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賞金稼ぎとエルフの少女  作者: 口岡 小海
6/6

第五話・・・それがいいと思います

草原に光が満ちていく

夕焼けとは違う赤さだ

「早起きだなアニエス」

アニエスは驚いた様子でこちらを向く

「昨日はあんなに気持ちよさそうに寝てたのに、悪い夢でも見たか?」

「...」

黙り込んだままだ

そういえば昨日は両親がいないと言っていたな

はぐれてしまったのか、もしくは死んでしまったのか...

「きれいな朝日だな」

「...」

「今日はいい天...」

「おじさん、アニエスは大丈夫だよ」

アニエスは言葉を遮り静かに言う

『おじさん』か...まあいい

「そ、そうか、ならいいんだ。それでだな、今日はデュードムへ向かうんだ。そこで君の親戚を探そうと思うんだ」

そういうと小さくうなずいた

二人でカートに戻り出発の準備をする

「おい、ミア!もう出発するぞ!早く起きろ!」

「うぅ...」

「まったく...手を焼かせないでくれ、ほら!起きろ」

「アーベルさん、私、あの子と話せる気がしませんよ...寝たふりさせててください」

毛布をかぶりながら小さな声で言う

「どこまで恥ずかしがり屋なんだ、本でも読んでればいいだろ」

「分かりましたよ!もう!」

そう言うとミアは起き上がってフードを被り本を手に取る

いつもカートの中で被らないのにな...

「アニエス、すまないな、こっちに来るか?」

「...」

「じゃあ出発だ」

デュードムの様子はどうなんだろうか

ダムヴィルがあれなら賑わっていると考えにくいが

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

しばらく走っていると街の門が見えてきた

王と教皇が住んでいるだけあってとても立派な構えだ

門は開放されているようだな、ダムヴィルの時は閉鎖されていたが...

門をくぐると人々の陽気な会話が聞こえてきた

大通りには馬車が走っていて店は客で賑わって教会からは賛美歌が聞こえてくる

「賑わってますね、この本には『王と教皇の住む街デュードム、そこは大国レスティオン王国の中心と言うに相応しい山のように大きな城、石でできた頑丈で美しい建築の家。この街がある限り、この国は永遠に繁栄を続けるだろう』って書いてありました。ダムヴィルとは全然違いますね、今回は本に書いてある通りです」

そんなこと書いてあったな、かなり前に読んだからな、忘れかけてる

「今日の予定の事だが、デュードムには今日を入れて三日滞在する。今日はとりあえずギルドへ依頼を受けに行ってアニエスの親戚の情報も探す、カートはそこに置いておけるだろうから街を歩き回れるだろう」

しばらく走っているとギルドらしい建物が見えてきた

ケリドのギルドセンターとは比べ物にならないほど立派な佇まいだ

「よし、着いた、三人とも中に入るぞ」

二人を連れてギルドセンターに入る

中は思ったほど人はおらず簡単に受付まで行けた

「ようこそ、デュードムギルドセンターへ。依頼をお受けですか?」

「ああ、あとカートを預けたいんだが」

「大丈夫です。それで、依頼は何にしましょう?」

「ナハトウルフ...いや、ここではルドゥニュイトか、その狩猟だ」

「かしこまりました、報酬は金貨1枚と銀貨50枚です。外で係の者が待っておりますのでカートをお預けください。では、お気をつけて」

外に出て係にカートを預け、大通りを歩く

道は人でごった返している

「すごい人だな、アニエス、ミア、はぐれないようにな」

「わ、分かりました」

「アニエス、ついてこれるか?」

「...」

黙ったままだ

しかし、はぐれてしまっては困るからな

「ほら、これなら大丈夫だろ」

手を差し伸べる

「...」

戸惑っているようだ

「嫌か?嫌なら大丈夫だ」

「ん...」

細くて小さい手が触れる

とても弱々しい、だが、何か感じるものがある...

「よし、行こうか」

大通りを人にもまれながら歩く

肉屋、魚屋、鍛冶屋...

さて、どこから始めようか

「アーベルさん!あの!あの店!行きたいです!」

ミアは興奮しながら指をさす

その先は...

「なんだ、肉屋か...食べたいだけだろ...」

「はい!食べたいです!」

まあ、別にいいか

どこにするか決めていなかったしな

「仕方ないな...」

店の前には色々な肉が並べられている

牛肉、豚肉、鶏肉、兎肉...

