幼女王
「師匠!なんで急に転移なんて準備ぐらいさせてくださいよ!」
「えーだってなんか時間かかりそうだし別にいいじゃん」
「んあ!?そんな理由で?大金が入るかもしれないんですよ、もしこれで女王様の機嫌でも損ねて金が入らなかったら師匠ちゃんと責任取って下さいよ!」
「お前らは誰だ!どこからあらわれた!」
師匠と言い合いをしていたが、誰かにそう叫ばれて改めて周りを確認する。
場所は城の門の前で二人いる門番のうちの一人がそう叫びながら剣を構えながら俺たちを警戒していた。
「やぁやぁ、お疲れさまだね」
そう言いながら師匠は門番に近づいていく。
「それ以上近づくな!それより一歩でも近づいたらお前を捕縛する!」
「え?なんて聞こえなかった?」
ふざけてる場合ではないはずだが師匠はゆっくりと門番に近づいていく。
「この…!」
そして、師匠はそのまま門番に組み伏せられてしまった。
てゆうか師匠はやく封筒だせよ…と思ったが師匠が組み伏せられたままアイテムボックスを開き封筒を取り出す。
「ふふふ、見よこの封筒を!俺は女王様に呼ばれてきたんだぜぇー、そう俺は女王様のお客様!こんなことしていいと思ってるのかなぁ??」
俺は関係ないんだがあのドヤ顔は殴ってやりたい。そう思っていると、その封筒を確認した門番は顔が青くなっていく。
もう一人の門番が腰に下げた巾着から一つの蒼く光る石を取り出した。
「こちら門の警備のものだが、女王様からの招待でキリガヤ ハヤトと言う男が来ている至急確認を頼む」
『了解』
門番が石に向かって喋りかけた後に石から声が聞こえた。
何あれ欲しい!
「ふふふ、先に拘束解いてた方がいいじゃないのかなぁぁ??」
「くっ黙れ拘束と解くのは確認ができからだ」
師匠がこういう行動をとるということは、あの封筒は本物だろう。
多分門番の人をおちょくりたかっただけだろう。そんな性格の人が自分の師匠だと思うと悲しくなってくる。
しばらくそのままの状態がつづいたが、不意にさっきの連絡を取ったであろう石から声が聞こえてきた。
『キリガヤ ハヤト様の確認が取れましたお通し下さい』
「…………」
さっきから少し青ざめている程度だった門番と連絡を取っていた門番も血の気が引く程青ざめ始めた。
「あぁれぇぇえ?ここの女王様は呼びつけておいてこんな失礼なことさせるんだ。へぇえふーーん」
うぜぇ、なんで師匠はこんな余計なことばっかりするんだろう。
「「すみませんでした!」」
二人の門番はそういって思い切り頭を下げるが絶対に二人は悪くないだろう。
むしろ悪は師匠にある。
そう思って門番と師匠の間に入って止めようかと思ったがまた石から声がきこえてきた。
『なお女王様からの伝言で、そいうにはどれだけ失礼を働いてもよいぞ!むしろ、いいがかりでも掛けられたなら処刑する、だからおとなしく真っすぐ来させろ!とのことです』
「さて、そこの職務に忠実で誠実そうな門番さん、案内をお願いしてもよろしいだろうか」
師匠の耳にも女王様の伝言が聞こえ恥ずかしげもなく、180度態度を変える。
女王様はあんな伝言を残すぐらいだから本当に師匠と知り合いなのだろう。
むしろ俺が女王様の立場なら俺もそうする。城のなかで無意味にふらつきながら他人に迷惑をかけける師匠の姿が簡単に想像できる。
「は…はぁ…」
門番も困惑しながら一人残して俺たちを先導してくれる。
歩き始めて城の中に入った頃師匠が小声で話しかけてきた。
「そう言えばお前女王様のことどのくらい知ってる?」
「正直ほとんど…まずいですか?」
「ああ…まぁ基本的には大丈夫なんだが…」
「なんだが?」
師匠が指を一本立てて真剣な顔で続ける
「容姿については細心の注意を払えよ」
「容姿ですか?美しいとか言っとけば大丈夫ですか?」
そう言って首を傾げる
「いや美しいじゃだめだ…可愛いだ…」
「はっ?」
「女王様は見た目は麗しい美少女、幼女といえる姿をしている」
「さすがにそれはないでしょう」
この国の女王様は即位して数十年は経つさすがに師匠の冗談だろうと流そうとしたが、師匠がまだ続けて話す。
「本当の事なんだ、老いるのがいやで禁忌の魔術に手を付けて自分の姿を若い姿に変えたんだ」
「いや…さすがに女王様が禁忌の…?ありえないでしょ」
ないないと手を左右に振りながら師匠の話しを否定する
「まぁそれはみればわかるだろう、それよりこれを」
そういって小さく折り畳んだ紙を渡してくる
「なんですかこれ?」
「女王様にあった時のお前の自己紹介の言葉を書いておいた。女王様基本的に優しいがもし地雷を踏んだら本当に処刑もありえるぞ、とりあえず最初はそれを読むだけでいい後の話しは俺がするから」
師匠にそう言われまだ半信半疑のまま女王様が控えている扉の前に到着した。
門番はノックする
「失礼します、キリガヤ ハヤト様とそのお連れ様をご案内しました」
「入れ!」
そう女性の声が聞こえ門番が扉を開ける。その奥には豪華なイスに座った一人の少女がいた。