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【電子書籍化】病弱だった少女は転生して強い魔力と愛する人たちを手に入れた  作者: 冬野月子


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龍の王 05

どうしよう…

宿の部屋の中、ベッドに私はベルハルトと並んで座っていた。

脇にある椅子にはルプスが腕を組んで座っている。

「エミーリア」

ベルハルトの手が私の手を握りしめた。

「教えてくれるよね?」

にっこりと眩しい笑顔で…でも目は笑ってないから!怖いから!


———嘘や誤魔化しても…それがバレたら、きっとベルハルトは怒るより悲しむ。


「……生まれ変わりって…信じる?」

「生まれ変わり?」

「死んだ後…心はそのままで、別の生き物として生まれるの。前に生きていた記憶がある場合もあれば、ない場合もあって…。私とドラゴンのカイは…この世界に生まれる前、同じ世界の同じ国に生きていたの」

「———知り合いなの?」

「会った事はないわ。でも同じ物語…その世界で人気があった物語を知っているの。それで…その物語の中にね、ベルハルトにそっくりな人が出てくるの」

「僕?」

「名前も顔もそっくりなの。今日会ったアーベルと、カイも出てくるのよ」

「…エミーリアは?」

「私もいるけれど…その物語の中では、私はエミールという名前の男の子なの」


私は全て話した。

漫画と共通する部分と、異なる部分…

二人は最後まで私の話を聞いてくれたけど…信じてくれるだろうか。

信じてくれたとして…どう思うのだろう。



「エミーリア」

私の手を握る手に力がこもった。

「どうして、今まで話してくれなかったの?」

「…だって…信じてもらえるか分からないし……」

「僕がエミーリアの事を信じないと思っていたの?」

いつもよりも暗く見えるベルハルトの瞳には…怒りと悲しみの色が混ざっていた。

「ごめんなさい…それに…私もその物語と自分の関係がよく分からなかったから……」

「だったら僕に相談してくれればいいのに。僕はそんなに頼れない?」

「そういう訳じゃ…」


「落ち着けよ、ベルハルト。姫様を責めるな。———俺は正直信じられないぜ。その物語とやらに出てくる魔族は随分と悪い存在になってるからな」

ルプスは椅子から立ち上がると、私の前に立ち、膝をついて私を覗き込んだ。

「魔族は人間や魔物よりも上位の存在だ。魔物のようにむやみに他の種族を襲う事はないし、王だって自分の子を殺すようなまねをする方ではない。それは分かってくれ」

「…ええ」

「むしろ王はエミーナ様を溺愛していたからな。姫様も喜んで迎えてくれるさ」

「じゃあ…どうしてお母様は死んだの?」

「さあ、それは分からない。姫様の父親…あの人間なら知ってるだろうけど、行方が分からないからな」

私の頭を軽く撫でて、ルプスは立ち上がった。


「でも別の世界があるとか、生まれ変わりってのがあるっていうのは聞いたことがあるぜ」

「え?本当に?」

「今の自分とは別人の記憶を持って生まれてくる者が稀にいるって。この世界にない知識や技術を持っている事が多いって…そうか、姫様の魔法がえげつないのもそのせいなのか」

えげつない…は余計じゃない?

「てことは…あの龍族もそういう知識を持ってるのか。それは面倒だな」

「面倒?」

「姫様みたいにどんなえげつない手段使ってくるか分からない」

……ルプスって従者なのにひどい事言うわよね。

結構傷つくんですけれど。


「エミーリア」

息がかかるくらい耳元でベルハルトの声が響いた。

「もう隠している事はない?」

「…ないと…思うわ」

「思う?」

「だって…自分で隠しているつもりじゃない事だってあるもの」

「じゃあ、これからは何でも相談して。聞かれた事は全部正直に答えて」

「分かったわ」

ベルハルトの目を見て頷いた。


「それじゃあ、聞きたいんだけど。エミーリアの前のエミは、結婚していたの?」

「してないわ」

「恋人はいたの?」

「いないわ…私はずっと病気でビョウイン…治療をする所にいて、十五歳で死んだの。そういう経験は全然ないわ」

「———じゃあ僕が全部初めてなんだね」

「…そうよ」

ようやく…ベルハルトの頬が緩んだ。


「もう一つ。絶対正直に答えて」

ベルハルトの手が私の腰に回った。

「その僕達が出てくる物語で、エミは誰が一番好きだった?」

———えええ!

それは……

「……ごめんなさい…アーベルです」


「へえ」

ぐ、とベルハルトの腕に力が入った。

だって…主人公だし!

「姫様…それは正直に言っちゃいけないんじゃ」

だって!今までの流れで嘘つけるわけないし!

「でもその物語を読んでた時の話よ!今はベルハルトが一番好きだから!」

「うん、分かってる」

腰を強く抱かれて…ベルハルトの表情は見えない…けど。

怒ってはいなさそう…?


「絶対に負けない」

ベルハルトの声には強い意志がこもっていた。

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