「こんなにお肉が...おいしそう...」

目を輝かせながらミアは肉を眺める

「いらっしゃいフードのお嬢ちゃん、肉が好きなのかい?」

店主の声に驚きとっさにフードを深くかぶる

「は...はい...」

「おすすめはこの肉だよ、大きいだろ?最高級の牛肉金貨2枚だ。どうだ?買ってくかい?」

「えぇ...ええっと...み、魅力的ですね...」

困った顔をこちらに向けて助けを求めている

「だろ?そこの鎧の兄ちゃん、このお嬢ちゃんの連れかい?どうだ?今なら値引きしてもいいぞ?」

「いや、結構だ。少し聞きたいことがあるんだ、ディユナンという家名の者を知らないか?」

店主は首をかしげながら答える

「少し...聞いたことがあるな...確かディュードムの魔法使いの家だったかな、それくらいしか知らない」

「そのことだ、もっと知っている人物はいるか?」

「いや...その人物について知ってるかは分からないが、魔法使いの家ならポーション屋が知ってるかもな。ここの向かいだ」

「感謝する、では」

店を出ようとするとミアがつついてきた

「アーベルさん...あの...あのお肉を...」

「ダメだ、ほら、行くぞ」

「そんなぁ...」

店を出て大通りに出る

あれがポーション屋の看板か

人気が無く周りの店と比べてすこし怪しい雰囲気が漂っている

道の人々をかき分けながらなんとか店の扉までたどり着く

扉を開くと独特の臭いが鼻を刺激する

「客か...ようこそ、いらっしゃい。何をお求めで?」

店の奥から人が出てくる

「買いに来たわけではない、人探しで聞きたいことがあるんだ」

「なんだ...さっさと済ませてくれ」

怪しげな店主だ

何か知ってるかもな

「デュナンという家名の者を知らないか?」

「俺だ、デュナン・エリク。何の用だ」

当たりだ

詳しく話を聞くとしようか

「ダムヴィルに親類はいるか?この子、アニエスの両親だ」

「ああ、俺の弟が居る。アニエス...弟の娘だ、なぜここに居るのかは分からないが」

「ダムヴィルで病が流行って市民が息絶えているんだ。市民を救出するときにカートに迷い込んでいてな、両親がいない様なんだそれで親戚を探すために連れてきた。」

「なるほどな、ダムヴィルで病が流行っていて人々が死んでいる...よし、教えてやる。病を流行らせたのは俺の弟だろう。あいつはもともとここに住んでいた。十二年前か、結婚してダムヴィルへ移ったんだ。だが、妻はある時病に倒れ、亡くなった。それからあいつは亡き妻を復活させようと禁忌に手をだしたんだ。その『病』と言われているのはその禁忌かれ生み出された呪いの可能性が高い。俺の弟もそのせいで死んでいるだろう。愚かな奴だ」

「詳しく聞きたいこともあるが...まず、頼みたいことがある。この子を引き取れってもらえるか?俺といるより親戚と暮らした方が幸せになるはずだ」

「断る。あいつは禁忌を使った。一人の魔法使い、人間としてその子を引き取る訳にはいかない。なんならあんたが引き取ればいいだろう。この子はもう『デュナン』家とは縁がない。もう帰ってくれ」

そういって店主は俺たちを押し出そうとする

「待てくれ!」

「出て行かないのなら無理やりにでも出すぞ。警告はした。さあ、出て行ってもらおう」

仕方ない...出るしかないか

せっかく見つけたと思ったが、断られるとはな

『禁忌』か...ケリドでは死罪にあたることだ

信仰心の厚いこの国ではそれ以上の罰が与えれれるのかもな

「アーベルさん、あ...アニエスちゃんはどうするんですか...」

答えは一つだ

「こんな小さな子を見放すわけにはいかない。俺が引き取る」

ゆっくりとミアは頷く

「はい...それがいいと思います」

アニエスはどうだろうか

出会ってからまだ一日しかたってないが

「こんな俺で大丈夫か?」

「アニエス...分かんない...分かんない...」

「ああ、時間をかけて答えをだした方がいい。いくらでも待つからな」

「...うん」

このままだと空気が悪いな

何か気分転換ができればいいのだが

「しばらく...歩くか」

太陽が傾き空が紅に染まる

人通りは昼と比べて少なくなったが活気は失っていない

酒屋が賑わっているようだ

今日は入る気がしないな...

夕ご飯はシャルティエで済ませるか

「二人とも、そろそろ腹が減ったころじゃないか?今日はあの店にしよう」

「そうですね...」

「...」

店に入ると店員が席に案内する

いい香りが店内に漂ってるな

「俺は決めたが、二人はどうだ?決まったか」

「はい、決まりました。この『カモのコンフィ』にしてみます」

やっぱり肉料理か

「アニエスはどうだ?」

「いらない...」

「そうか...食欲がないときは食べない方がいいが。しばらく何も食べていないじゃないか。今は食べたほうがいいと思うぞ」

「...」

なにか頼んでおこうか

「おい!注文だ、子羊のグリエとサーモンのグリエそれとカモのコンフィ」

「かしこまりました」

アニエスの様子をうかがってみるが相変わらず黙ったままだ

混乱してるのか落ち込んでいるのか

ミアも今日は落ち着いている

時間もたってないしな、仕方ない

「注文お持ちしました、銀貨5枚です」

店員に銀貨を払い料理に手を付ける

『いらない』と言っていたアニエスもフォークを口に運ぶ

周囲の音と食器の音しか聞こえない

結局何も話さないまま食事が終わってしまった

外はもう暗くなっている

「今日は宿屋で泊まるか」

外に出て適当な宿屋を見つける

1泊銅貨70枚という安さだ

入ってみると家具は古いし部屋は汚い

もっと良い部屋を見つければよかったが

今日は結構金使ったしな節約しないと...

明日は稼ぎを出さなければな

「久しぶりのベット...ですね...」

珍しくミアから話題を振る

「そうだな、1台しかなが...ミア、アニエスと一緒に寝てやってくれ。俺は座ってても寝れる」

「アーベルさん、か...勝手に...!」

「俺と寝るよりいい。そうだろ?アニエス」

「...お姉ちゃんと...一緒...?」

そういえばミアとアニエスが話してる光景は見たことがないな

こんな関係が急接近するなんて大丈夫か心配だが...まあ、なんとかなるか?

「あ...アニエス...ちゃん?一緒に...寝ようか」

やっぱり慣れてないな

明日にどうなってるか、少し楽しみだな

今日のままか関係が一歩進むか

今日は歩き疲れた

俺は椅子に座って眠りに落ちる

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