表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【電子書籍化】病弱だった少女は転生して強い魔力と愛する人たちを手に入れた  作者: 冬野月子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/57

覚悟02

城に戻るまでの間、私はお祖父様に抱きかかえられたままだった。

…こんな姿、ベルハルトには見られたくないのに。

何度か降りようと試みるのだけれど…私を抱える腕はビクとも動かず、城に入ってもそのままで…


初めてお祖父様と会った広間に入ると、私を抱えたままお祖父様は玉座に座った。


「さて。お前たちは私の許しも得ず随分と好き勝手やっているようだが。———人間に薬を作ってやるくらいは構わないが、武器はいただけないな」

お祖父様は一同を見渡すとルプスを見据えた。

「ルプス。お前はそれ以外にも色々とやらかしているな。エミーリアを連れてきた事は評価するが、相殺はできない」

色々って…私と血の契約を結んだ事やベルハルトに剣を教えている事?


「承知しています」

ルプスは頭を下げた。

「ですが、俺は自分のしている事を間違っているとは思いません」

顔を上げるとルプスはお祖父様をまっすぐに見上げた。


「そういう意固地な所は父親譲りだな」

お祖父様はため息をついた。

「まあいい、お前への処罰は後で申し付ける。———ベルハルトと言ったな」

お祖父様は視線をベルハルトへと移した。

「お前とエミーリアの処遇を決めないとならないな」

「処遇?」

お祖父様は私を見た。

「エミーリア。お前は人間として生きる事を望んでいるようだが、それは認められないよ」

「…どうしてですか」

「お前の魔族に与える影響が強すぎるんだ。そこのふたりを始めとして何人もの魔族が当たり前のようにお前を助け、力を尽くしている。魔族の姫になら当然の事だが、人間に魔族が従う事はあってはならない事だよ」

そう言ってお祖父様は私の頭を撫でた。

「私の言う事が分かるかい」

「…はい」


前にルプスが魔族は人間より上位の存在だと言っていた。

確かに…魔族からすれば自分達より下の存在の人間には———


「エミーリアの存在はすっかり知れ渡ってしまっている。———母親と同じように人間を選んだ事もね。その事に対する反発の声もある。二代に渡って人間に姫を取られるなど許されないと」

…お祖父様の言っている事は…分かるけれど…

だからベルハルトと別れろなんて言わないわよね?!

思わずぎゅっと腕を掴むと、不安が顔に出ていたのだろう、私を慰めるようにお祖父様は優しく微笑むと額にキスを落として再びベルハルトを見た。



「ベルハルト、お前の選ぶ道は二つある。エミーリアを諦めるか、我々の仲間になるかだ」

「仲間…?」

「先日も言った通り、核を使えば完全な魔族は無理だが近い存在にお前を変える事は出来る。エミーリアを人間に嫁がせる事は出来ないが、半魔族となりこの国に残るならば反対の声も減るだろう」


「エミーリアを諦めるなどという選択肢はない」

ベルハルトは強い口調で答えた。

「ならば半魔族となる事を選ぶか。二度と人間には戻れないぞ」

「構わない」

「待ってベルハルト」

人間に戻れないって…それは…

ベルハルトは私を見た。

「僕は城を出た時に決めたんだ。僕の生きる理由はエミーリアと共に生きる事だ。その為なら何でもする」

「だけど…人間じゃなくなるって…」

「人間でも魔族でも、何でもいいんだ。エミーリアの側にいられるなら」

「ベルハルト…」


「まあ、今ここで結論を出さずとも良い」

お祖父様が口を開いた。

「それに無条件でお前を仲間に入れられる訳でもない。まずはお前がエミーリアの伴侶に相応しいと認めさせる事が出来てからだ」

認めさせる…って…

「どうやって…?」

「それはお前達で考えるんだ」

お祖父様はようやく私を膝から下ろすと立ち上がった。


「さてルプス、お前への処罰だが。これから書庫で書類の整理をしてもらう。ディルクの指示でな」

ルプスの顔が強張った。

ディルクって…確かルプスのお父さんだっけ。あの顔がちょっと怖いひと。

「その後は家で一晩ディルクの説教だ」

お祖父様は口角を上げた。

「お前には一番堪える罰だろう」


「———承知しました」

小さく肩を震わせて笑いを堪えているトロワの隣でルプスはがっくりと肩を落とした。

「トロワにはまだ話がある。エミーリアは…」

「庭に行っていい?ベルハルトと一緒に」

私はお祖父様の裾を掴んだ。

「二人で話がしたいんです」


「庭以外に行かないと約束出来るかい」

「はい」

「ならば送ってやろう。あとで迎えに行くから絶対に庭の外に出るんじゃないぞ」

お祖父様の手が私の目を塞いだ。


風が吹くような感覚を覚え———花の香りに目を開くと、私はバラ園の中に立っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