだなと小さく肩で息を一つつく。
「じゃ、そうだな。お前が劉に対して、手を出したからこうなったんだよなぁ」
カンミは腕を組み、下を向いたままのショコラに近づく。
その言葉にショコラは体の内側に力を入れるように体を緊張させる。
「え?ちょっと、カンミさん!ショコは!」
カンミの様子を察したのかシフォンが身を乗り出す。
そんな今にも走り出しそうなシフォンの肩に手を置き、身長差のある三国はシフォンの頭の位置まで腰を折り目線を合わせなだめる。
「シフォンちゃん、大丈夫。ここはカンミに任せて。
あいつならうまくやってくれるよ」
「…三国さん…。
はい…分かりました…」
「ありがとう。僕の言葉を聞いてくれて」
この度は最後までご愛読ありがとうございました!
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