出稼ぎ
セリとシャミーは街を散策する。新たな出会いがある。
ミーレスの街を散策する2人。
「平和な街並みだな。」
今までの喧騒が嘘のように思える。
人々は陽気であり、大通りでは露天で騒がしくものを売る姿に心がおどり、自然と歩みが軽やかになる。
パイ生地で肉を包んだもの、牛肉の塊を串に刺してやいたもの、一口大の鶏肉を揚げたもの、様々な料理が賑わいの中売られ、その数多くの匂いが鼻孔をくすぐる。
「シャミーあれ食べようよ」
試しに牛串を買い、2人でほおばる。
「うまうまにゃー!もっとにゃ!もう1本!」
またたく間に、肉が消えていく。魔法か。俺は魔法でも見ているのだろうか。
フードファイターばりに消えていく食材。
店主が嬉しさ反面、異様な速度の食べ方に恐怖を覚え、顔がひきつっている。
「・・・もうないよー・・・」 店主のひきつった声が終わりを知らせる。
「何だ、もうにゃいのか。しょうがないにゃあ。またくるにゃ!」
気持ちのいい声が露天に響く。
「い、いくぞ、シャミー!」気恥ずかしさから、そそくさと大通りを逃げていく。
「あ、あそこで武器みよ!」
大通りを外れ、少しすすボケた武器屋にはいる。
はいると言った手前、こんなところに入って大丈夫か?ろくなものあんのかね。
とりあえず、逃げの一手で店にはいる。
ゆっくりと鈍い扉の音が店内に響く。
「・・・いらっしゃーい」しゃがれた声が聞こえる。
カウンターにいたのは、昼間だと言うのに酒瓶を片手に、目が遠くを見ている女店主がいた。
髪色はピンクで、少し立てて流れている。その様は、この店の行末を示しているかのような見た目である。
「ここらへんじゃ見ない顔だね。新人かい。適当にみといてくれ。まあ新人にゃあ何でもいいけどな。」
一瞥したあと、すぐに酒を飲み始め、こっちを二度と見ようとしない店主に怒りを覚えるが、言われたとおり店内を物色する。
ほこりをかぶった棚やテーブルはあるものの、武具には髪の毛一つ落ちていない。
また、刀身には光が満ちている。
以外に良い店なのか・・・?
どんっと大きな音を立て、扉が開く。
「おい!預けてた物取りに来たぞ!!!できてるだろ!」
大きな声とともに、そこにはゆうに2m近い大柄の男が入ってきた。
人というよりは、より野性味を帯びた原人であろうか。
服は小綺麗であり、そこだけは人類として見て取れる。
「でか・・・」思わず口から溢れる。
「あいよー。重たいだから、さっさと取っていきな。」そういって、取り出したのはその男と同じほどの長さの刀がカウンターに置かれた。全長は2m近く、刀身だけでも1.5mはあるだろう。一方で幅も大きく、女の足回りほどの幅を備えている。
あんなの振り回せるやつがいるのか。。。
「いい出来じゃねえか。やっぱそこらの鍛冶屋にまかせちゃだめだな。グリンディに任せるのが一番だな」
この女店主はグリンディって言うのか。
「ダエグ!うるさいやつだね。頭に響くから、少しは静かにできないのかねえ。」
「ははは!すまんすまん!」
そういって、変わらず大きな声で受け答えするやりとりに、少し面白さを感じる。
その男がこちらを見た。
「おお、てめえらはフードファイターのねえちゃんとその連れじゃねえか。こんなとこに買いにきてんのか、物好きなやつだな!まあグリンディものはいいから、安心して買いな!はははは!」
そういって突風のようにその男は店を出ていった。
「す、すごい人ですね・・野性味Maxでした・・・」
シャミーがあっけにとられている。もちろん自分もだ。
「あーいうやつなのよ、まあいいやつだから、気にしないで」
改めて、刀を見て回るが、値段が高い。本当に合っているのか・・?
こんなの手持ちで買えるわけがねえ。。。
財布を見ると、全く足りない。稼ぐしかないか。。。。
「ひやかしなら帰りなー。」
哀愁ただよう背中を見せ、店を出る。
「だ、大丈夫ですよ、セリ!金なんて、すぐ稼げますにゃ!」
慰めが無情に心に響く。
「ギルドで仕事でもするか・・・・やってること変わんねえな。。。」
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