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狂気の姉とイマドキの妹  作者: けじゃ
調査編
11/13

荷物持ち

戦闘成分と残虐成分の境目がわかりません…


試験的に会話同市の行間も開けてみました。

 智子は聞いて居た道を歩き領主の館前に辿り着いた。

 そこは侵入者を入れない為の高い壁と堀に囲まれた建物を屈強な肉体を持つ兵士が門番をしていた。

 とりあえず残りの情報が確かか確認する為に屋敷の周囲に走る道を堀に沿ってぐるりと回る道を歩き始めると、

 道のあちこちで守備隊と違う格好をした兵士を見かける。


 聞いた情報では外壁の東西南北に門があり、それぞれの門から街の中央にある領主の館に向かって道が走り、

 館の堀外周の道で全ての道の交わる形だ。

 これが王国で主流の街の形らしく、あとは街の大きさがその地方の重要度と比例しているそうだ。ちなみに、この街の規模は中々大きいらしく、

 それに伴って領主の私兵はかなりの強さを持って居るらしい。

 これまでに対峙した司祭とリディの強さは大した事無かったが、そもそも守備隊は領主の直轄ではなく王国の所属らしくその強さも私兵とは違うそうだ。


 街を守るのが守備隊、領主を守り外敵に立ち向かうのが私兵だそうだ。

 指揮系統が二つあるのは逆効果な気がしたがそういう物だと思ったがまぁ敵側なので気にしない事にした。

 そしてやはり館の入り口は最初に見た南側のみで間違いなかった。


 ちなみに街の情報を聞いた相手は魔術店を探す際に声を掛けてきたなんとまぁ軽い感じの若い男で

 、僕を裏通りに連れて行こうとしたのでそのまま建物の影になるところで優しく(・・・)お話をして、サヨナラしたのだが、

 上手に跡を隠せてないのでそろそろ騒ぎになるかもしれない。


 入り口まで戻ってきたしさて、()るか。


「こんにちわ、兵隊さん」


「こんにちわ、お嬢さん。ここは領主様の館だから用の無い人は近付いたらいけないよ。それにさっき裏通りで殺人があったそうじゃないか。物騒だし早く家に帰りなさい」


「そうなんですか?あ、そういえば僕怪しいひとを見ましたよ」


「何!?詳しく人相を教えてくれないか?」


「えーと、髪の毛は黒で、前髪は目が隠れる程度に垂らしていて後ろ髪は後ろに一つで縛ってました。

 背丈は163センチくらいで体重は40キロ後半ですね。あと白い半袖ワンピースと上から赤白チェックのストールを掛けてました」


「ふむふむ。なるほど協力感謝す…る…?何だか君に似た格好なのだね?」


「はい、って僕がやりましたから。それより領主はいますか?聞きたい事があるので通りますよ」


 僕の言葉を聞き、門番の2人が優しそうな雰囲気から一転して睨むだけで人が殺せそうな目付きになる。

 間伐いれずに1人が首元の笛を吹き、もう1人が武器を構えて僕と対峙する。

 よく訓練されているようで中々の動きだ。

 でも僕よりは遅い、まぁ敢えて止めなかったんだけども。


 そう、どの道事が進めば僕の存在がバレるという事は覚悟していたのでその対処をする為に獲物を一箇所に集める必要があったのだ。

 そしてその準備は出来たようなので千嘉を左腕だけで抱き、右腕を完全変化させた。


「きっ君!いや、お前は魔族だな!?どうやって街に入ったかは知らんが覚悟し」


「遅いよ」


 かっこいい台詞を言い終わらない内に2人の門番を同時に胸のあたりから一刀両断する。

 いや、これだと一爪両断か。

 それに魔族?そうか何だか僕は人じゃなくなったみたいに感じていたけど魔族になっちゃったのか。


 館の門を潜り、敷地に足を踏み入れると至る所から兵士が現れ取り囲まれた。

 剣、斧、槍、弓、杖といった武器を持った兵士達の中から一人の男が進み出る。


「貴様、娘に成りすまして街に侵入し何を企む。それに若い男を殺すだけじゃ足らず、司祭様とリディ殿を殺したな?

