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後宮は有料です! 【書籍化】  作者: 美雪
第五章 レーベルオード編

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489 王立歌劇場への移動

 食事が終わると、いよいよ王立歌劇場に移動する。


 用意されていたのは黒い馬車。白い羽根の意匠がデザインされた側面に、赤い御者台。


「これはエゼルバード様がデザインした特別な馬車では?」

「今夜のために借りた」


 王宮の仮面舞踏会に対しては、レーベルオード伯爵家の催しに参加することで、クオンは弟達と一緒に団結する意向を示した。


 だが、王妃主催のバレエ鑑賞会がある。リーナが招待されないのもわかっていた。


 すでに招待者の選定も招待状の発送も終わっている、変更は難しいが、できなくはない。


 名門貴族への配慮をみせなければ、なぜなのかと貴族達が深読みする。


 社交界のその話題が盛り上がり、リーナやレーベルオード伯爵家の評価を下げるの許すことはない。


 クオンは守ると決めていた。リーナも。レーベルオードも。


 王妃のバレエ鑑賞会と同日の催しにしたのは、リーナやレーベルオードの噂や悪評が広がる前に手を打つためだった。


 むしろ、リーナのために音楽会を開くほど寵愛しているということを示せる。


「本当に素晴らしい馬車だ。この素晴らしを生み出すためにリーナは貢献した。そのこともまた素晴らしい」

「少しでもお役に立てたことがあったのであれば、とても嬉しいです」

「少しとは思わない。確かに役立ったのだ。自信を持ち、喜べばいい。それを大切にすることで幸せにもなれるだろう」


 その通りだとリーナは素直に思った。


「素敵なお言葉です。王太子殿下のいうことは違います」

「この馬車の素晴らしさを堪能しよう。まあ、私が見ているのは馬車ではなくリーナの方だが」

「王太子殿下を見ていると、確かに馬車の方は見ることができませんね」

「馬車は借りればいい。だが、今夜、こうしている時間は今だけのものだ。大切にしたい」


 クオンはそう言うとリーナを抱きしめた。


「こうしていると幸せな気分になれる。だが、馬車を見るのを邪魔しているという自覚はある」

「そうですね。クオン様以外は目に入りません」

「そうだろう? そして、それが嬉しくもある。馬車の方が見たいだろうか?」


 リーナの中に笑いが込み上げた。


「馬車よりも王太子殿下の方が優先ですよね?」

「普通はそうだろうな」

「でしたら普通で大丈夫です。この馬車に乗ることができるのは貴重ですけれど、王太子殿下と一緒に過ごすことの方が貴重ですから」

「そうだな」


 リーナの言葉は間違いない。


 だが、貴重ではなく普通にしたい。そうなるほど一緒に過ごしたいというのがクオンの願いだった。



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