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第5話 冒険者ギルドでギルドカード作ってもらった





「すいません、冒険者ギルドってどこですか?」


「あんたはこの街に来るのは初めてかね?わたしゃが教えたるよ。冒険者ギルドってのはね…」



俺は門番に冒険者ギルドに行くと言ってたのに肝心の場所を聞いてなかった。だからあのおばさんに聞いて、冒険者ギルドの場所を教えてもらったのだ。


おばさんの言う通りに街中を歩くと、お目当ての建物が見えた。結構でかいな。鑑定もしたから多分あっているだろう。


よし、今日から俺も冒険者だ!と思うところだが、毎回男子か女子かに困惑させるのは正直疲れるんだよな…なんかいい方法はないだろうか。


んー、お!いいこと思いついたわ。これで俺ははっきりと男とわかるだろう。


そう思って俺は、《無限収納(インベントリ)》から木の板、きり、ヒモ、マジックペンを取り出し、あるものを作成した。そして俺は、冒険者ギルドの建物の中に入った。




ーーーside 冒険者ギルド受付嬢ーーー


私はいつものように冒険者ギルドの受付で立っています。今は昼時で、冒険者さん達はみんなクエストで出かけているので、大して人はいないです。今ここにいるのは、私と朝一のクエストを終えた冒険者さん達だけですね。


チャリン、と鈴がなりました。だれか来たようですね。クエストを終えた冒険者さんかしら。


私は目を疑いました。建物に入ってきたのは、首から『俺は男だ』と書いている板をぶら下げた、背もあまり高くない中性的な顔をした、黒髪の子でした。


「ギルドカードを作ってほしいんですが。」


主張の激しい木の板をぶら下げているくらいなのですから、きっと男の子なんでしょう。その男の子が、私に向かってそう言いました。


「ギルドカードを発行できるのは、10歳以上でないとできません。あなたは10歳以上ですか?」


ギルドカードを作るときには、相手が何歳に見えてもこの定型文を言わないといけないんです。


「俺は17です。」


この男の子が17歳!?てっきり14歳くらいに見えました。


「それでは、この紙に名前と出身地、そして魔法適正を記入してください。」


「えっと、魔法適正ってなんですか?」


「魔法適正は、自分がなんの属性の魔法が使えるかというものです。この国では10歳になったら魔法適正を調べますが、もし自分の適正がわからなかったり教えたくなかったりする場合は記入しなくても大丈夫です。」


「それじゃーとりあえずは空欄にしておきます。」


そしてその男の子は名前と出身地を記入してくれました。ええと、ハルト・ホウジョウ君ですね。出身地は…ニホン?どこの国なのかしら。珍しい黒髪をしているから、東の国の人なのかな?


「それでは、この水晶に触れてください。」


これは犯罪歴があるかを調べるものです。おっと、白く光りました。大丈夫ですね。逆に黒く光ったら困ってしまいます。


「これから、ギルドカードについての説明と注意点をいいます。まずギルドカードとは、…」


私はハルト君という男の子にギルドカードに関する説明と気をつけてほしいことを説明しました。私はこの説明を何回してきたでしょうか。それでも、この説明は義務なので言わないといけないんですよ。義務なんです。




「最後に、このカードに針を使って血を一滴垂らしてください。」


ハルト君はちょっと嫌そうな顔をしつつも、血を垂らしてくれました。ちゃんと文字が浮かんできました。これで、ギルドカード完成です。


さてさて、どんな感じでしょうか。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ハルト・ホウジョウ 17歳 男 レベル 7


冒険者Fランク


魔法適正:空欄


称号:スライムのライバル


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


…スライムのライバル。あのスライムのライバルですか。


この国でも数人いるかいないかの最弱称号ですよ…この子、大丈夫なのかしら。ちょっとじゃない、かなり心配になってきました。身の丈に合わないクエストをさせないためにも、この子の対応はしっかりしなくちゃ!