 魔族に彼らの無念がわかるわけもなかろうが、ここで彼らの無念を晴らしてくれる!総員かかれ!」


 次々の僕に矢の嵐が降り、鋭い剣戟が首や肩、腰に襲い掛かる隙間を縫って槍の突きが僕ではなく千嘉を狙ってくる。

 杖を持った人たちが聞き取れない大きさで何かを呟く。

 僕は千嘉に届きそうな攻撃だけを抱いたまま避けつつ、避けられない攻撃だけど爪で弾き返しながら動体視力や素早さも前よりずっと上がってる事を確認する。

 このままじゃジリ貧になりそうなので、一旦距離を取ってから態勢を戻し、口で反撃する。



「おじさん達いくらなんでもそれはないんじゃないかなぁ。何も寝てる子を狙わなくても」


「黙れ!守備隊の話では貴様の妹だそうだな!妹も魔族に違いない!」


「僕、元人間なんだけど」


「そんな話は聞いたことない!各員!抱いている幼女を狙え!」


「種族差別は辞めよう」


「人が魔族を差別して何が悪い!詠唱放て!」


 より怒りを増したのか攻撃の密度が上がり、躱す僕の僕の足元から出てきた木の根が足首に絡みつき、動きを阻害された。


「かかったな!それは領主様お抱えの魔術師の束縛の魔術だ!どうだ、動けまい!畳みかけろ!」


 再び取り囲んだ動けない僕に向け全方位から逃げ場のない攻撃が飛んでくる。

 僕は千嘉に攻撃が当たらないように腕と体で千嘉を守り、こんな攻撃ははじき返してやる!と気合を込めた。


「なっ!?」


 僕に当たった攻撃は全て甲高い音と共に跳ね返され、いくつかの武器が折れた。

 どうやら僕の【極大変化】は皮膚の固さも上がっているらしい。


「なるほどなるほどちょっとひやっとしたけれど、杞憂みたいだったね。じゃぁ次は僕の番だよ」


 足首に絡む木の根を足の力だけで無理やり引き抜き、大上段に腕を振り上げ一番近い兵士に振り下ろしながら爪を伸ばす。

 頭から股下へ、わき腹から首筋、両手両足の付け根へ一瞬で腕を動かしてバラバラの人間の完成だ。

 王国騎士団の連中の鎧や兜より上等そうな物に身を包んでいたのにあっさりと斬れてしまった。

 力も上がってるのも確認できた。


「ぎゅえ」


 よく聞こえなかったけど、刻まれた人の最後の言葉がこれだ。

 その光景を目の当たりにして兵士の足が無自覚に下がった。


「さてと、いろいろ確認できたので満足しました。ではさようなら」


 残像すら残さない速さで次々と首を落とし、胸を突き刺し、人間を壊していく。


 10数えないうちに逃げ出した数人以外、誰も立って居る人がいなくった。

 守備隊より強いって言ってもこの程度か、まぁ僕はすごく強くて早いから逃げ出そうとするやつも逃がしはしないよ。

 逃げ惑う兵士を背中から爪で突き刺し、片付ける。


「さて、戦える人は全部殺しただろうし館に残ってるはずの領主を探そう。たしかこんな感じだったっけ?」


 目を閉じて自分の心臓を意識する。

 そして心臓の暖かさを意識するようにして自分の身体の外へ向ける。

 千嘉を探すときに使った魔力の別バージョンで生命を探す感じかな。

 さしずめ生命探知って処かな。


 集中して反応を探すと館の三階の中央に4人固まってる反応と、一階の隅っこに10人以上の反応があった。

 おそらく三階の方が本命なので、一階のほうから行ってみる。


 館の中は調度品や絵画、花瓶に入った大きくて綺麗な見たことのない花があって、管理の行き届いている空間った。

 でも僕はそれを見て掃除が大変そうだなぁとか思うくらいしか感想が出なかった。


 一階の反応があった部屋の扉を開けるとそこは寝具が積まれた部屋だった。

 確かこういう部屋をリネン室とか言うんだったはず。

 中に入ると10人分の押し殺した悲鳴や呼吸が僕の耳へと届く。

 どうやら聴覚もよくなっているらしい。


「さて居るのはわかっています。無駄な事したくないので出てきてください。出てこないなら部屋ごと斬ります」


 観念したのか出てきたのはメイドの恰好をした少女8人とおばさんが1人、コック帽をかぶったおじさんが1人。


「お願いです!私たちはこの館のメイドとコックです!私たちは戦えません!命だけはお助けください!何でもします!」


