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後宮は有料です! 【書籍化】  作者: 美雪
第一章 召使編
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29 掃除業務の改善


 リーナは掃除業務を改善してみることにした。


 掃除は汚れている部分をする。汚れていない場所は掃除する必要がない。


 それが新しいルールだ。


 これに従うと、リーナが昔から担当している三か所は掃除をしなくていい。


 タオルの補充と備品数のチェックだけ。せいぜい手洗い場を軽く拭く程度。


 床を隅々まで乾拭きする必要がなくなったため、非常に早く終わった。


 リーナは備品数のチェックについても工夫することにした。


 適当に積み重ねられていたトイレットペーパーを綺麗に揃えて並べた。


 倍数を使った計算により、早く数えることができる。


 タオルも十枚ずつ、手前になる部分を折り目と端部分で交互になるようにした。


 十枚単位で数えやすくなる。


 最初は並べ替える作業があって大変だが、次からは楽になるのではないかとリーナは期待した。





 十五時になると、リーナは侍女見習いの休憩室に行った。


 ポーラに臨時の掃除が必要な場所について報告する。


「ポーラ様のおかげで改善すべき点に気づくことができました。心から感謝申し上げます。ポーラ様のご負担を減らすべく頑張って掃除時間を短縮します!」


 深々と頭を下げるリーナを見て、ポーラはその通りだと言わんばかりに頷いた。


「召使いだしろくな教育を受けてないからよ。もっと頭を使いなさい!」

「はい。本当に申し訳ありません。もっとよく考えます」

「今日はどこまで終わったの?」

 

 リーナは言葉に詰まった。


「全然駄目そうね。掃除の仕方を変えてないの?」

「変えました。掃除は早めに終わったのですが、備品数の確認に時間がかかってしまったのです」

「どうせ真面目に一個ずつ数えているからじゃないの?」


 リーナは首を傾げた。


「それ以外に何か方法が?」

「時間が足りない時は大体でいいのよ」


 一個と十個では違い過ぎるが、十個と十二個では大差がない。


 しっかりと数えたところで、誰かが来て一つ持ち出せば合わなくなる。


「貴方は馬鹿過ぎるの。真面目にやるだけ損なのよ。多少はそうやってうまく手を抜くの。賢くサボるのよ!」


 リーナは思い出した。


 ポーラには少し問題があるとセーラが言っていたことを。


 恐らくは、このような部分ではないかと感じた。


 真面目に勤務しないというか、問題にならない程度に手を抜く。


 まさに賢くサボるのだ。


 ポーラが二カ所を残して休憩していたことをリーナは思い出した。


 本当はすぐに終わる。だが、わざと少しだけ残して休憩した。


 十六時までの時間調整。サボっていた。


 それをわかっているからこそ、セーラは報告について変更した。


 休憩室で時間調整しているポーラを逆に活用し、報告と通達業務でしっかり働かせることにしたのだ。


「さっさと巡回に行きなさい」

「はい。失礼します」


 リーナは巡回に戻った。


 急いだものの、備品を並べ直すのに時間がかかってしまった。


 そこで一度部屋に戻り、書類を木箱に入れて鍵をかけた。


 本来は勤務が終わらないと食事に行けないのだが、あえて先に行くことにした。


 夕食に行くとスープを一気に流し込み、パンは部屋に持ち帰ることにして入浴に向かう。


 ゆっくりする時間はない。急いで体を洗ってお湯を被るだけだ。


 私服がないため、湯上り後も制服だ。


 入浴後はまた巡回に戻る。


 終わったのは二十四時過ぎだった。

 

 三時からはまた勤務になる。二時間程度しか眠れない。


 リーナは業務ポストに書類を入れると部屋に戻り、倒れるように眠りについた。


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