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確実に毛虫である

初の依頼を達成するために、依頼先へ向かう。

ギルドで仕事を申請し、目的地である街はずれの家に向かう中、ふと軽い気持ちでよしこに話かけてみる。

「よしこさん。毛虫の退治だけどいいかね。」肩に乗るよしこは、重たそうに体を起こす。

「ぴ?」

何の問題があるのだろうか?言うまでもなくall okだとでも言いたいのだろう。その体を傾け、まるで人間のように鳴いている。

「同族みたいなもんじゃないのかな...そういうのは関係ないんだなー」

そう、独り言のように呟いたとたん、なにや冷たい視線が・・・。

「ギャッギャギャっ・・・ッッ」

不協和音が脳内に響く。何だろう、逆鱗に触れたのだろうか。。。まるで、所詮畜生以下である毛虫ごときと小生を同一に語るなとでもいいだけだ。


・・・う、うるせえ。こいつ言葉わかっているのか・・?モンスターだし、そういうこともあるのだろうか、心が通じるってやつだな。。。

「すまんな。」

面倒だとは思いつつも、口に出すと、よしこは満足したのか、肩でおとなしくなった。


・・・


30分ほど歩いただろうか、街の外れにある家が見えてきた。

その外観は、お世辞にもきれいとは見えず、虫が大量発生していてもおかしくはない。

薄汚れた土壁は、翌朝には自然に還らないか心配になる。そもそもこんな状態の家の虫を駆除したとしても、すぐに大量発生するのではないのか・?いらない思いを巡らせ、その家の扉を叩く。


「おはようございますー。ギルドから斡旋受けて来ましたー。」

・・・・ゆっくりドアが開く。なかから出てきたのは、あまり健康状態がよく見えない1人の女性ができた。

服装を見るに若いため、20代なのか?とも思ったが、白髪まじりの頭髪や線の細さ、血色の悪さから年齢をぼやかしてしまう。


「あ・ああ、ありがとうございます。依頼した虫の駆除の件ですね。よろしくお願いします。この家の裏に出てくるのです。早く退治をお願いします。」


一瞬の戸惑いから、うってかわったように矢継早に出る言葉、なにを緊張しているのだろうか。少なからず疑問はあるものの、さっさと仕事を終わらせて帰ろう。

そういって裏に向かう。


あるきながら、その女性はこう言う。

「毛虫って嫌ですよね。私、よく・・虫って知らないので、気味が悪くて。。知らなくて・・・。」

なんだろう。妙に引っかかる言葉だ。ことばにつまりながら返答する。

「ま、まあ、女性は苦手な方多いですよね。」

「「・・・」」

話が広がらない。。辛い。。。早く完了させよう。お金をもらって帰ろう。。


そう思い、裏につく。裏は林が広がっており、見てみると、ところどころ木々があれた場所がある。

確かに被害は大きそうだが、これ、本当に毛虫か・?被害のサイズ感が違わないか?

その疑問を投げかけるか否かというところ、林の真ん中にうごめく1mほどの茶色と黒の毛の塊が見える。

こちらが見えるということは、相手も見えるということだ。早いとは言えないが、人の小走り程度レベルではあるが、こちらに向かって来る。


「・・・騙された俺?」

後ろを振り返ると、女性はもういない。

「・・ファッキンアーメン」


一見ふわふわに見える毛の塊だが、その毛の先には黒く淀んだ液体がたれており、仮に、仮にだが、触れた瞬間には間違いなくいやな重さを感じるであろう。


そういえば、図書館で見た本で、似たようなやつを見た気がする・・・。

「確か、プス・キャタピラー・・」


その本の中には、次のようにあった。

<外見は黒と茶の毛で覆われ、見た目はファンシーにつきる。見た目は。こいつのトゲはハチの針のような触覚だが、もっと嫌な代物である。刺さると同時に痛み出し、その痛みは骨まで達する。その毛の先に滴る液体は、痛みを誘発する毒であると同時に、敵対する対象にその毛がささる潤滑油のような役割も果たす。また、その毛にはご丁寧に微細な返しがついている。こいつは嫌いだ・・・>

著者の気持ちが学術的な本に記載があるなんて、不思議だなと思い、記憶に残っていた。


嫌な速さで迫ってくるその薄気味悪く見える物体を目の前にして、呟く。

「・・・・・どうするよ俺・・・。」


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