 土下座に近い座り方をしたおばさんとおじさんが、涙で化粧をした顔をぐしょぐしょにしながら僕の足を掴んで懇願してきた。


「鼻水付けるな、汚い」


 脹脛に鼻水と涙とよだれが混ざった汚い汁を付けられ、思わず首を跳ねて殺してしまった。

 残ったメイドの少女達が泣き叫ぶのを我慢してこちらを見た。

 皆、恐怖に顔が歪んでいるのに一人だけ普通の顔のようにしている背の高い子がいた。


 その子は少女というより僕より年上の女性に見え、背は僕より10センチ以上高く、何より耳が獣耳というかウサギの耳だった。


「え?ウサギの耳?」


 思わず口に出た疑問はその本人に聞こえたらしく、一人で前に進み出る。

 残った少女達はジルという名前らしい言葉を口にし、引き止めようと試みるがそのジルは僕の前に立ち、ひれ伏した。


「厚かましいかと存じますが一つお願いがあります。私は獣人ウサギ族のジルと申します。元よりこの状況では私の命は無いも同然です。

 そこであなた様にこの命を差し上げますので何卒この少女達を見逃してはいただけませんでしょうか?聞き届けていただけるのでしたら、

 この身どんな殺され方をされようがはたまた畜生に劣る扱いだろうが異議は申し上げません。どうかどうか何卒お願い致します」


 僕はジルをじっと見た。

 この世界で初めて獣人というものと自分の命を差し出して他人を助ける人をだ。

 しかもちょっと、いやちょっと処ではない。

 眉も細くて目が大きく、ふっくらかつスッと切れた目、高くも低くもない鼻と女のはずの僕が思わずキスしたくなるプルプルの唇。

 胸はこぼれる一歩手前でメイド服の中から自己主張が激しく、腰とお尻のラインもキュッボン、そして足がめちゃ長い。

 声も宝なんとかの人たちのようでカッコよく非の打ちどころが見つからないくらいの美人だ。


 そこまで詳細に観察した僕は数秒間固まってしまい、ジルが不安そうにこちらを見ていることに気が付いた。

 そりゃ命を差し出して同僚を見逃してほしいという願いが叶うのかどうかわからないからだろう。


 ふと気が付いた。

 さっきのような戦闘の時に、僕がいつも抱っこしている千嘉を誰かに任せることができたら楽ができることに。


 数瞬の間考え込み、そして僕は決めた。


「わかった、その申し出受けるよ。でも君は今後僕のメイドにする。奴隷という制度があるかどうかも知らないけど丁度今荷物持ちが欲しい所なんだ。

 以後、君に自由は無いしこちらの命令に逆らったり、千嘉に危害を加えようとした瞬間殺す。それでもいい?」


「はい、異存などございません。嘆願お聞き届けいただき誠にありがとうございます。以後、ジルとお呼びくださいませ。宜しくお願い致します、新しいご主人様」


 ご主人様!?

 その言葉だけで僕は少しだけイケナイ妄想をしてしまった。

 あの贅沢な量の胸を力いっぱい握りしめたらどんな反応をするのか、そして恥ずかしい事を要求したときにどんな反応をするのか。

 決めた、今後僕が戦闘で高ぶったときはジルを嬲って鎮めよう。

 というかさっきの戦闘から少しフツフツと感じるものがあるのだ。

 とりあえずひと段落ついたら要求してみよう。

 もし断られたら…殺すか代わりを探せばいいや。


「約束通り君たちは解放するから逃げていいよ」


 そういうと少女達は立ち去ろうとするも腰が抜けているようで立ち上がる気配がない。

 見逃すんだし僕から立ち去るとしよう。


「行くよジル。それとこの子は千嘉。僕の代わりに抱っこしてあげてね。落としたりケガさせたり、連れ去ろうとしたりしたら殺すからね」


 思わず言葉の"殺す"の部分を言うときに込められる限りの殺意を込めてしまい、ジルがぷるぷるして怯えていた。

 あ、お尻をよく見ると白いモフモフの尻尾が見えた。

 握りたい。


「あぁごめん、思わず。はいしっかり立ってね。とりあえず次は三階に行くからついてきて」


 こうして僕は異世界で初めての友達にもつもちを手に入れた。


ご覧いただきありがとうございましたです。


書いてるうちに予定になかった仲間が増えてしまいました。

描写がいつもより力入ってるのは男のロマンなのです。

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