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第4話【虚栄の男】

第零章 第4話【虚栄の男】



side:ロイシャ・マドリアス


私は、馬車の中で揺られています。元々急いで王都に向かっていた最中でした。その最中に盗賊に襲われ、危険なときに謎の騎士たちに救われました。聞いたこともない名を語られじいも知らないというので今この場で分かる人はいないでしょう。じいはこれでも元宰相で天才といわれたのです。今では引退して私の後見人になってくださっています。


さて、第一王女と元宰相である現伯爵を乗せた馬車が弱い護衛のはずもなくその護衛が負けそうになるほどの盗賊を一瞬で蹴散らした彼女らに逆らうすべはなく。彼女らに囲まれて移動しています。


「どうやら、カティア平原に向かっているようですな」


カティア平原は王都から南に進んだ大森林と面する何もないただただ広い平原です。


「彼女らは一体何者なのでしょうか…」


「何者かはわかりませんが、実力は非常に高いでしょうな」


確かに、強いとは思いますが、所詮盗賊相手で相手の強さがわかるのでしょうか。護衛は強いですが数が少ないので盗賊の数が多く負けたということだと思うのですが…。私の考えを表情から読み取ったのかじいがため息をついて説明してくださりました。


「まず、私たちの護衛は弱くありません。数が多くても盗賊程度どうにでもできるでしょう。しかし、盗賊に負けた。それは盗賊もまた強かったということです。さらに、彼女らが突撃する際本来騎兵突撃は味方さえも巻き込む可能性があるのです。それを彼女らは一切衝突せず敵だけを粉砕した」


「なるほど、素晴らしい練度ということですね」


「違います。練度で片づけられる話ではないのです。護衛と盗賊が入り乱れている中突撃などすれば護衛も死んでいたでしょう。しかし、死んだのは盗賊との戦闘のみ、なぜか護衛は通り抜けたのですよ。どういった力かはわかりませんが…。また、この集団のリーダーである彼女の槍は伸びた。そんな伝説のような装備を使いこなすのは至難の業。兵士一人一人が強く、さらに率いている隊長はさらに強い。そんな彼女が付き従う人物は一体どれほどのものなのか……。」


それほど長くない時間馬車に揺られているとカティア平原が見える距離になってきた。カティア平原は、何もない平原だったが今は丸太の柵や多くの天幕が張られており簡易な砦といっていいほどのように見えた。


「ボスに面会を」


入口と思われるところに立っている警備の人間に彼女がそういうと中へとすんなりと入ることができました。全員が我が国の近衛騎士団のような規律を持って活動しており町のような活気もある。


「すごいところですね」


「えぇ、誠に」


私の意見にじいも賛成してくれます。これは、ここの方に助力していただければ我が国は救われるかもしれません。目的に到着したのか馬車から降ろされ周りよりも大きな天幕に連れていかれます。その中には2名の男性がいました。一人は上座からこちらを見下ろす鎧をつけた大柄な男性。顔は整っておりどこかの王子と言われても納得するほどです。もう一人はその男性に使えるように控えて立っている男性。こちらは座っている方よりも大柄で巨人族を思わせるような出で立ちです。


「で、アリス。こちらの方々は?」


「はい。北方面に偵察中街道らしき場所を通っていましたら襲われている馬車を発見し情報源として救助し確保して連れてまいりました。詳しい話はボスがいる場でと思い詳細はしりません」


椅子に座った男性がボスで、その後ろにいる男性は宰相のような役割なのでしょう。ボスと呼ばれた方は何も返事をせずこちらをじっと眺めてくる。


「お初にお目にかかります。死を運ぶ軍団の軍団長様でよろしいでしょうかな?」


「あぁ」


じいが私の前に出て問いかけると彼が初めて声を上げました。


「では、軍団長様。私は、マドリアス王国元宰相にして現伯爵のガネーシャ・ハットゥスと申します。こちらは、マドリアス王国第一王女。ロイシャ・マドリアス様でございます。」


じいに紹介されたのでお辞儀をします。社交界で着るようなかわいらしいドレスでも着ていればよかったのですが、移動に適さないため簡素なドレスですのであまり美しくはありませんが。精一杯愛嬌を振りまきます。こちらを見ていた団長さんが目をそらしてお付きの人に目をやります。


「あぁ…。俺は死を運ぶ軍団の第一師団長でまとめ役のゴライアスだ。こちらがうちの団長様である。トーマ様だ」


きれいな言葉遣いが苦手なのかゴライアスさんは少し考えながらそう自己紹介しました。


「無知で申し訳ないのですが、その死を運ぶ軍団というあなた方はどこの所属の方々なのでしょうか?」


「うん? 俺たちは傭兵だからどこかの所属というわけではないぞ?」


じいが質問するとゴライアスさんが困惑したように答えます。正規兵と、いや精鋭と同程度の練度を誇っている彼らがただの傭兵だという答えに私もじいも理解が及びません。しかし、私はそこに一縷の光を見ました。


「では、お願いがあります。私に雇われてはいただけませんか」


まっすぐと目を見て尋ねます。これほどの傭兵を雇う金銭はわが国にはないでしょう。しかし、この機会を逃せば我が国は滅ぶだけです。ならば覚悟を決めましょう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 軍団系小説少ないから続きに期待。是非とも続いてほしい。
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