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後宮は有料です! 【書籍化】  作者: 美雪
第五章 レーベルオード編

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376 三人追加



 リーナは王妃の表情が厳しくなったこと、より威圧的なオーラになったことを感じ取った。


 王妃様は怒っているのかも……。


 リーナは質問されたことに対して正直かつ正確に答えたつもりだった。


 だが、王妃や側妃たちが聞いていた話とは違うと思い、特別な馬車を作ることに貢献していないリーナを茶会に招待した意味がないと思っていそうだった。


 取りあえず、黒鳥の馬車についての質問には答えたし、これで終わりかも……?


 リーナがそう思っていると、ドアがノックされ、取次ぎ役の侍女が姿をあらわした。


「申し上げます。エゼルバード王子殿下、ディヴァレー伯爵、ノースランド子爵がお見えです」


 王妃は眉をひそめたが、第一側妃は顔を輝かせた。


「エゼルバードが? とても嬉しいわ! そうよね?」


 第一側妃はにこやかに、それでいて同意を求めるような視線を周囲に向けた。


「もちろんです」

「同じく」


 第二側妃と第三側妃が同調するのと同時にエゼルバードが姿をあらわした。


「なぜ待たせるのですか? 私は第二王子です。控えの間で引き返すとでも?」


 王妃はため息をついた。


 微笑の間は王妃がお茶会に使用する部屋であり、女性だけでお茶や歓談を楽しむのが暗黙の了解になっている。


 エゼルバードはそれを知っているにもかかわらず来たばかりか、友人兼側近を二人も連れて来た。


「仕方がありません。入りなさい」

「友人たちの分と合わせて三席を用意しなさい」


 入室の許可はエゼルバードによってすぐに同席の許可に変更された。


 侍女たちが席を用意する間、エゼルバードは生母である第一側妃のところへいくと、その手を取って軽く口づけた。


「ごきげんよう、母上」

「ああ、私の美しいエゼルバード! よく来てくれたわね! 聞きたいことがあったのよ!」


 第一側妃は甘い口調でそう言った。


「黒鳥の馬車のことだけど、聞いていた話と違うわ。エゼルバードとロジャーで考えたようね? この者は自分ではないと言うのよ」


 エゼルバードはリーナに視線を移すと、にっこりと微笑んだ。


「リーナは正直者ですからね。ですが、私は嘘を言っていません。恐らく、質問の仕方に問題があったのでしょう」

「外装を黒鳥、内装に白鳥を取り入れたのはロジャーだと聞いたわ」


 エゼルバードは第一側妃の隣に用意された席に座ると、顔をロジャーに向けた。


「ロジャー、そうでしたか?」

「その通りだ」


 ロジャーもまたリーナの隣に用意された席に座ると、友人として答えた。


「エゼルバードは白い馬車が欲しいと言ったが、白い馬車は汚れやすい。ならば内装に白鳥を取り入れ、外装は黒鳥にちなんで黒にしてはどうかという提案をした」


 王妃と側妃たちリーナの説明通りだと思った。


「ロジャーの答えを聞くと、ロジャーが貢献したと感じるでしょう。それについては否定しません。ですが、そもそも白鳥という発想を出したのはリーナです。この発想がなければ、白鳥や黒鳥についての案は出ませんでした」


 エゼルバードは白い馬車にしようと思ったが、白鳥をイメージしてはいなかった。


 ロジャーも同じ。リーナが白鳥という言葉を言わなければ、内装や外装に白鳥や黒鳥を取り入れる案を思いつかなかった。


「内装に白鳥を取り入れる案についても、すぐにそれでいいとは思いませんでした。リーナが白鳥のことを愛の鳥だと言い、首の形がハートになることを教えてくれたことで気が変わったのです」


 詳しく解説したのはロジャーだったが、リーナは恋人や夫婦の白鳥が口づけをするとハートの形になることを知っており、愛の鳥だと教わった話を披露した。


 白鳥と黒鳥から白鳥姫と黒鳥姫を連想したのもリーナだった。


「馬車を作る話し合いは時間がかかりそうでした。ですが、リーナの意見や話をきっかけにして馬車のイメージが膨らみ、芸術的な馬車を作ることができたのです。間違いなくリーナは貢献しました。そうですね、ロジャー?」

「その通りだ。リーナが何も言わなければ、ただの白い箱馬車になっていたかもしれない。白鳥姫と金の王子の物語についても出なかっただろう」


 エゼルバードとロジャーの説明を聞いた王妃や側妃たちは納得した。


「そうね! リーナはとても重要なところで貢献したわ!」


 第一側妃はリーナの評価を改めた。


「あの馬車において最も魅力的な部分は白鳥姫と金の王子の物語をイメージした内装だわ。白い馬車というだけでは、あの物語を思い浮かばないものね?」

「その通りです。せいぜい白鳥という部分だけだったでしょう」


 リーナは間違いなく役立った。


 そのことを茶会に出席する全員が認識した。


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