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【電子書籍化】病弱だった少女は転生して強い魔力と愛する人たちを手に入れた  作者: 冬野月子


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龍の王 03

ベルハルトに疲れが見えてきた。

…回復魔法をかけた方がいいかな。

そう思った時、ドラゴンの長い尾がベルハルトの剣を叩き落とした。


「これで終わりだな」

「くっそ…」

「思ってたより強いというか、その剣、人間の剣じゃないな。———魔族にでも教わったか」

「ベルハルト…!」

駆け寄ろうとして…視界が回転した。

「きゃっ」

「はいエミちゃんはこっちね」

尾に捕らえられ…私の身体はドラゴンの腕の中に落ちた。

「エミーリア!」

「ちょっと借りるよ。二人でここで待ってな」

バサリと羽根を広げてカイは飛び上がった。

「何して…きゃあ!」

速い!怖い!

自分で飛ぶのとスピードが違い過ぎる!

目眩を覚えてぎゅっと目を瞑った。



「はい、到着」

カイの声に目を開いた。

「…ここは?」

「見覚えない?」

目の前に広がっているのは、青い水を湛えた湖だった。

周囲に白い幹の樹々が生い茂るここは…どこかで…

「あ…漫画で私達が出会う場所…」

「そうそう。ここで会うはずなんだよね」

私を地面に降ろすとカイはヒトの姿になった。

「少し前に通ったんだけど、会わなかったからおかしいなぁと思って」

「ここなんだ…あ、そうだ」

聞こうとした事があったんだ。

「ねえ、どうしてエミールは魔王を倒そうとしていたの?お父様なんでしょう」

「———ああ。聞きたい?」

「聞きたいわ」

「エミールはね、母親を父親に殺されたんだよ」


「……え?」

一瞬頭の中が真っ白になった。

「ど…うして…?」

「そもそもは、赤ん坊のエミールを殺そうとしたんだよ。あまりにも魔力が強くて自分がやられるんじゃないかと思ったんだ。それを人間の母親がかばって、自分の親族に預けたんだけどそのまま死んじゃったんだよね。だからエミールは父親をずっと恨んでいたんだ」

「そんな…」

自分の子供なのに。ひどい……


「エミちゃん?大丈夫?」

カイが心配そうな顔で私を覗き込んだ。

「あくまでも漫画のエミールの場合だよ。エミちゃんがそうとは限らないからね」

「……うん…」

確かに…私とエミールは色々違う。

でも。

それじゃあどうして私の母親は死んだの?


「そんな悲しい顔しないで」

カイの両手が私の頬を包み込む。

「可愛い顔が台無しだよ」

額に柔らかなものが触れた。

———!

「何してるの!」

「逃げないでよ」

「…私もうベルハルトの所に…っ」

「そんなに王子がいいの?」

身体を離そうとして…逆に抱きしめられてしまった。

「あー女の子だー。柔らかくていい匂いー」

やめて!


「ねえ、勝手にベルハルトと婚約するとかひどいんじゃない?」

「何でよ!」

「四人のパーティで女の子一人しかいないのにもう相手が決まってるとか。残された俺達はどうすればいいの?」

どうって…知らないわよそんなの!

「私とベルハルトは四年以上前からの付き合いなのよ」

「いつ婚約したの」

「出会ってすぐ…私が十二歳の時よ」

「そんな子供の時に?!」

「だってベルハルトは王子だもの…」

王族はこういうのが早いって聞くわ。


「エミちゃんさ、本当にベルハルトでいいの?」

「え?」

「まだ十六でしょ。将来結婚したいと思う相手が別に出来るかもしれないじゃん」

「出来ない!私はベルハルトがいいの!」

「何でそう言い切れるんだよ」

もがいても…カイの腕はびくともしなかった。

魔法で逃げる?それとも…

「俺もエミちゃんが欲しいな」

「やだ!」

「俺達前世仲間じゃん、仲良くなろうよ」

頬にもキスされて…まずい。

誰か…助けてくれるひと…


「…ルプス!」

叫んだ次の瞬間、黒い風が吹き抜けた。



「姫様、大丈夫?」

いつの間にか…私はルプスの腕の中にいた。

「ええ…」

本当にすぐ来るんだ…

「ベルハルトは?何があったの」

「北の森にいたんだけど…ここに連れてこられて…」


「お前…龍族だな」

ルプスはカイを見た。

「龍族が姫様をどうするつもりだ」

「姫様?何だお前———魔族か」

カイは眉を顰めた。

「ああ、ベルハルトの剣…お前が教えたのか。知らないキャラだなあ」


「キャラ?…姫様、こいつは何なの?」

「ええと…さっき出会ったばかりで…」

「そんな言い方ひどいなあエミちゃん。俺達の仲じゃん」

「出会ったばかりなのは本当でしょ!」

「そうだけどさ、俺達秘密を共有する仲じゃん」

「秘密?」

ルプスが不審そうに呟く。

「———まさかお前、姫様に手を出したのか」

「あ、そう受け取る?まあ他人には言えないよねーエミちゃん」

もう…このひといや!

思わずじわりと涙が滲んでくる。


「姫を泣かせたな」

ルプスから黒い殺気が溢れ出した。

「やるか?といいたい所だけど、強い相手は面倒だな」

カイは両手を上げた。

「あまりにもお姫様が可愛いから止まらなくなっただけだよ。ごめんな」

「そんな言葉で許すと思うのか」

「俺を殺してもいい事ないぜ、なあエミちゃん」

「———あなたの事はどうでもいいけど」

「エミちゃんひどい!」

「アーベルが可哀想だわ」

あの子は…カイしか頼れる相手がいないのに。


「ルプス…助けてくれてありがとう。もういいから。ベルハルトの所に戻りたいの」

私はルプスを見上げた。

「…姫様がそう言うなら」

納得していない顔だけど、ルプスは頷いて私を抱き上げた。

「ちょっと…自分で飛べるから!」

「顔色が良くない。闇の気が強くなってる。心を乱す事があっただろう」

…それはさっきエミールの両親の事を聞いたから…?

「ベルハルトに浄化してもらうまでなるべく魔法は使わない方がいいから。ね」

「…分かったわ」

「お前は二度と顔を見せるな」

「あ…待てよ俺も忘れ物があるんだよ!」

アーベルを忘れ物とか…やっぱりこのひとひどい!

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