2 後宮の面接
後宮は王宮のすぐ隣。非常に高い壁で囲まれている建物だった。
リーナはいくつもの検問所を通り抜け、面接室に通された。
面接室には若い女性が多くいた。
煌びやかなドレスをまとった女性も多い。
ごく普通の平民と思われる者の服でさえ、リーナのみすぼらしい服装に比べればはるかに上等だ。
不合格かも……。
リーナはため息をついた。
だが、すぐに諦めて帰ろうとは思わなかった。
少しでも就職できる可能性があるのであれば、面接を受けるべきだと自らに言い聞かせる。
リーナの番になった。
部屋には女性が三人いた。
「服を脱いで下さい。怪しいものを持ち込んでいないか確認します」
「服を脱ぐのですか?」
「ここは後宮です。不審物や危険物は持ち込むことができません。身体検査と持ち物検査をしてから面接用の部屋へ移動して貰います」
リーナはこの部屋で面接を受けると思っていたが、そうではなかった。
いきなり脱げと言われ、わかりましたと言って脱ぐのは難しい。
だが、面接を受けたい気持ちが勝った。
リーナは恥ずかしさに耐えながら服を脱いだ。
「下着も脱いで下さい」
「下着も!」
完全に想定外だった。
「この部屋に女性しかいないのは全てを調べるためです。女性同士ですので恥ずかしがる必要はありません。早く脱ぎなさい」
「ここで拒否をすれば、面接を受けることはできません。それでもいいのですか?」
「わかりました! 脱ぎます!」
面接を受けたいのであれば、覚悟を決めるしかなかった。
リーナは全裸の状態で立たされ、髪もほどかれ、まさに隅々まで調べられた。
「怪しい点はありません」
「おかしな点もありません」
「かなり痩せていますが、病気のためではないようですね。まあ、いいでしょう。服を身に着けて下さい」
許可が出たため、リーナは衣服などを急いですぐに身につけ直した。
「では、あのドアを開けて隣の部屋に行って下さい。面接をします。最初に面接用の書類を提出して下さい」
「はい」
リーナは面接を受けられるとわかってホッとしたものの、すぐに気を引き締めた。
面接室にいる面接官も女性ばかりだった。
「書類を提出して下さい」
「はい」
リーナは職業斡旋所の書類を面接官に提出した。
受け取った面接官がそれを調べている間に、他の面接官から質問される。
リーナは正直に答えた。
「では、書類を渡します。これを持って隣の部屋に行って下さい」
リーナは書類を受け取った。
そこには赤いペンで項目に対する評価が書かれており、総合点は三十点と記されていた。
もしこれが百点満点であるとすれば、三十点というのはかなり低い点数になってしまう。
駄目かもしれない。でも……駄目だって言われるまで信じたい!
リーナは丁寧にお辞儀した後、隣の部屋へと向かった。