相席依存症になったわたし。
___わたしは、ずっと一人で生きてきたの。
だから、親の愛情を知らずに育ってしまったわ!
わたしが産まれた時には、孤児院の前に捨てられていたとか。
・・・その日は、本当に寒い寒い冬の日だったというのに。
___わたしは毛布一枚だけで、包まれていただけだったそうよ。
泣きもせず、孤児院の先生がわたしを見つけて抱きかかえた時には
ニコッと笑っていたんだって。
だから! 今でも孤児院のその時の先生に、わたしはこう言われるわ!
『___あなたは、とっても強い子なのよ! あんなに寒い冬の日に
毛布一枚だけあなたの体を包んでいただけよ。あなたは、泣きもせず
私が抱きかかえると笑ってくれたの! あの時ね! 私はこう思った
のよ! あなたはきっと何があっても強く生きていけるとね。』
『・・・先生。』
『___もう直ぐ、あなたも18歳になるわ! ココを出て行かなく
てはならないわね! でもね? 何処に居ても、私たちの絆は消えな
いし! どんな時も、私はあなたの事を想っているのよ! だから?
何時でも、あなたが好きな時にいつでもここに! 帰ってらっしゃい!』
『・・・はい、先生。』
『___聡美! 先生じゃないでしょ? “お母さん”でしょ!』
『___うん、お母さん!』
___わたしは、目から涙が止まらなかったのよ!
こんなにもわたしを、愛情いっぱいに育ててくれたお母さんに感謝しか
ないわ!
・・・本当の両親は知らないけど。
わたしには、血が繋がらないけど心は誰よりも繋がっているお母さんが
いるんだもの! それに、たくさんの兄弟姉妹もね!
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___そして、わたしも18歳になってこの孤児院を出なくてはいけなく
なったのよ。
『___今まで、本当にありがとうございました。』
『___いいのよ! いつでも帰って来るのよ。』
『___うん!』
『___聡美お姉ちゃん! 元気でね!』
『___うん。』
『___じゃあね!』
『___うん! ばいばい。』
___わたしはこうして、都会に出て一人暮らしを始めたのよ!
一生懸命働いて、家の家賃を払いながら。
ひたすら、無我夢中で頑張ったの。
・・・でもね?
バイトが終わって夜遅くに、誰もいない家に帰って来てこう思うの。
『___わたしは、いつまで一人なのかな?』 ってね!
___急に寂しさがこみ上げてくる。
独りで居たくない! 誰か? わたしの傍に居て欲しい。
・・・わたしは、家に一人でいるのが嫌でフラフラと夜中に家を
出て誰かいる場所を探したわ!
___ネオン街で見つけた小さなお店の看板に、【相席屋】と書かれた
看板を見つけたのよ!
___わたしは、気が付けばお店の中に、、、。
入って、わたしは良かったと気づいたのよ。
お店の中は、人だかりでたくさんの人が賑やかに楽しそうに話しているの!
・・・そこに、お店の店員さんがわたしのところに来てこう言ったわ!
『いらっしゃいませ~ 女性は、飲食無料ですよ。男性は3000円です!
このお店は、【相席】のお店なので楽しく見知らぬ男性と会話できますよ~
楽しんでいってくださいねぇ~』
『・・・あぁ、ははい。』
___わたしは、このお店にずっぽりとハマってしまったわ。
男性と楽しく会話して、しかも? 飲食無料だなんて! そんなステキな
話があるのかと。わたしは、毎日このお店に顔を出すようになったのよ。
・・・気が付けば?
半年間、毎日通っているわ!
___ここまでくると?
完全に、わたしは【相席依存症】になったんだと自覚したのよ!
___それでも?
わたしは、相変わらず! このお店に来ているの。
___だって! やめれないじゃない!!!
最後までお読みいただきありがとうございます。