非リアが悪魔と契約した結果……
俺の名前は、伊藤立木。
アニメやゲームをこよなく愛する大学二年生だ。髪は短髪で黒髪。顔はフツメン、背は百七十センチメートル。
俺は、カップルが憎い。いや、別にカップル全てが憎いというわけじゃないさ。
例えば、電車でいちゃつくカップル、街中でどうどうとキスするカップル。奴らは俺の敵だ。
某黄金の精神が主人公の漫画の敵キャラのように爆弾に変える能力を使って、奴らを爆発させたい。
俺は思う。そもそも、どうして恋人ができたくらいで自分が特別な人間というとでも言わんばかりに人目のつくところでいちゃつくやがるのか。
お前らなんか特別な存在じゃあないだろ。パートナーをつくる『だけ』なら、猿でもできる。いや、俺には作れないが。
だが、恋人を作るだけなら今時小学生でもできる。俺には以下略
にも関わらず、奴らは自分は千年に一度現れる伝説のスーパーサイヤ人になったとでも言わんばかりにSNSで自慢してきやがる。
やれやれだぜ。どうしてこう頭の悪い奴が多いんだ。まぁ、あいつらには恋人がいることくらいしかどうどうと自慢することしかないかわいそうな奴らということだな。
かわいそうだな、あいつら! ざまぁみろ。
(羨ましい……)
悔しいが、そう思った。強がってはいても寂しいものは寂しいのだ。もうすぐクリスマスである。クリスマスが近づくにつれ、虚しさが湧いてくる。
SNSで、彼ピッピと会えなくて寂しい〜/ _ ;と呟いてた女を見たことがあるが、本当うざい。
何がピッピだ!? ああ? 彼氏さんはフェアリータイプってか!? 指を振るをして、大爆発を引き当ててしまえ。
彼女いない暦の自分には、所詮恋人持ちで、会えない理由での寂しさなんて到底理解できない。
いるだけましではないのか。
まぁ、リア充と俺なんて、少年期のサスケとナルトみたいな状況でお互いに理解しあえないということか。
殺意に似た気持ちを抱えながら、俺はネットカフェへと訪れた。可愛い店員さんに挨拶をされる。この店員も所詮はイケメンの彼氏がいて、クリスマス(一年でもっとも交尾が行われる日)に、彼氏とベッドでドッタンバッタン大騒ぎするんだろうなぁと思った。
漫画とアイスを部屋に持ち込んだ。リクライニングシートでくつろぎながらアイスを食べながら漫画を読む。これが一番の自分の至福の時である。
漫画を読むのにも飽きたところで、アダルティックな動画を視聴し始める。AVには、斬新な設定のものが多い。主要なのは、透明人間だったり、時止めだったりするものである。急に透明化や時止めができるようになり、可愛い女の子にあんなことやこんなことをしてしまうという、夢のようなことをしてくれるのである。
適当に、時を止めることができるリモコンを手に入れた会社員の男性が、その力を利用して会社の美人OLたちに卑猥なことをする動画を視聴した。
そこそこ抜ける動画であった。女優たちの演技のレベルもなかなか高いと感じた。
動画を見ていて、自分にもい時を止める能力が欲しいと思った。犯されるのを拒む女性を時を止める能力によって、無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄してやりたいと思った。
そんな叶いもしないことを考えた時、ある『声』が頭から流れてきた。
「お前、力が欲しいのか?」
びっくりして、後ろを振り向いたが、当然のように誰もいなかった。
「自己紹介が遅れたな。私の名はリベル。力を与えてやろうか。」
突然の出来事にたじろうだが、立木は頭の中で問いかけてみることにした。
「な、なんだお前。何者だ?」
「私は、貴様らの世界でいう悪魔というべき存在である。もう一度訊くが力が欲しいのか?」
突然、悪魔と言われても信じがたいが頭の中に話しかけれている感じ、本当かもしれないと感じた。
「ち、力とは一体全体どういうことだ? それにお前はなんなんだ? 何が目的だ?」
「悪いが、あまり詳しく話すことはできない。これ以上質問するならノーとみなす。最後にもう一度だけ聞くぞ? 力が欲しいんだな。」
なかなか理不尽な対応であると思ったが、欲しいと言うしかないと思った。
「あ、ああ。欲しい。だができるのか? 一体どんな能力だ? それに何か寿命が取られたりとかはするのか?」
「お前が欲しいと能力、つまり時を止める能力を与える。あと別に寿命を取るなんてことはしない。」
「本当か? なら頼む。」
デメリットがないなら、力を手に入れるしかないだろう。時を止める能力を手に入れてあははうふふなことをしてやろうと思った。いや、せいぜいスカートめくりとかそんなレベルしかしないからね?
