表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【電子書籍化】病弱だった少女は転生して強い魔力と愛する人たちを手に入れた  作者: 冬野月子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/57

家族 04

「ベルハルト。エミーリア」

ベッドの上に座ったディート様は私達を見て笑顔を向けた。


「良かった。二人とも元気そうだね」

「…ご無沙汰しています、兄上」

「お久しぶりです、ディート様」

元から顔色のいいディート様ではなかったけれど…一年前と見た目はそう変わっていないように思えた。

「二人とも、随分と大人っぽくなったね」

「そうですか」

「ベルハルトは逞しくなったし、エミーリアはとても綺麗になった」

そう言ってディート様はふと目を伏せた。

「私は、成長するどころかますます弱くなっているよ」

「そんな事は…」

「ディート様」

私はベッドの傍に膝をついた。

「手を出していただけますか」

「…ああ」

「失礼します」

差し出された冷たい手を握ると、私はディート様を「鑑定」した。


魔物のステータスが見えるようになって、それを人間にも試してみたらその人の魔力や病気の状態といったものが見える事が分かった。

例えばがんのような病巣があると、その部分が黒い影になって見える。

私には医療の知識がないから、それが何の病気かまでは分からないけど…影を取り去る事は出来る。

ディート様にはそういう影は見当たらなかった。

…いっそ影があった方がすぐに治せるから良かったのだけれど。


「エミーリア…分かったの?」

ベルハルトが心配そうに尋ねた。

「———ディート様は…心臓の力が弱いみたい」

「弱いとどうなる?」

「身体に血液を送る力が弱くなるから…疲れやすいし病気になりやすくなるの」

「それは魔法で治せる?」

「うーん…魔法では難しいわ…。一時的に痛みを和らげる事は出来るけれど、心臓自体を強くするのは…」

多分、魔法で一気に強くしたら身体が持たない。

少しずつ強くしていけばいいのだろうけれど…それは魔法よりも薬を使った方がいいと思う。


「エミーリアはすごいね、そんな事も分かるんだね」

ディート様は笑顔でそう言うけれど…私に出来るのは知る事だけだ。

心臓が弱くて思い通りに身体を動かせない辛さは、私も良く知っている。

前世のエミは…それで結局、力尽きて十五歳で死んでしまった。

ディート様はあんな事にはなって欲しくないのに———


「魔法以外に治療方法はないのか」

見守っていた陛下が口を開いた。

「医師や魔術師達も似たような事を言っていたが、治療となると口を揃えて難しいという」

「ええと…確か…心臓の負担を軽くする薬が効果があったと…」

必死に前世の記憶を思い出す。

他にも心臓移植とかいくつか治療方法があったけれど…この世界の医療技術ではそこまでは出来ないし、ディート様はまだ軽い方だと思うから…薬さえあればいけると思う。

「心臓の負担を軽く?そんな薬があるのか」

難しいかな…

この世界の薬は薬草を使ったハーブ的なものがほとんどだし、魔法で作れる薬もそう多くない。


「薬…あの二人、薬師の一族だったな」

ベルハルトが呟いた言葉にはっとする。

「あ…フィーア達…」

そうだ、魔族の薬師なら…私達が知らない薬も作れるかも?!


「当てがあるのか」

「ええ。旅先で出会った者なら…分かるかもしれません」

ベルハルトの言葉に、陛下が安堵の表情を見せた。





「もう行くのか」

出発しようと一旦家に戻るとお父様…伯父様が悲しい顔を見せた。

「もっとゆっくり出来ないのか」

「陛下に頼まれたものを探しに行くの。見つけたらまた戻ってくるわ」

ディート様の身体の事は誰にも言わないようにと口止めされた。

まだ…ベルハルトを王にという声が王宮内に残っているらしいのだ。


「王命なら仕方ないが…」

「エミーリア、これを持って行きなさい」

お父様がお母様のペンダントを渡してきたけれど…私は首を横に振った。

「これはお父様が持っていて」

「しかし…」

「———私がお母様なら、お父様と一緒にいたいと思うわ」

私と一緒に預けられて…十五年以上離れ離れだったんだもの。

次はお父様と一緒にいる番だわ。

「そうか。…ではこちらを持って行くといい」

そう言って小さな袋を渡された。

「これは…お兄様の…」

中には赤い核が入っていた。

「お守りとして大事にしなさい」

「ありがとう」

生まれてすぐに死んでしまったお兄様…

会ってみたかったな。

ぎゅっと袋を握りしめた。



家族一人一人とお別れの抱擁を交わして…最後にフリッツと抱き合うとまた頬にキスをされた。

「殿下と喧嘩したらいつでも戻ってきていいんだからね、エミーリア」

そう囁かれて耳にもキスをされて…一年会わない間に弟が色気づいてショックだわ!と後でベルハルトとルプスに言ったらまたため息をつかれたのだけれど…


「…そうかイトコだもんな」

ルプスがポツリと呟いたけれど。確かにイトコだけど…

「フリッツとは姉弟として育ってきたのよ?」

全然そんなんじゃないからね?

向こうだって…


「姫様は無自覚なのが怖いよなあ」

のんびりとルプスがそう言った隣で、ベルハルトがため息をついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