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賞金稼ぎとエルフの少女  作者: 口岡 小海
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第四話・・・分かんないです

眩しい...朝か...?

まだ朝も早いからミアも寝ているだろう、起こすか...

「アーベルさーん、起きてくださーい」

ん...?

「朝ですよー、起きないと昨日私にしたみたいに毛布を...」

寝坊したか?いや、ミアが早起きしたのかもしれない

「今日は早いな、ミア」

「アーベルさんが遅いんですよ!」

そう言ってミアは俺の毛布を剥いだ

この俺が寝坊をするとはな...三カ月ぶりくらいか

「もう!で、今日はどうするんですか?」

「今日はだな...ギルドセンターに行って報酬をもらってからレスティオン王国

に入る」

「レスティオン王国ってどこですか?」

そうか...ミアは自分の住んでいる国の場所くらいしか知らないのか

「ここから北に行ったところにある国だ、この本にはな...『街は美しく輝き人々の顔は笑顔で満ちている。教会では毎日賛美歌が聞こえる』って書いてある」

「いい国なんですね!きっと!」

ミアは興奮しながら言った

今まで森で過ごしてきたんだ知らないのも無理はない

俺もこの本くらいでしか世界を知らない

「その本は...なんですか?」

「ああ、この本はだな、俺の一番大好きな本『フィンガルの世界』という本だ。この本はこの世界について書かれていて著者はエスターノ共和国の商人。この商人は世界を回った後に大儲けをした。俺はこの本を読んで世界を回り、大儲けしようと行商人になったんだ」

この本は俺の欲望と冒険心を満たす全てが書かれていた

高価だったが買うべきだと本能的に思った

「そうなんですか...この本はこの冒険のきっかけでもあったんですね」

興味深そうにミアは本を見る

「どうだ、次の街に行く間読んでるか?」

「い、いいんですか?なら、遠慮なく!」

「文字は読めるのか?エスターノ語だぞ」

「はい!読めます!あと、レスティオン語も!」

ミアは本を手に取り食い入るように本を読み始めた

この歳で三か国語を読めるとはな...

エルフの知能は計り知れない

「じゃあ、出発するぞ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

街の門まで来た

「止まれ!ここはレスティオン王国教皇ウジェーヌ様の領地ダムヴィルだ、貴様らは何者だ!」

マスクを装着した守備兵がこちらに向かってくる

「あ...アーベルさん...?大丈夫なんですか?」

カートの隅で縮こまりながら小さな声でミアは訊いてくる

門を通る時の守備兵の対応はケリド王国とは相違ないようだ

だが何か違和感を感じる、何かに怯えているような

「我々はケリド王国から来た行商人だ、ここを通してほしい」

「荷物を見せてもらう」

そう言って兵士は商品を一つ一つ確認していった

「よし、いいだろう。通れ」

門をくぐると明るい街がみえる

と思っていた

街は暗く笑い声の代わりに泣き声が聞こえ

大通りの道端には布にくるまれた人が転がっている

空を見上げると黒い煙が街の所々から立っている

「本に書かれていたのと...違う...?」

外の様子を見てミアはつぶやく

本が書かれてから時間がたっているから多少の違いはあると思ったがこれほどとは...

そういえば、あの本の資料集に『疫病には注意せよ』という項目があったな

『道に屍の山あり、黒き煙立つ街、疫病あり。すべからく口を覆うべし』

この街の状況と同じじゃないか

「ミア!早く口を覆うんだ」

「は、はい!」

近くにあった布で口を覆う

あれは教会か?

大勢の人が集まっている

「あぁ、神よ!なぜ我々をこのような目に!」

「我々が何をしたというのです!」

「神よ!どうか救いを!」

「この街を呪いから解き放ちたまえ!」

神の災い...か...

人々は天に手を伸ばしながら祈る

通り過ぎようとすると住民の一人がこちらを向く

「行商人...行商人様!どうかここからお助けを!私をこの街から出してください!」

その声を聴いた人々は一斉に寄ってくる

「私も!どうかこの地獄から!」

「ディュードムへ連れて行ってください!教皇様なら治せるはず!」

「病気の父も乗せていってください!」

「俺ならいくらでも金は払える!だから乗せてくれ!」

なぜこんな...

