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後宮は有料です! 【書籍化】  作者: 美雪
第一章 召使編
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30 やればできる

 リーナは眠くてたまらなかった。


 しかし、勤務を休むことはできない。


 早朝勤務をしたいと言い出したのはリーナだ。


 やるしかない!


 リーナはふらつきながら青の控えの間に向かった。


 掃除は必要ない。備品のチェックだけでいい。


 並べ方を工夫したおかげで早く終わるはずだとリーナは思った。


 周囲の巡回をし、黒の控えの間も同じように備品のチェックだけをして、周囲の巡回を済ませた。


 順調に早く進む。


 今日はかなりいけるのではという気分になったリーナは、意気揚々とばかりに朝食に向かった。





 九時に清掃部で書類を受け取ると、リーナはすぐに掃除に向かった。


 順調ではあるが、巡回場所が多い。午後になっても半分までいかない。


 しかし、午後に掃除をするのは一カ所だけ。ポーラに臨時で掃除する場所の番号を伝えるだけでいい。


 リーナの負担は確実に減っている。


 正直に言えば、午前中は全て掃除。午後は全て巡回にしたほうが行ったり来たりする手間がより省けるような気がした。


 リーナはこのことをセーラに業務報告で尋ねることにし、メモに書き留めた。


 十五時にポーラに報告と白の控えの間に関するメモを渡し、リーナはせっせと巡回に励んだ。


 最後の方になるのは三枚目や四枚目の場所だ。


 奥の方になるせいか、未使用と思われる場所もある。


 わざわざ確認しなくても、男性用のトイレと同じく固定数を書いてしまえばいいのではないかと思えなくもない。


 リーナは思いついた。


 出入口にトイレ使用禁止としてしまえば、誰も使わないのではないかと。


 そうすれば綺麗なままであり、備品の数も変わらない。確認する必要がない。


 賢くサボっちゃ駄目!


 リーナは自分の考えを打ち消すように頭を横に振った。


 賢いことと狡賢いのは違う。


 これまで真面目に真摯に努力してきたというのに、狡賢いという評価になったら困る。


 勤務評価や給与評価に響くのはもっと困る。


 その日は掃除が少なく、二十時には勤務が終わった。


 夕食にも入浴にも間に合う時間だった。


 リーナは自分の工夫や努力が確実に効果をあげていることを実感した。


 やればできる! 諦めずに努力し続ければ!


 リーナは嬉しくなった。


 今日はご褒美が欲しいかも。ずっと頑張っているし……。


 心の中でそう思いながら、リーナは木箱を開けた。


 パスカルに貰ったイチゴのキャンディが一つなくなった。





 リーナは午後の掃除を止め、早朝と午前中にまとめていいという許可を貰った。


 白の控えの間は午前中に使用されることがあるため、午前中に掃除することはできないと言われてしまった。


 だが、早朝であれば使用しない。掃除できる。


 早朝勤務の掃除時間には余裕があるため、そこに白の控えの間を組み込むことになった。


 リーナの工夫は終わらない。


 間違えて同じ場所を巡回してしまうことがあるため、それを回避するようにした。


 購買部でノートも買った。


 メモ用紙よりも沢山かけて落とす心配のないノートの方がいいと考えた。


 節約は重要だが、必要なものを節約してはいけないという教訓が活きていた。


 借金が増えても、自分の勤務、心や体の負担が軽くなる。お金には代えられない価値があるという考えを採用した。


 十九時半過ぎ。


 リーナは勤務を終えた。


 普通に掃除をしたにもかかわらず、時間を短縮することができた。


 ちゃんとできる! やればできる!


 リーナは郵便ポストの前で万歳をした。


 そして、給料日。


 リーナの基本給は十六万。能力給が二万。


 合計で十八万ギニーになった。



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