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 満腹だと主張するお腹をポンと叩き、魔法のトレーをカバンへとしまう。

 今回のご飯はミートソースなスパゲティ。

 久しぶりに食べたけど、牛のひき肉をふんだんに使った食べごたえのあるものだった。

 作り立てのように温かいミートソースの上に振りかけられていた粉チーズがとろりととろけてトマトの酸味をやわらげていて、濃厚でまろやかな味。


 おいしいご飯があれば人生なんとかなるっておばあちゃんが言っていた事に同意する。

 幸せな気持ちのまま、ここでお昼寝をするのも最高かなと思ったり。

 でもしない。

 お昼寝はいつでもできるけど、入り口付近のダンジョンの内装は早めに決めないと危ないからね。


 髑髏の上に手を置いて、開いたままの管理画面を見る。

 西入口マップに召喚すべく登録した魔物の名前が並び、その横にある植物の欄は空白のまま。

 次は植物を決めるんだったね。

 一覧を見るのもいいけど、それにしたって数が多いからやっぱり少し面倒かな。


 少し考えて、そうだと思いつく。

 登録したフィールド設定に対応でき、登録した魔物たちの好む植物の一覧という条件なんて、どうかな。


『検索します………OK

 該当する植物の一覧を表示します』


 思った通りにかなり絞れた検索結果が表示される。

 米粒大であったスクロールバーが縦に長めな長方形と言い切れるだけの大きさになったからね。

 ここまで絞れば選ばなくても西入口マップに全部設定できるんじゃないかな。


『検索結果範囲の全ての植物を設定しますか? はい/いいえ』


 はいを選ぼうとして、ふと疑問がひとつわく。

 ムニノイズマウスのような放っておくと危ない植物はあったりする?


『検索します………OK

 該当する3件の植物と2件の魔性植物を表示します』


 選択画面より手前に別窓が開き、検索結果が表示された。



 猛毒コケモモ

 別名、猛毒リンゴベリー。

 通常のコケモモよりも熱さに強く、湿度の高い地域に生息する植物。

 栄養分の少ない土地でも生息できる。

 小さな丸い葉の裏には棘があり、そこからは麻痺毒である粘着性の高い液体が分泌されている。

 また、小さな白い花や赤い実には致死性の高い毒が含まれており、食べる事はできない。

 通常のコケモモと間違えて食べる人間も多く、それなりの数が猛毒コケモモにより死亡している。

 龍種である中の一種、紅玉竜の好物でもある。

 猛毒コケモモを発見したらすみやかに逃げるべしという言葉が昔はあったが、紅玉竜は100年ほど前に絶滅した為、今その言葉を知っている人間はほとんどいない。



 コケモモって聞いたことがある気がする。

 でもここは地球ではない世界らしいから、別物と考えた方がいいのかな?

 地球でコケモモから作られた食品みたいなのがあった気もするし。

 どちらにしろ聞いたことがある気がするだけで覚えていないから、知らないのと一緒だけどね。


 それより何より、龍種だ。

 龍種ってつまり、ドラゴンの事だよね。

 麻痺毒や猛毒にも驚いたけど、ドラゴンのインパクトには敵わなかった。

 でも紅玉竜、絶滅しちゃったのか。

 せっかく出てきた異世界ファンタジー要素なのにな。

 一度見てみたかった。


 そう思った時、管理画面にいつも通り文字が現れた。


『龍種を召喚するには〇×rttjmが足りません』


 はい?

 〇×rttmが足りない? 何それ。

 文字化け? え、文字化けなのこれ?


『龍種を召喚するには〇×rttmが足りません』


 私の考えていることは筒抜けのはずなのに疑問に答える事はなく、同じ文章を表示する管理画面。

 よくわからないけど、とりあえず何かが足りれば絶滅した龍種を召喚できるって事?

 でも足りないものって何だろう。


 考えてもわからない。

 わからないものについて考えてみても、いつまでもわからないままだ。

 わかった事は、何かを補充する事ができればドラゴンを召喚できると言う事。


 魔王城やダンジョンのボスと言えばドラゴンが定番だよね。

 召喚できるのであればぜひとも召喚してお城と私を守ってほしい。

 それより何より、ドラゴンというものを生で見てみたい。


 まあ、とりあえず今は、西入口マップだ。

 サクサク設定してサクサク召喚して、後でゆっくり龍について調べよう。


 という事で、次へ行く。

 猛毒コケモモのような何かがあと4種あるって事だよね。


 ドラゴンと文字化けの件をしっかりと覚えた私は、残りの4種を確認。

 そのどれも危険な毒を含む植物であり生物を捕食する魔性植物ではあったが、ムニノイズマウスのように増えるだけ増えて害をまき散らすようなものはない。

 そう判断し、その5種を含むさきほど検索をかけた一覧の植物を西入口マップへと登録した。


 私は玉座へと座り、カバンの中から召喚魔法についての本を取り出す。

 片手は髑髏へと手を置いたまま、もう片方の手に本を持ち、魔物と植物を召喚。

 スライムちゃんたちの時とは違い、目の前に光が現れる事はなかったが、管理画面に映された西入口マップの表示が何もない状態から設定した状態へと、勢いよく変更されていった。


 召喚魔法が発動している最中に何もする事がない私は、魔法のトレーを取り出した。

 アイスココアを出して飲みながら管理画面を眺め、魔法が治まるのを待つこと約10分。


 ダンジョン内の西入口マップの設定および内装が完成した。

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