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257 安定のデート
翌日の天気も良かった。
乗馬デートに最適だったが、リーナとクオンは馬車での移動を迷うことなく選択した。
チューリフまでは日々移動。途中の都市や町では一泊しかしない。
積み下ろした荷物を解いて開けてまた詰めてしまう作業を繰り返さなくてはならない。
そのせいでリーナはより早起きをしなければならず、馬車に揺られる午前中は眠くなってしまう。
クオンもヘンデルの負担を減らすため、荷物については作業の一部を自ら行っていた。
長年執務ばかりの日々だっただけに、夜間の睡眠時間は短く、目が覚めてしまうと執務のことをあれこれ考えてしまう。
リーナを抱きしめながら馬車で眠ることは、クオンにとって心が安らげる時間であり、疲れた頭や体を休めるためにも有効だった。
午前中は馬車で二人一緒に睡眠を取る。
そして、目覚めた時に相手がすぐ側にいることに安堵し、幸せに浸る。
それが今のリーナとクオンにとって最も素晴らしく安定的なデート内容だった。