「了解した。」
そういうと、目の前に眩い光広がり、思わず目を瞑った。目を開けると黒い石のペンダントをしていた。そして、再び声が頭の中に流れてきた。
「私がペンダントとなり、お前に力を使えるようにした。ペンダントを握りしめ、『フリーズ!』と唱えよ。そうすればお前は時を止めることができる。」
「ほ、本当か。やってみる。」
期待一杯である。 頭の中はピンク色で染まりまくっていた。手始め目にアイスのカップを落とし、落下中に時を止めて見ようと考えた。
早速、左手にペンダントを握りしめ、右手にはコップを高らかに掲げた。
そして、コップを持っている手を離し、すぐさま呪文を唱えた。
「フリーズ!」
すると、コップがピタっと落下中に止まった。本当に止まった! と感動していたら、すぐにコップが地面い落ちてしまった。
「おお、お見事。大体一秒くらい止まってたな。」
リベルが感心した様子で話したがたった一秒ほどしか止まってないやないか! いやもちろん、時を止める時間には限界があると思っていたが、まさか一秒しか止まらないとは思っていなかった。一秒じゃパンチラを拝むのも厳しい。
「たった一秒しか時間止めれないの? なんか鍛えればもっと時間を伸ばせるようになるとか?」
「は? いや、そんなのはないぞ。」
ふざけんなと思った。まぁデメリット無しで時を止めれるのは確かにすごいが、たった一秒時を止めたところで何をしろというのか。
俺では一秒間に一発しかラッシュ(ある意味ラッシュではない)できないし、そんなバトル漫画みたいな展開など皆無である。
「時を止めることができる方法はないのか?」
「いや、あるぞ?」
「本当か!?」
朗報だと思った。全く早くそれをいって欲しいものだと思った。オラなんだかワクワクしてきたぞ!
「お前と同じ、特殊な能力を使えるようになったやつの魔石を破壊すれば時を止める時間を伸ばせるようになる。」
「は? なんだそのテンプレバトル漫画のような設定。」
「お? なんか以外と普通の反応だな。やっぱり大学生を選んで正解だったな。高校生くらいのやつだと厨二病のやつがまだいて、俺は選ばれし人間! とか言い出して、速攻やられるやついるけどお前は大丈夫そうだな。」
「あの? 一体なんで他のやつの魔石を割らないといけないんだ?」
「いいか? 俺らは悪魔だ。悪魔は人の欲望につけ込む。『男の性欲』は悪魔の絶好のカモだ。」
「ふむふむ。」
確かにそうかもしれない。
「自分以外の悪魔の魔石を破壊すれば、魔石から力を吸収できる。他のやつらすべての魔石を破壊するやがてこの世界に復活することができるんだ。」
「復活…だと…!」
どうやら自分はやばい奴と契約してしまったのかもしれないと思った。きゅうベェかこいつは。交わした約束を忘れたい。
「そんな警戒しなさんな。心配しなくてもお前には危害は加えねぇよ。他の悪魔の魔石を壊せば、どんどん時を止めれるようになるぜ。十分でも一時間でもな。お前にはやりたいことがあるんだろ?」
見透かしたように話しかけてくる。まさしく悪魔そのものであった。
俺は、テーブルに魔石を置いた。魔石を破壊しようと考えたのだ。拳で。
「おいおいおい、いいのかお前の望みかなえらなくなるぜ?」
結構慌てふためいたような感じで引き止めて来やがった。
「待てよ。とりあえず、何個かぶっ壊して、そこそこ時間止めれるようになってうふふなことしたらその時ぶっ壊せばいいじゃん。」
ものすごい必死にリベルは立木を引き止めた。もちろんこれは演技である。リベルは、人間の欲深さを熟知していた。どうせこいつも結局力を求めて最後まで戦いつづけると思っていた。
「それもそうだな。」
あっさり立木は魔石を破壊するのを止めてしまった。
(くくく……これだから童貞の人間は扱いやすい。)
SNSに投稿すればフルボッコにされそうなことをリベルは心の中で思った。
「それじゃ、早速他の魔石を破壊しに行くか。お前、どこに他の魔石持ちの人間がどこにいるのかわかるのか。」
「ああ、ざっくりとだがな。」
「それじゃ、案内してくれ。」
こうして悪魔、リベルは復活を目的に、立木はいかがわしいことを目的に手を組み、魔石を破壊する戦いに身を投じた。