ーーーside ハルトーーー


俺が冒険者ギルドに入ったとき、あまり賑わってなかった。


今は昼時だから冒険者もあまりいないのか。


ギルドの受付嬢さんは俺と同じくらいの年齢の女の子だった。あっちから見て俺の容姿が何歳に見えるかは…気にしたらダメだ。


しかし、作戦は成功だったようだ。その名も、『女か男かわからないなら先に教えちゃえ作戦!』。受付嬢さんめっちゃ驚いてたけど、ちゃんと男として見てもらえた。若干引いてたけど、俺も毎回同じやりとりをするのは面倒だしな。え、頭おかしいって?それはどうしようもないな。日本では「変な人」って認められてたからな。結構すごいらしいぞ。



受付嬢さんから聞いたギルドカードの説明としては、


・冒険者ギルド、商業ギルド等のギルド会員が持つカードで、このカードを持つことで身分が保証される。


・街や国の移動時に、ギルドカードの提示が必要。


・各ギルドにおいてそれぞれF〜Aランク、その上のSランクが存在する。


・複数のギルドに加入することが可能。


・紛失した場合、1000ツヴァイで再発行。


ってのが基本的なことで、冒険者ギルドに関するところだと


・クエストを受ける際にはギルドカードの提示が必要。


・ギルドカードの冒険者ランクによって受けることができるクエストが変わる。


・いくつかのクエストや成果を挙げることで冒険者ランクが上がる。


・クエストに失敗したときには違約金を払うことがある。


といったところか。疑問点が見つかったらその都度聞けばいいだろうから、今ここで深く質問するのはやめておくか。


あと、この世界ではツヴァイが貨幣の単位らしい。どこの国でも使えそうだから便利そうだ。


最後の血を垂らすやつは…異世界ものの小説とかだとよくありがちだけど、実際自分がやるってなるとちょっと勇気が必要だった。


ギルドカードに文字が浮かんだとき、受付嬢さんめっちゃ笑いを堪えてたな。やはり『スライムのライバル』は効果があったか。レベルについてはよくわからん。



「よう、お嬢ちゃ…いや兄ちゃん、あんたー面白い称号持ってんな。ガハハハハ。スライムのライバルって…この国で何人持ってるかわからんぞ。」


俺がギルドカードを発行し終えたとき、後ろから声をかけられた。めっちゃ笑われてんだけど。


「あんためっちゃ弱そうだぞ。なんなら、俺のパーティーにでも入らんか?俺たちなら、あんたの世話くらいしてやんぜ!」


「いえ、それは間に合ってます。」


「今冒険者になったばかりなのに、間に合ってるわけねーだろ!

あんたおもしれーヤツだな。気に入った!俺はBランクパーティー『鳥の唐揚げ』のヨハンだ。よろしくな、兄ちゃん。」


「ええと、ハルトです。よろしくお願いします。」


「ハルト。冒険者っていうのは、基本敬語は使わんぜ。冒険者はなめられちゃダメだからな。おっと、ハルトはもう手遅れか。スライムのライバルでなめられない方が無理があるからな。ガハハハハハ!」


「じゃあ敬語は使わないぞ。俺はなめられてからのざまぁがしたいからな。なめられる分には構わねーよ。改めてよろしくな、ヨハン。」



ヨハンという30歳くらいのおっさんは、話ができる人だった。これからも話すことがあるだろう。Bランクって結構すごいな。逞しい身体付きでいかにも冒険者って感じの人だ。


ヨハンは俺をパーティーに誘ってくれたけど、俺はパーティーに加わるのはごめんだ。まだこっちの世界に慣れてないから、何が起こるか理解できないからな。だから、丁重にお断りさせてもらった。




俺は無事にギルドカードを発行できた。つまり、俺は今日から異世界の冒険者だ!初めて登録したからFランクスタートだけど、マイペースでランク上げしていきますか。もちろん、レベル上げをしながらね。


今日はもう宿に行って、明日から冒険者しますか。


俺は冒険者ギルドの建物から出て、宿を探しに街を歩きはじめた。







「ハルトってヤツ…めっちゃ面白い男だな。初めて見たぜ。自分の首に木の板かけて、自分が男であるのを主張するヤツなんて。」





ごめん、俺も見たことないわ…




読んでくださりありがとうござました。



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