「待て!寄るな!離れろ!なぜ乗ろうとする!門から抜けられるだろ!」

「無理なのです!門の野蛮な兵士どもが外に出すことを禁じるのです!ここから出ればこの街にかけられた呪いから解き放たれ、病も治るはずなのです!なので、その荷車に乗りこっそりとディュードムへ連れて行ってほしいのです」

なるほど、おおよその事は分かった

「アーベルさん、どうするんですか...?」

こそこそ後ろに近づき聞いてきた

どうしようか、彼らを乗せてここから出す代わりに乗車料を取るとしようか。ここから出るときには恐らく兵士がカートのなかを見るだろうな。だが、『奴隷商人』といえばなんとかなるだろう

「金貨一枚を払えるものは後ろのカートに乗れ、ここから出してやろう。門の兵士には『奴隷商人』と説明する。きれいな衣装は隠しておけ、ここから出たら好きなところへ行くといい」

そういうと人々は我先にと乗り込んできた

「行商人様、金貨一枚など私には払えません!どうか...お願いです!乗せてください!」

「人数を絞るためだ。他の商人が来る時に頼むんだな」

「ああ、なんて残酷な!この悪魔め!人の心を持たぬ悪魔め!貴様には天罰が落ちるだろう!」

置いて行かれた人々は去っていく俺に罵詈雑言を浴びせる

「あ、アーベルさん...」

ミアはフードを被り怯えている、こうなるのも仕方ないな

今日はここで商売をして宿で泊まろうと思ったが無理だろうな...

とりあえずここから早く出ようか

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「止まれ!行商人か?荷物を確認させてもらう」

兵士はズカズカと入ってくる

「こいつらはなんだ?」

兵士は後ろに乗っていた人々の顔を一人一人確認しながら言う

「俺は奴隷商人だ、商品は貴重なんでね、触らないでもらえるか」

「フン、そうか。よし、通っていいだろう」

「おい、この街の現状を教えてくれるか?」

「この街は病が流行っている、感染したら肌が黒くなる病気だ。悪魔が我々に災いを与えているんだ。俺は上官に行商人と宣教師・外国人以外門を通すなと言われている。あんたも病に気をつけろよ、病は悪い空気を吸ったら感染するらしい。布で口を覆ってれば感染しないだろう」

「感謝する、じゃあな」

しばらく草原を走って森の近くに着く

「よし、俺はここで泊まる。お前たちは自由だ、近くに街もある」

「ありがとうございます!この恩は絶対に忘れません!」

カートに乗っていた人々は草原の向こうへと消えていった

今日は本当にすごい体験をした...ばれていたら危うく捕まるところだったな

「あのー、アーベルさん。カートにまだ女の子が乗っているんですけど...」

カートから出てきたミアが言う

中を見ていると女の子が一人寂しそうに座っていた

「どうしたんだい?お父さんとお母さんは?」

「いない...」

どういうことだろうか

「親戚のお家とかは分かるかい?」

「分かんない...このカートにいつの間にか乗ってたの」

うーん、おおよその事は分かった

「俺はアーベル、彼女はミアだ。恥ずかしがり屋だけど、優しいからな。安心して話しかけるといい。君の名前は?」

ミアは隣でこっちを見ながら困った顔をしている

「アニエス...アニエス・デュナン」

「じゃあ、アニエス。今日はもう遅い、泊まっていきな。ハンモックは四つあるからな」

アニエスは顔を一回上げてからまたうつむいた

「ほら、とりあえず横になるんだ。目を閉じれば眠くなる」

ゆっくりとハンモックに横になる

それからしばらくたってアニエスは眠りについた

「アーベルさん、困りますよ...あんな紹介されたら...私...」

「なあに、友達、いや、妹?ができるチャンスじゃないか」

「えぇ...も、もういいですよ!おやすみなさい!」

ミアも寝てしまった

アニエス...か

明日もっと詳しく話を聞いてみようか

・・・

・・

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