第一話・・・出会い、そして始まり
賞金稼ぎのアーベルはケリド王国での商売が思うようにいかずギルドマスターの提案で行商をすることにする
そして、一人のエルフと出会う
「もう稼げないか...」
手にしたわずかな金を見ながら言う
ここで商売を始めてからしばらくたった
最初のころは順調に稼げたがだんだん厳しくなってきた
ギルド賞金だけでは稼げないと感じた頃から家を借りてよろず屋を始めたが今ではもう赤字続きだ
「出てくしかないな」
そう呟きながら家の荷物をかたずける
ドン!ドンドン!
ノックの音だ...
誰が来たかはもう分かっている
「家賃取りに来たよ、あら、かたずけなんかしてどうしたの?」
「もう出てくことにしました。稼げなくて...」
「でも家賃は払えてるじゃない」
「貯金ですよ。今までありがとうございました」
銀貨を数枚渡し話を切り上げ扉を閉める
昼までにはここを出るか
そんなことを考えながら荷物をまとめ大通りに出る
今から何をすればいいのやら
売れ残っていた商品と自分の荷物を手に街を歩く
相変わらず人が多い
流石はこの王国の都だ
ギルドマスターに最後の挨拶を言いに行った
「アーベル君、また来たのか。賞金付きの依頼はもうないよ」
「分かってますよ。最後の挨拶をしに来たんです。長い間お世話になったので」
「そうかい、まあ、いい判断だと思うよ。この街のほとんどの依頼は君がこなしてしまったからね。それで...この先どうするんだね」
そういえばまだ決めてなかったな...
「まだ決まってないんですよ」
「そうなのか...」
マスターはしばらく考えてから言った
「行商してみないかい?馬とカートを買えばすぐにできる。初期出費が大きいが旅を続ければ稼げる。それぞれの町のギルドセンターに行けば賞金付きの依頼もあるだろうし、君の能力なら簡単にこなせるだろう。どうだね?」
そういえば小さいころから旅に出ることが夢だった『いつか世界を回るんだ』なんて母によく言っていた
「そうですね...やってみるのもいいですね。どうせなら世界を回りたいですね」
「世界を回りたいのか!?驚いた...そんなことを言うやつは少ないぞ。世界を回るなんて、確かに稼ぎは大きくなると思うが...死ぬかもしれぬのだぞ。いくら君の腕でもさすがに無理だ。少なくとも二人で行くんだ。馬もカートも倍買わなけらば」
かなり焦った様子でマスターは話す
「誘ったのはそっちでは...?」
「国内とその周りの国の話だ!まさか世界を回りたいだなんて...そんな奴はほとんどいない」
でも、稼ぎたいし世界も回りたい、貯金を全部使えば馬もカートも十分買えるだろう...連れていく人のあてはないんだが...
「俺、やります。ではまたいつか」
「お、おい!」
呼び止めるマスターを背にセンターを出る
どうせ戻ってもろくでもない話を聞くだけだ
とりあえず馬とカートを買いに行こうと知り合いの店に向かう
「いらっしゃい!アーベルさん。相変わらずの鎧姿だなだな。なんの用だい」
「カート三台と馬四頭買おう。カートには屋根をつけてくれ、一台は宿舎として使う。馬は世界を回れるような強い馬を頼む」
「毎度あり!金貨百枚だ払えるかい?」
「おう、これだ」
袋に入れた金を店主に渡す
「アーベルさん、あんた、『世界を回る』って言ったな。気でも狂ったか?」
笑いながら店主は訊いてくる
「狂ってるかもな、まあ、稼いで帰ってくるから待ってろ」
「よく言うぜ...幸運を祈るよアーベルさん。外で店の奴が準備してると思うからあとはそいつから馬とカートを受け取ってくれ。馬はもちろん操れるな?」
「ああ、全く問題ない。ありがとよ」
店を出たら馬とカートが準備されていた
「あとは大丈夫だ、ありがとう」
「そうですか、お買い上げありがとうございました。良い旅を」
これで貯金がなくなってしまった
よろず屋をしていたころの商品をカートに積み準備を整える
「さて...あとは人手か」
どこに行けば出会えるか分からない...酒場か?
