第11王子:ゼル
「 構わない。
マオに黙ったままで、セロッタさんにお願いした事が間違っていたんだ…。
──マオ、君を無視していた事を許してほしい。
…………とても恥ずかしい事だから、君には打ち明けられなかったんだ…(////)」
マオ
「 照れなくていいから!
其で?
オレをセロから貸りて何する気なんだ? 」
第11王子:ゼル
「 マオ──、君に…僕の婚約者になってほしいんだ!! 」
マオ
「 はぁぁぁぁぁあ!?
出来るかよ、ボケェッ!!!!
オレは男だぞ!
男の婚約者なんて出来るかよっ!! 」
セロフィート
「 マオ、落ち着きなさい。
ゼルさん、主語を抜かさず話してください 」
第11王子:ゼル
「 す、すまないっ!
実は…………いや、初めから話そう。
僕はセセンテレン大国を統治するセセンテレン国王の嫡子、第11位王位継承者の王子ゼリンネル・クロネッタ・アバントール・セセンテレンだ。
通称は “ ゼル ” で、愛称は “ ゼルリン ” だ 」
マオ
「 いや、知ってるし 」
セロフィート
「 マオ、黙ってお聞きなさい 」
ゼリンネル
「 王族の王子は必ず〈 大陸りく仰こう神しん神しんランビュサダレ様さま 〉に祝しゅく福ふくされ、誰だれよりも強きょう力りょくなマーナを授さずかるんだ。
第だい1位い王おう位い継けい承しょう者しゃの王おう子じ以い外がいの王おう子じは18歳さいを迎むかえたら、父ちち上うえであるセセンテレン国こく王おうから生しょう涯がいを懸かけて守まもるべき領りょう地ちへ送おくられる事ことが決きまっている。
〈 大たい信しん陸りく仰こう神しん神しんランビュサダレ様さま 〉から授さずけられたマーナを駆く使しして、セセンテレン大たい国こくの領りょう土どを脅おびやかす魔ま獣じゅうを排はい除じょする役やく目めを果はたたす為ために〈 マナ 〉として日ひ々び戦たたかわなければいけない。
だけど……、僕ぼくは〈 大たい信しん陸りく仰こう神しん神しんランビュサダレ様さま 〉からマーナの祝しゅく福ふくを授さずかれなかった。
僕ぼくは〈 マナ 〉にはなれなかった。
僕ぼくは……〈 ノマ 〉だ…。
セセンテレン大たい国こくの王おう子じとして、王おう家け代だい々だいの役やく目めを果はたせない…… 」
マオ
「 其それとオレがゼルの婚こん約やく者しゃになるのが、どう関かん係けいするんだよ? 」
ゼリンネル
「 …………〈 ノマ 〉の僕ぼくには魔ま獣じゅうから領りょう地ちを守まもる為ための力ちからはないんだ。
だから、国こく王おうの父ちち上うえは領りょう地ちを守まもる為ための手しゅ段だんとして、会あった事こともない貴き族ぞく令れい嬢じょうと僕ぼくの婚こん約やくを勝かっ手てに決きめて、話はなしを進すすめている。
相あい手ての貴き族ぞく令れい嬢じょうは王おう族ぞくにも匹ひっ敵てきする程ほどの強つよいマーナを使つかえる〈 マナ 〉なんだ。
貴き族ぞく令れい嬢じょうには兄あにが1人り居いて、其その兄あにも強きょう力りょくなマーナを使つかえる〈 マナ 〉で……、其その…兄あにと言いうのは超ちょう絶ぜつ過か保ほ護ごなシスコン野や郎ろうなんだ。
【 妹いもうとを正せい妻さいにしてくれるなら、ゼリンネル王おう子じが守まもらなければいけない領りょう地ちをゼリンネル王おう子じの代かわりに魔ま獣じゅうから守まもってやる 】って条じょう件けんを突つき付つけて来きたんだ。
勿もち論ろん、国こく父ちち王おう上うえも王おう母はは妃ひ上うえも1つ返へん事じで承しょう諾だくしたよ 」
マオ
「 だろうなぁ?
上う手まい話はなしだとは思おもうけど、〈 ノマ 〉のゼルと其その貴き族ぞく令れい嬢じょうが結けっ婚こんしたら、強きょう力りょくな〈 マナ 〉が2人りもゲット出で来きるんだもんな。
領りょう地ちを魔ま獣じゅうから守まもれる力ちからを持もった〈 マナ 〉は喉のどから手てが出でる程ほど、欲ほしいよなぁ?
魔ま獣じゅうは強つよいし! 」
ゼリンネル
「 そうなんだ……。
国こく父ちち王おう上うえと王おう母はは妃ひ上うえが決きめた貴き族ぞく令れい嬢じょうと婚こん約やくだ。
〈 ノマ 〉の僕ぼくには逆さからえないし、婚こん約やくを覆くつがえす事ことは出で来きない……。
だけど、貴き族ぞく令れい嬢じょうとの婚こん約やくを破は棄き出で来きる方ほう法ほうが1つだけあるんだ! 」
マオ
「 其それがオレ?
何なんでだよ? 」
ゼリンネル
「 マオは〈 ノマ 〉だけど、魔ま獣じゅうを簡かん単たんに倒たおせるだろ?
其それに〈 ノマ 〉なのに何な故ぜかマーナを使つかえる!
マオのマーナは貴き族ぞく令れい嬢じょうや其その兄あにのマーナよりも強きょう力りょくなんだ!
だから、女じょ装そうして貴き族ぞく令れい嬢じょうに扮ふんしたマオに、僕ぼくの婚こん約やく者しゃとして名な乗のり出でてほしいんだ 」
マオ
「 おい… 」
ゼリンネル
「 適てき任にん者しゃはマオしか居いないんだ! 」