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後宮は有料です! 【書籍化】  作者: 美雪
第三章 ミレニアス編

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254 だからこそ!



「リーナ?」


 様子がおかしいとクオンが思った時だった。


「兄上、もしかすると衣装のことではありませんか?」


 エゼルバードが声をかけた。


「女性のスカートは乗馬に向いているとは言えないので、ちょっとした工夫をします。ですが、マナーとしてそのことを口にしてはいけません。リーナはそれを思い出したのでは?」


 リーナは驚いた。


「どうしておわかりになられたのでしょうか?」

「乗馬の時に女性が気にすることは、大抵そういったことです」

「エゼルバード様はすごいです!」


 エゼルバードの気分は一気に良くなった。


「クオン様、申し訳ありません。私は話すのが苦手です。うまくお話することができなくて……」

「気にしなくていい。私も同じだ。気の利いた会話をするのは難しい」


 だからこそ、私が必要なのです!


 だからこそ、私がついている!


 だからこそ、俺がいないとだよな!


 エゼルバード、レイフィール、ヘンデルはそれぞれ心の中で思った。


「こうして一緒に馬に乗っているだけで嬉しい」

「そう言っていただけて安心しました。私も同じです」

「よかった」


 一件落着。


 とてもいい雰囲気になったと周囲は思ったが、このままではいずれまた会話でつまずくのは目に見えていた。


「兄上、ちょっといいか?」


 レイフィールが声をかけた。


「ゆっくりと乗馬を楽しむのもいいが、少しだけ走らせてみるのはどうだ?」

「このままでは馬車から景色を見るのと大差ありません。あえて会話を控え、速度を楽しむのもいいのではないかと」


 クオンは二人の意図を理解した。


 乗馬デートの基本はゆっくりと馬を歩かせながら会話を楽しみ、二人の距離を近づける。


 しかし、会話がうまくいかない場合は乗馬自体を楽しむ方へ移行する。


 走らせている間は安全に気を使うため、会話を重視しなくてもいい。


 速度や流れる景色を堪能することで楽しい気分を盛り上げ、デートを成功させる。


「リーナ、少しだけ馬を走らせてもいいか?」

「大丈夫です。クオン様のお好きなようになさってください」

「わかった。何かあったら遠慮なく言ってほしい」

「はい!」


 クオンは馬の速度を徐々に早めた。


 周囲もそれに合わせて軽く走らせる。


 やがて、


「先に行く!」


 より速度を出したくなったレイフィールは宣言すると、一気に速度を上げた。


 エゼルバード、ロジャーも続く。


 自分を追い越した三人の姿がみるみる小さくなっていくのを見て、クオンも速度を出したくなった。


「もう少し走らせる。しっかり掴まっていろ」

「はい」


 クオンは先行する弟たちを追うように速度を上げた。



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