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逃走と追撃

アンク王国を目指すセリに教団から追撃の手が伸びる

アンク王国を目指すセリ

家族に気づかれないよう家を出る。

「今までありがとう。必ずまた帰ってくるから。」

そうつぶやき家を出ようとする。ふと机を見ると、机の上には少なく無い額の紙幣と1つの宝石マテリアルが。それとともに、両親からの手紙が添えてある。


・・・おそらくあなたはこの家を出るのでしょう。あなたに何があったのかはわかりませんが、私達に心配をかけまいと気丈としていることが見て取れます。必ず帰ってきてください。少ないですが、あなたのためにためてきたお金です。

あと、琥珀のマテリアルをおいて置きます。これは、我が家に伝わる大事なものです。必ずあなたを守ってくれることでしょう。肌身離さず持っていてください。


その琥珀には、何か記号のようなものが中央に印字されているように見える。

意味はわからないが・・・・。


「ありがとう。父さん、母さん。必ず戻ってきます。」

手紙を胸ポケットに入れ、静かに家を出る。


誰にも気づかれないよう街を抜け、プッシー・キャットを待たせている小屋を目指す。

人が動く以上、誰にも気づかれないということは無理だとセリは知らない。風の動き、人の気配、動物の喚き、木々のざわめき、そういった複合的なものを捉えることに長けている人物等いくらでもいるということを覚えていなければならない。神に使えるものはきれいごとだけではない、汚いものを処理する機関も十二分に存在する。それは国にいる政敵を神敵として処理することも多く、この国と宗教は密接な関係になっている。要はマヘス神を信じる教団は侮れないほどに大きいということだ。

・・・黒い帳の中、セリと時を同じくして動くものがいた。その影はセリをついていく。


「はやく行かないと」

そういってセリは暗闇の中を、音を殺して駆け抜ける。街を抜け、あのボロ小屋に到着した時は、すでにあらゆるもものが静寂に包まれている最中であった。

思ったより時間がかかってしまった。気を配り、音を殺して向かうということは、予想以上に時間がかかるものだ。

とはいえ、何事もなく、ここまで無事につけたことに安堵する。

ここから国境までは一刻ほど、そこからはもうアンク王国となる。一番近い街は、更に数刻ほどかかるため、今夜は国境を超えたところで野営をすることとしよう。

国境警備はあるものの、正規の手続きを経れば何も問題は無い。すでにギルドで作った身分証はあるし、いっぱしの成人である。建前上政教分離である公的機関の警備には教団絡みのものはついていないため、すんなり通れるはずである。仮にいたとしても、公の場で平和な一般市民の俺を捕まえでもしたら、反政府団体やブンヤがこれ見よがしに”国”というものを叩く口実にするだろう。どの国だって一枚岩じゃないのは、当たり前だ。

そうやって、自問自答しながら、おいていたプッシー・キャットに顔を合わせ、国境へ歩をすすめる。


「またせたな、さっさといくぞ」

プッシー・キャット『Yeah. I'm glad to meet you again!』

ほんとに、あの根暗女のモンスターなのかよ、こいつ・・・少しの呆れを心に留め、よしこをなでて、心を落ち着けた。

小屋を出て、幾分か国境に向けて、走ったところで、何か違和感を感じる。

何かがじっと自分のことを見ている気がする。

しかし、こんな暗闇の中、人の像等はっきり見ることができる者がいるのだろうか。

気の所為だと思い走り続けたが、依然としてその粘りつくような視線は俺を追跡している。

教団の追跡か?・・・やるしかない・・・


「おい、さっさと出てこい。教団のものか?」

よしことプッシー・キャットに臨戦態勢を取らせる。


ざわ・・・しげみから出てきたのは、見覚えがある獣人である。

そう、あの猫耳の受付嬢である。

猫の瞳だけが闇夜に鈍く光る。

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