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第5話【今後の展望】

第零章 第5話【今後の展望】



アリスが連れてきたおじいさんとお嬢さんは高貴な身分の方だったようでコミュ障の俺はゴライアスに丸投げしようと思っていた。しかし、お嬢さんのほうが爆弾を落としてきてくれたおかげで俺が対応するしかない状態になってしまった。仕方ない。


「報酬は?」


こちらをきれいな青色の瞳でまっすぐ見つめてくるお嬢さんを見る。正直、報告だけ聞けば彼女の国は弱いだろう。なぜなら王女と伯爵を守る兵士が盗賊に負けかけるレベルなんだ。盗賊のレベルが高くてそれならまだしも偵察部隊で倒せる程度の盗賊に負けるのだから問題ない。


「爵位と領地を差し上げます」


「姫様!?」


おじいさんが驚いているところを見るに独断か。まぁ、王女だからと言って爵位や領地をぽんぽん上げれるわけはないだろうしな。


「あー、ロイシャ王女殿下? そんな、払われることがない報酬で俺らが働くわけないでしょ?」


ゴライアスも同じ考えなのかお嬢さんたちに威圧を放ちながら問いかける。手加減した威圧といえど並大抵のものなら失神ものをお嬢さんたちは震えながらも耐えていた。


「我が国は今滅亡の危機に瀕しています。それを救えば救国の英雄です。領地は少なくなった貴族の領地を、爵位は私があなた様と結婚なされば最低でも伯爵は褒賞されています」


おいおい、このお嬢ちゃん。自分を売るってことか。ゲームの時代背景を当てはめれば確かに娘とかを使って雇うこともあるが…。現実世界になってそれをやるだけの覚悟があるということか。


「滅亡の危機に瀕している国よりも、勝ち組に乗っかったほうが良い報酬を期待できるんじゃないか?」


ゴライアスが煽るようにそういうとお嬢ちゃんは、その意見を鼻で笑うようにして答える。


「攻め込んできた連合軍はもう我が国の分割方法など決めています。今更行ったところで分け前などほとんどなくただ使い捨てられるだけです。たとえ国王や私の首を持って行っても多少報酬をもらう程度で自由など存在しません。自由を歌う傭兵がそれでよいのですか?」


「あのなぁ、嬢ちゃん。それが、事実だとしてもその程度の報酬で「ゴライアス」はっ!」


ゴライアスは子供相手に切れたように威圧を強めていくのをみて止めさせる。そして、俺はお嬢さんに問いかける。


「傭兵である俺に嫁ぐということがどういうことか理解しているのか?」


「我が国を救っていただけるのでしたらどのようなことをされても我が夫に従います」


「ふっ。いいだろう。確かに不利な方に味方して勝った方が報酬は良いだろうからな」


「団長まじか?」


ゴライアスが信じられないという顔でこちらに確認してくる。部下の命を懸けるのだ。安易に決めていいことではないだろう。我が子らというべき存在の命を懸けるうえで報酬は多い方がよい。勝ち目がないなら逃げれる。しかし、この状況は簡単に手に入らない。今を逃すわけにはいかないのだ。


「偵察部隊が戻り次第行動に移す。君の国の状況を教えてくれ」


「私のことはロイシャと呼び捨てにしてくださいませ。旦那様」


気が早いのか頬を染めてそういってくるが、元々童貞の男にそんなことをされてもどう対応すれば良いか困ってしまう。


「そうか、ロイシャ。教えてくれるかな?」


「はい。じい説明して頂戴」


予想外にロイシャが説明するのではなくおじいさんのほうに話を振った。


「はぁ、わかりました。我が国、マドリアス王国は広大な穀倉地帯を持つ農業国です。現在、帝国率いる連合軍。まぁ、正しくは帝国の属国なので帝国軍なのですが、それらに領地の8割を奪われました。第一次戦役、国境線での戦争で第一王子率いる10万が負けていこう、貴族の離反も相次ぎ、もはや王都と我が領地、あとは子爵以下の貴族が数名程度まで落ちぶれております。王都さえ落ちてしまえばもはや再建は無理でしょう」


ため息をついてから説明してくれた。その説明を聞いて本当に危機的状態だったんだなということがわかる。国土の8割が奪われてる時点で敗北してるようなものだが、降伏や和平を結ぶこともしない。いや、できないのか。できないのだから敵は民族浄化とでも考えているのか?


「敵の兵力は?」


「第一次戦役では50万。それ以降は離反した貴族なども味方となり第一次戦役の損害を補って5万ほど追加されているようです。前に元我が国の貴族を置くことでこちらの士気低下と元貴族の力を削いでいるようですな」


敵兵力は訳11倍か。まともに正面からやりあえば負けるな。各個撃破して削るか。5倍までの兵力なら押し返せるとうのが俺の予想だ。まぁ、それでも現実的には2倍から3倍程度を相手にしたいがな。


「現在は王都近郊の最後の砦ガヌア砦が落ちてあと2週間ほどで王都攻略が開始されるようです。姫様と儂は避難と落ち延びの準備をしていたわけです」


「王都攻略の予想兵力は?」


「ガヌア砦やほかのルートに合計20万は残すと思われるので総兵力35万、先方として10万ほどを先行させるかと」


10万で攻城兵器や敵が逃げないように包囲する。そのあとに援軍で25万が追加か。その10万を即座に蹴散らし25万を叩くか。10万を放置して25万を先につぶし10万を王都と挟撃するか…。25万をつぶすとなれば全力で当たる必要がある。10万が戻ってこないとは限らない状況では厳しいか。


「では、王都に向かい。王都で10万を撃破する」

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