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【電子書籍化】病弱だった少女は転生して強い魔力と愛する人たちを手に入れた  作者: 冬野月子


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邂逅05

「お姉ちゃん!」

カイ達に追いつくと、小さなドラゴンが抱きついてきた。


「…コーディ?意識が戻ったの?」

「うん!ありがとうお姉ちゃん!」

金色の大きな瞳がキラキラしてて…

「か、可愛い…」

思わず頬ずりしてしまう。

「姫様…緊張感なさすぎ」

「だって!」

こんな可愛い生き物が!目の前に!


「エミーリア、鑑定を!」

ベルハルトの言葉に慌てて前を見た。



グラトニーは対峙するドラゴン姿のカイよりもずっと大きく…魔力も凄かった。

これは———


「防御力も攻撃力も見た事がないくらい高い…とにかく攻撃を続けて魔力を削っていくしかないわ」

「持久戦か」

「皆に防御と攻撃力を上げる魔力を掛けるわ」

手を振るとそれぞれが光に包まれた。

「私は回復と支援に徹するから…」

「頼んだよエミちゃん。あいつにも魔法を!」

グラトニーへ防御力を下げる魔法を掛けるとカイが口から炎を吐いた。

すかさずベルハルトの剣から光が放たれると無数の矢となってグラトニーへ襲いかかる。

「なに、ベルハルト魔法を使えるの」

ちらとベルハルトを見てカイはアーベルを振り返った。

「負けてんなよアーベル」

「分かってる」

アーベルの剣が赤い光に包まれるとグラトニーに向かって斬りかかっていった。



「ふーん、龍族もなかなかやるじゃん」

「ルプスも眺めてないで手伝ってよ」

「俺の仕事は姫様の護衛だからなあ」

「もう…」

「エミーリア様。回復魔法は私が受け持ちます」

「トロワが?」

「薬師ですから。回復させるのは得意です」

あ、そうか…

「じゃあお願い。私は考えつく支援魔法をできるだけ掛けるから」

「御意」

「フラムは皆を援護して!」

フラムが火竜へと変化するとグラトニーに絡みついた。




ベルハルト達の攻撃を見守りながら、必要に応じて魔法を掛けていくけれど…これは厳しいわ…


「姫様。どれくらい魔力削れてる?」

戦闘を見つめてたルプスが尋ねた。

「…まだ十分の一くらい…」

「———それは手強いな。あいつの一番の弱点は分かる?」

「え?ええと———弱点はなさそうだけど…あの角と翼を落とせば効果はありそう」

「角と翼だな」

ルプスは前へと駆け出した。


「下がれお前ら。とっておきを見せてやるよ」

ルプスの両手が光るとそれぞれに剣が現れた。

「…二刀流?」

飛び上がったルプスはグラトニーの背後へと回り込んだ。

「わあ…凄い」

今まで見せていたのが何だったろうというくらい…獣のようなしなやかな動きで二本の剣を操るルプスは速さも何もかも、全く別物だった。

「ルプスにとって剣は身体の一部ですから。狼の能力を持つ彼の本当の剣技は誰にも真似出来ないんです」

攻撃を避けながらルプスの剣が角を斬りつけたけれど…斬りきれないんだ…


「姫様!力貸して!」

魔力の塊をルプスの剣に向かって投げる。

黒い光を纏った剣が舞うと…左の角が飛び落ちた。


咆哮を上げて狂ったように暴れるグラトニーから飛びのくとルプスは下がった。

「姫様!こいつの動き封じられる?」

「さっきから何度か試しているんだけど…魔法の耐性が高くて掛からないの」


「これはいい素材になりそうですね」

いつの間にかトロワが切り落とされた角を手にしていた。

「エミーリア様、この角の分析はできますか?」

「分析?」

「薬師は素材や核を手に入れるとそれがどう使えるのか分析するんです。今は道具がないので私には出来ませんが、姫様が調べれば弱点などが分かるかもしれません」

「…やってみるわ」

トロワから角を受け取る。


「———角を失った事で身体のバランスが崩れたようだな」

トロワはグラトニーを見た。

「切られた角と同じ側の翼を狙え!」

「翼だな!」

カイが飛び上がった。

「俺が奴を引きつけるから隙を見て狙え」


私は手にした角に視線を落とした。

そこから弱く流れてくる魔力に意識を集中する。

あれ……?

