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ーーーークラウド商店街『ガーデンカフェ』
夕方の小さな慌ただしさから開放されたカンミは洗い物を片付けカウンターに戻る。
台下冷蔵庫の扉を開けると少なくなった商品を調べていく。
「……。
シフォンケーキがめちゃくちゃ出たな、そういや」
するとカンミはカウンターから奥へと続く部屋に行く。
ここは小さいながらもキッチンがあり、パン・ケーキ等はここで作っている。
そして、キッチン側の棚に目をやり、卵と小麦粉の残りを確認する。
「……。
材料はあるな。時間もあるし仕込みをするか」
棚からボウルや計量カップ等の道具を先に用意し、テーブルには必要なものしか用意されていない。
「……。
よし、さーて作るか」
カンミが洗った手をタオルで拭き、卵に手を伸ばそうとした時『カランカラン』とドアの音がなる。
「カンミーいるかー?」
馴れ馴れしい声がホールに響く。
聞き慣れた顔見知りの声にいらっしゃいと声をかけずに、予期せぬ来客に仕込みを一時中断し対応に向かう。