2-19
「雰囲気あるねぇ。結構好きかも」
ショコラはスマホでお店を撮り始める。
こういったレトロな雰囲気のある建物はデータとして沢山存在するが、それは周りの雰囲気との統一感はなく、近代的な建物が並ぶ街並みにオーナーの好みで一つだけぽつんと時代が逆行したような、そんな違和感を残す。
しかし、この商店街は屋根・タイル・シャッター、そして、この世界には不必要である店との間にある電信柱。
この店は完璧なのである。
ショコラがニヤニヤしているのを横目にシフォンが袖を引っ張る。
「さぁ、中に入ろ!」
まだ名残惜しそうな顔をしているショコラの腕を組みお店のドアを開ける。
「カンミさんー!おはようございまーす!」
シフォンが元気よく挨拶をするがカウンターにカンミはいない。
「あれ?」とシフォンが首を傾げる。
するとカウンターから続く奥から「おはよー、キッチンにいるー」と低い声が聞こえる。
二人は店内には誰もいない事は入店時に確認をしているので、カウンターを通りキッチンへと入る。
そこには、甘い匂いに包まれた空間に、カンミがボールに入った黄みがかったとろみのあるペースト状のなにかを混ぜている。
「おはよーございます!」
「うるせー!聞こえてるわ!」
大きな声で改めて挨拶するシフォンを大声で黙らせる。
『あんたもうるさいって』とショコラは心の中でつぶやく。
そんな二人がやり取りをしている影から顔をひょこっと出し様子をうかがう赤髪の女性にカンミが気づく。
この度は最後までご愛読ありがとうございました!
これからも、合間を見つけてはこのクラウド商店街の物語を綴っていきますので
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