酒場に向かってる途中後ろから声をかけられた
「あっ、あの!行商人の方...ですよね。い、一緒に連れてってください!」
服装のせいで人から話しかけられることはあまりない
こういう職業は話しかけられるのだろうか
後ろを振り返ってみるとるとそこには弓を携えフードをかぶった少女がいた
「なんだ?連れて行ってほしいと言ったか?」
「はい!連れて行ってほしいんです!」
無駄に声がでかいな...
「なぜ連れて行ってほしいんだ?」
「外の世界を見たいんです!」
志は同じようだ...連れて行ってもいいと思うが
「いいだろう、だが条件が二つある」
「はい!ありがとうございます!条件とはなんですか?」
「一つ目、私は行商人だ。だが店員が一人もいない。君が最初の店員になるんだ」
「いいですよ!なりましょう!」
「二つ目、宿舎のカートは一台しかない。だから、同じ場所で寝ることになる。いいな?」
「はい!連れて行ってくれるなら!」
この娘は何か変わってるな...俺以外の人に話しかけてたらどうなったことやら...
「よし、なら乗ってくれ」
これで人手はそろったな
店の経営は二人で十分だろう。それ以上だと給料も払わなければいけないし面倒だ
都を出てから彼女は宿舎の窓からずっと外を見ていた
それからしばらくして日が暮れ辺りが真っ暗になった
急いで旅をしているわけではない。今日はここで休もう
止まった場所は何一つない平原だった
この辺りは王国の警備兵がいるからモンスターを警戒する必要はない
「今日はここで寝よう」
「え、あ、はい...」
さっきと違って声が小さくなった...やっぱり変わってる...
カートを改造して作ったこの宿舎は案外落ち着いた
彼女は部屋の隅で固まってる
「何やってんだ、そこの椅子にでも座れ」
「あ!はい...」
「フード、外してくれるか?」
「そんなさっきからずっと鎧を外さない人に言われても説得力無いです...」
痛いとこつかれた...
「ま、まぁ...」
「分かりました。外しますよ」
そう言って彼女はフードをとった
艶のある金色の長い髪と透き通るように白い肌があらわになる
そして、彼女の顔に目を向ける
彼女の顔は今まで見たことがないほど
「かわいい...」
思わず口からこぼれてしまった
「や、やめてください!そんな...私は...可愛くなんかありません!」
彼女は顔を真っ赤にしてそういった
その姿も可愛い...
見とれていると耳に視線がいく
耳が尖っているな...エルフか
あんな都に住んでいてもめったにエルフは見ない
彼らは森の番人であるからだ
彼女は何か特別な理由があるのだろう
「そ、そういえば名前を聞いていなかったな。俺はアーベル・フォクトだ」
「ホルム...ホルム・ミアです」
「そうか、ミアって呼んでいいか」
「好きにしてください!」
さっきの事まだ気にしているみたいだ...
「それで...なんで外の世界を見たいと思ったんだ」
「...」
「あのー...」
「森だけの生活に飽きたんです。だから、どうしても外に出たくて...でもそんなことを両親に言ったら『あんたは変だ』って言われて...ほかの仲間にも言ったんです。でも、答えは同じで...」
「なるほど、それで悔しくて出てきたと?」
「はい...」
ミアの事はだいたい分かった。これからかなり長い間ともに旅をすることになるだろう。いろいろな意味でミアと出会えたのは幸運だった。
ミアは大きなあくびをする
「とりあえず、もう寝るか」
「そうですね、ここのハンモック使っていいんですか?」
「ああ、使ってくれ」
「ありがとうございます。では、おやすみなさい」
そう言ってミアは横になった
男が居るというのにこんなあっさり寝てしまうとは...
自分も灯を消してからハンモックで横になった
この旅が成功すればな
・・・
・・
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やっぱりファンタジーは難しい!
これから先どうしていけばいいんだ...
この作品を楽しんでいただけたら幸いです
次回をお楽しみください




