表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

いつか、勇者の顔面を殴ろうと思っていたが遅かった。

作者: ぶれーどおんりー
掲載日:2021/04/04

 目標や、夢、あれをしたい、これをしたい、そういったものを失ったことはあるだろうか。




 パレードにしては陰気が臭く、葬式にしては参列者は悲しんでいない。集まる民衆は、野次馬根性や物珍しさで集まった連中ばっかで、しかし妙にうるさく感じた。


 いやに辛気臭いのは勇者を好いていた第2王女だけで、周りの貴族は金蔓が一本消えたことを案じていて、国王に至っては何も感じていない様子。俺の元婚約者も見えたが、次の商売へ向けて思惑にふけっている。

 そんな様子を横目に、俺の気持ちは若干落ちていた。




 勇者の顔面に一発、右手をグーにして叩き込む。

 そんな最低な目標を持ったのは、いつのことだっただろう。

 少なくとも、ゴロツキを使って勇者にちょっかいをかけて、家を追い出された大分あと……それも、王国騎士団の入団試験に合格して、日銭を稼ぐ生活から解放されてから、不味いはずの脱色黒パンが旨く感じられるほどに厳しい騎士団の訓練にも慣れてきた頃だったような気がする。

 同僚が一人死んで……

 あぁ、そうだ、思い出してきた。真っ赤な、火吹き狼が同僚を喰らったんだ。

 その時だったか。死ぬ前に、いけすかないあの野郎を一発殴ってやりたいと思ったのは……



「勇者は死んだ」

 国王が言った。


 その後、生きるためよりただ強くなるために努力して、話したことも数度しか無い勇者を殴るために、努力して、腕っぷしが強ければどうにかなる目標でもなかったのに、努力して、数度の目の戦争で……



「勇者は死んだ」

 国王が言う。




 うるさい。あぁ、そうだ。遠くから、眉間を矢で撃ち抜かれて、ぽっくり逝っちまった。




「勇者は死んだ」

 国王が口から発した。




 明日から一週間、休暇をもらっている。この野次馬だらけの葬式の護衛任務、その報酬だという。

 何をしようか、あの火吹き狼を殺しに行くか、まだ生きているだろうか。




 あぁ、この葬式、早く終ればいいのに……

評価がよかったら連載化します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