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後宮は有料です! 【書籍化】  作者: 美雪
第一章 召使編
85/1356

85 豪邸



「ここは……どこなのでしょうか?」

「ノースランド公爵邸だ」


 リーナは記憶を探った。


「ロジャー様の家名がノースランドだった気がします。ロジャー様のお屋敷でしょうか?」

「実家だ」

「なるほど」

「お前は行儀見習いとしてここで生活しながら、貴族の礼儀作法などを勉強する。わかったな?」

「はい」


 アルフは呼び鈴を鳴らすが、扉が開く前に勝手に扉を開けた。


「早く入れ」

「誰かが来るのを待たなくていいのですか?」

「俺の家だ。関係ない」

「えっ? アルフ様の家なのですか?」

「俺はロジャーの弟だ」

「そうでしたか!」


 豪華絢爛な玄関ホールにリーナは足を踏み入れた。


「すごい……」

「おかえりなさいませ!」


 慌てて召使いがやって来た。


「少々席を外しておりまして」

「ヨランダを呼べ。行儀見習いを連れて来た。部屋に連れて行くと伝えろ」

「かしこまりました」


 アルフはリーナの鞄を手に持ち、廊下をどんどん歩いていく。


 リーナは置いて行かれないよう小走りでついていった。


「ここがお前の部屋だ」


 白を基調とした部屋で、小物類はピンク。女性らしさを感じられる美しい部屋だった。


「居間、寝室で、衣装部屋、バスルームがある」

「素敵なお部屋です。本当にここを使ってもいいのでしょうか?」

「問題ない」

「おかえりなさいませ!」


年配の女性と数人の女性が急ぐようにして来た。


「侍女長のヨランダだ。そっちは部屋付きか?」

「はい。リリーナ様のお世話係と教育係です」

「ということだ。しっかり勉強しろ。どこから見ても貴族らしくなれ」

「頑張ります」

「まずは鞄を開けろ。ヨランダたちは後ろを向け」


 リーナが鞄を開けると、アルフは中に入っている書類や給与明細を取り出した。


「この存在は忘れろ。いいな?」

「はい」


 リーナ・セオドアルイーズと明記されたものがなくなるということだった。


「俺はロジャーに連絡しなければならない。他にもこのようなものが出て来たら、リリーナが保管しろ。誰にも見せるな。俺に渡せ」

「わかりました」

「ヨランダ、余計なものが入っているかもしれない。注意しろ。守秘義務がある」

「かしこまりました」


 後ろを向いたままヨランダが答えた。


「またあとで様子を見にくる。夜かもしれないし、明日かもしれない。ロジャー次第だ」


 アルフはそう言うと部屋を出ていった。


 残されたのはリーナとヨランダと侍女たち。


「あの……お世話になります。よろしくお願いいたします!」


 リーナはしっかりと頭を下げて挨拶をした。


「こちらこそよろしくお願いいたします。私はノースランド公爵家の侍女長を務めるヨランダです」


 ヨランダも挨拶をした。


「早速ですが、リリーナ様は貴族です。行儀見習いとしてこちらで生活しますが、特別な事情があるということで客人扱いになっております。私共に頭を下げる必要はありません」

「はい。すみません」

「謝る必要もありません。わかったとおっしゃってください」

「わかった」

「女性の場合はわかりました、です」

「……わかりました。すみません」

「すみませんはいりません」

「そうでした。すみ……いえ、何でもありません!」


 貴族の令嬢らしくなる勉強は前途多難。


 ヨランダもリーナもそう思った。


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