395 様々な削減案
エゼルバード、レイフィール、セイフリードが退出すると、待機していたヘンデルが入って来た。
「反応はどう? 味方してくれそう?」
「弟たちが私の味方をしないわけがない。各自の予算について、削減できそうな部分を検討してくれる」
「さすがだなあ」
ヘンデルは感嘆した。
「予算が半分になると聞いたら、普通は大反対する。リーナちゃんを諦めるよう言ってもおかしくないのに」
「それは絶対にない。弟たちは私を慕ってくれている。自分にできる最大限で応えようとしてくれる」
「愛されているねえ」
「そうだな。私も愛している。全力で守りたい」
クオンが守りたいものは多くある。
その全てを守るのは途方もないほど難しい。
それでもクオンは自らの信念を貫くつもりだった。
「さすがに疲れた。寝る」
「珍しい」
クオンは執務室に戻るとヘンデルは思っていた。
「もしかして、リーナちゃんに会えると思って眠れなかった?」
「考えることが多かっただけだ」
「体調不良ではないよね?」
「それはない。気分はいい。幸せなことがあった」
「そうだね」
プロポーズをして了承してもらったのことを喜ばないわけがなかった。
「本当に良かった! 恋人関係の危機からの大逆転だ!」
「謁見もプロポーズもうまくいって安心した。英気を養うためにも休養しなければならない。皆にもゆっくり休むよう伝えろ」
「わかった。ちゃんと休むよう伝えるよ」
「ヘンデルもしっかり休め」
「わかっているって」
クオンは宣言通り王太子の寝室に向かい、入浴して休むことを侍従に伝えた。
そのやり取りを聞いたあと、ヘンデルは居間を通って騎士の間に出た。
「俺も休むから。クロイゼルとアンフェルも交代して休んだ方がいい」
「そうだな。王太子殿下が休まれるのであれば、交代する気だった」
クロイゼルが答えた。
「そっか。じゃあ、おやすみ。二人共お疲れさん!」
「ヘンデルもゆっくり休め」
「ただし、寝坊するなよ」
「はいはい」
ヘンデルは手をひらひらさせながら、自分が寝泊まりしている部屋へと向かった。
クロイゼルとアンフェルも交代要員を呼ぶ。
緊張に満ちた時間は安堵に満ちた時間へと変わっていった。