「この魔力の感じ…」

何かに似てる…これって…まさか…

「危ない!」

トロワが私を引き寄せると同時に目の前に大きなものが飛び込んできた。

「カイ!」

「ってえ…」

「カイ兄ちゃん!血!」

コーディがカイに飛びつく。

「カイ…大丈夫?」

トロワがカイに回復魔法をかけるのを見てカイの顔を覗き込んだ。

「———やっぱ漫画とは違うな」

「え?」

「あのグラトニーの姿…あれ漫画だと魔王の第二形態なんだよ」

「第二形態って…一度倒した後に復活してくるやつ…?」

「そう、いわゆるラスボスだな」

魔王が…あの姿に……

———魔王…お祖父様…


「エミーリア様?」

「この角から伝わる魔力…お祖父様に似ているの」

「王に?」

お祖父様は魔力も、その強さも…他の魔族達とは明らかに異なっている。

そしてその魔力の質といったものが…この角から伝わる魔力にとても似ているのだ。

…漫画の姿と言い…何か関係あるのだろうか。


顔を上げて前方で繰り広げられている戦闘を見る。

ベルハルト達が囲い込んで剣を斬りつけていくけれど…まだ三分の一も魔力を削れていない。

強すぎる…

———お祖父様とどちらが強いのだろう。

そう思った時、グラトニーがこちらを向いた。


真っ赤な瞳が私を見た。

何か…言いたいのか口が僅かに動く。

私を見据えたまま、ズ、とその脚がこちらへ向かって踏み出された。

「あ…」

「ルプス!戻れ!」

後ずさった私の前にカイが立ち塞がった、そのすぐ向こうにグラトニーの姿があった。


「姫!」

ルプスが私を抱きかかえて飛び退いたけれど…グラトニーの視線は私を捉えたままだった。

「…姫様を狙っているのか」

チッとルプスが舌打ちした。

「何で…」

「ベルハルト!そいつの動きを止めろ!」

ベルハルトとアーベル、そしてカイが同時に襲いかかったが、それらをあっさりと躱し…


すぐ目の前にグラトニーの顔があった。

私を見つめる瞳の奥に宿るその色は…

「エミーリア!」

身体に衝撃と目眩を覚えて目を閉じた。




「大丈夫かい、エミーリア」

え…この声は…

「———お祖父様…?」

目を開けると、私は少し離れた小高くなった場所にいて、お祖父様に抱きかかえられていた。


「どうして…」

「お前が危険に晒されているのを見過ごすはずはないだろう」

私に優しく微笑んで、お祖父様は視線を移した。

「———まさか、あれに会う日が来るとはな」

グラトニーを見下ろすお祖父様の顔がわずかに歪んだ。

「エミーリア、お前の力を貸してくれるかい」

「…はい」

「全員離れろ」

片手を上げたお祖父様の手が光を帯びた。

「巻き添えをくらうぞ」


激しい目眩に襲われた。

身体の中から…ごっそりと何かが流れ出すのを感じる。

思わず目を閉じてお祖父様にもたれかかると熱くて…強い光に包まれた。


激しい音と、衝撃と、咆哮…それらが襲いかかってくる。


「…っ」

私を抱きかかえるお祖父様の身体が大きく揺れたのを感じた。

「陛下!」

「———今ので…かなり魔力を削いだ」

焦るトロワの声と…苦しそうなお祖父様の声。

「トドメはお前たちで刺せ」

「はっ!」


目眩がひどくて…目が開かない。

アーベルやカイ…ルプスにトロワ、皆の魔力を感じる。

そして一際強い———大好きな、ベルハルトの魔力。




黒い魔力が消えたのを感じた。


「…おわっ…た…?」

「ああ、もう大丈夫だ」

お祖父様の声に安堵して…私は意識を手放した。

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