辺境の街 ミーレス
ミーレスについたセリとシャミー。
ここから旅は始まる。
暗い闇を抜け、今までの喧騒が何もなかったかのように、山々の間から白くぼんやりとした光が透けてくる。
誰も何も起こすまいと、囁いていた草木は、朝露によりまた日々が始まることを感じ、緑々とした艶を魅せ始める。
闇の住人達は、自分たちの日の終わりを感じ、より暗がりに去っていき、また一方で、暖かな光を好む者は、我先にと、自分が生きていることの証明するかのように、生命活動を始めていく。
眩しく、自身を包んでいく一日の始まりを、セリは自身の門出と重ね合わせ、旅を続けていくのであった。
アンク王国の国境付近から続く、街道を数刻歩き、街を示す立て看板を目にした。
{この先、ミーレス.自然豊かな平和の街!}
その立て看板は少しすすボケていたが、やわらかな字体で書かれており、街を示すようであった。
辺境の街ということもあり、自然や平和というものをアピールするしか特徴が無いのだろうな・・・と少しさみしい気持ちを汲み取りつつ、今まで荒れていた旅路を振り返り、平和を噛みしめられることに、安堵する。
ぽつぽつと古びた家が見え、よりきれいに整備された木々や街道が現れ始めた。
「そろそろかな」
そういうと、辺境の街にしては中々大きな色とりどりの屋根を構えた町並みが見えてきた。
「お、ついたー!あれがミーレスか!」
逸る気持ちを抑え、一歩一歩歩いて街へ向かう。
元々セリが住んでいたのは、レアオ王国の首都ラヴァナという都市にいた。そこから見れば、ミーレスは小さくひなびた街であることは言うまでも無い。だが、自分の力で都市を旅たち、辺境とはいえ、国境を抜け、新たな街にたどり着いたことに一入の感動を感じる。
基本的な町並みはどちらも一緒である。ただ、ここアンク王国は軍事政権ということもあり、警備兵や軍服といった格好のものは比較的多く見られる。一方で平和な街であることも彼らから見て取れ、街の人達は陽気に彼ら軍服の者たちと挨拶を交わし、ラヴァナと同様に亜人・獣人も皆和気藹々とし生活が営まれている。
こんな街並みの中、背中にネコモドキを背負った俺がフラフラしていると明らかに怪しまれるのは間違い無い。
心配するかのように、そそくさと宿屋に入り、簡単に説明をして、部屋を取った。
「旅先で、友達が病気を患い、ゆっくり休ませてやりたいんです・・・」健気な少年を装い、宿屋の主人に訴える。
「そうか・・・広めの部屋があるから、そこを使いな。飯は下で食えるから、体長がよくなったら来な。サービスしてやるよ。」
優しいおじさんだなと思い、部屋の鍵を受け取り、向かう。
中々広めの部屋に入り、ベッドは親切にも2つある。
椅子を2つ相対して並べ、シャミーをその椅子に荒々しく座らせ、紐で手足をくくりつける。
「さあ、やっと静かな場所で落ち着いて話せるね」
虚ろな目のシャミーの目をしかと見て話す。
「まずは、意識を自由にしないとね。こんな状況の娘だと何もできないや」
そういって、頭を触り、シャミーの体内に入っている原虫を、取り除くよう指示した。
うっ…おえ…びしゃ…びしゃ…
意識を取り戻すシャミー
「・・・・てめえ、ふざけんな・・・さっさと解け!」
意識を取り戻した途端、うるさく喚きやがるやつだ。
「うるせえなあ。」 ・・どごっ
相手の顔面を殴りつけ、鈍い音がなり、黙らせる。その白い頬に血が滴り落ちる。
「・・ぺっ・・・何する気?」
「語尾が素に戻ってるぞ。今から行うのは、単なる趣味趣向ですかね。悪いようにはしない。」
そういって丸めた布を口につめ、布で口も塞ぐ。
「ここからは良い子は寝る時間だ。」
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