427 朝から予定
ついにお披露目の催しが開かれる日になった。
まずはレーベルオード伯爵主催の朝食会。
そのあとは当日の予定に関する打ち合わせと確認を行うことになった。
全体的な説明のあと、レーベルオード伯爵とアリシアは屋敷内の準備及び進行状況を確認しに向かい、パスカルは警備本部へ向かった。
リーナはメイベルと招待客についての対応を細かく確認し、必要な指示出しをした。
その間にも刻々と時間が過ぎていく。
昼食会には警備関係者が加わることになった、
「警備体制は万全だ!」
にこやかに話す第三王子レイフィールに対しても、レーベルオード伯爵は鉄壁の無表情を貫いた。
「殿下直々に指揮していただけるとは思いませんでした。光栄です。心より御礼申し上げます」
「今日の主役はリーナだ。準備は万端か?」
「はい。しっかりと準備をしております」
リーナは緊張しながら答えた。
「そうか。だが、気をつけなければいけない。私が言うのもなんだが、王族が来るからな」
「そうですが、お兄様は王族の側近を務めています。何かと心強いです」
「確かにパスカルであればほとんどのことは対応できるだろう。だからこそ、セイフリードの担当に抜擢されたわけだからな」
「恐れ入ります」
パスカルは頭を下げた。
「ウェズロー子爵夫人も、エンゲルカーム卿夫人もいる。優秀な女性たちがいるのもいい。女性ならでは視点で支えてくれそうだ」
「全力を尽くします」
「同じく」
アリシアとメイベルは、リーナのお披露目とセイフリードの視察を成功させるために尽くすようクオンから命じられていた。
「ここにいる全員が夜になるのを楽しみにしているだろうが、緊張もしているだろう。まあ、なるようになる。少なくとも、王宮よりは高評価だ。ここだけの話だが、王妃のしたことは自らの評判を落とすだけだ」
国王の行事と貴族の私的な日程がかぶるのは不敬になる可能性がある。
王宮の催事日程が変更されるのを知ったレーベルオード伯爵は屋敷で行う催事を中止すべきかどうかを王太子と国王に確認した。
その結果、レーベルオード伯爵家の催事の予定日は王太子の承認によって決められたこと、第四王子の視察予定があること、他国から出席する高位者もいるために日時の変更や中止は難しいということで催事開催の許可が出た。
結局、国王の行事がある日時であってもレーベルオード伯爵家は私的な催事を開く許可をもらえたということで、ますます一目置かれるようになるだろうとレイフィールは話した。
「日時をぶつけるだけでなく、仮面舞踏会という内容までぶつけたからな。さすがに嫌味すぎる。兄上は相当怒っていた」
昼食会のメンバーでそのことを知らないのは、リーナとウェズロー子爵夫妻の娘であるデイジーだけだった。
「兄上だけでなく、私もレーベルオード伯爵家の催しがうまくいくように願っている。だからこそ、直接指揮をすることにした。リーナは安心して笑顔を披露すればいい。それが大成功の証になるだろう」
「わかりました!」
リーナは早速笑顔を披露した。





