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後宮は有料です! 【書籍化】  作者: 美雪
第三章 ミレニアス編
187/1357

187 贈り物調査



 リーナへの贈り物が終われば予定は終了。


 クオンたちがホテルに戻ると、待ち合わせをしていたレイフィールが来ていた。


「兄上!」


 レイフィールはリーナが箱を持っているのに気づいた。


「リーナに何か買ったのか?」

「誕生日プレゼントだ。お前も贈ったそうだな?」

「私以外にも贈った者がいると聞いた」

「そうか。夕食に行く。予約できたのか?」

「奥の手を使った」


 店に貸し切りを頼むと、当日は難しいと言われてしまった。


 そこで開店前から店の全席が埋まるように国軍の兵士を並ばせ、力技で貸し切りにした。


「せっかくだ。リーナとパスカルも連れて行こう」


 レイフィールはそう言ったが、パスカルは難色を示した。


「セイフリード王子殿下についていないとなので」


 セイフリードは夜更かしをして読書をしており、昼に寝ているからこそ外出が可能だった。


「俺が残る。たまには外で楽しんでおいでよ」


 ヘンデルは自分が残ることにした。


「それでいいよね?」

「女性を連れて行けるような店なのか? 酒を飲む店だろう?」

「焼き鳥はダメか? 貸し切りだが?」

「周辺は? 酔っている者が多くなるのではないか?」

「まあ、時間的にそうだな」

「じゃあ、パスカルだけ行けばいい。俺とリーナちゃんはホテルで留守番。メイベルからも何かないか聞いておくよ」

「わかった」


 クオンとレイフィールは護衛たちを連れて焼き鳥屋に向かい、ヘンデルとリーナはメイベルがいる部屋へと向かった。




 外出したリーナと一緒にヘンデルが来たのを見てメイベルは驚いた。


 即座に姿勢を正すが、王太子はいないと知ってホッとするように息をついた。


「俺とクオンの差が歴然」

「当然です。お疲れ様でございました。第二組は相当大変だったのではないかと」

「予想以上に大変だった。クオンのスピードについていくのが」


 ヘンデルは苦笑した。


「俺よりも護衛騎士が大変だったよ。置いて行かれるわけにはいかないじゃん?」

「お察しします」

「夜は焼き鳥を食べに行く予定で、俺の代わりにパスカルを行かせた。なんで俺が代わりに留守番する。その間にちょっと確認したいことがある」


 ヘンデルが残ると言い出したのには理由があった。


「リーナちゃんが持っている宝飾品を全部見せてくれる? ミレニアスに行って、大公夫妻とかと同席することになるかもしれない。俺から見て宝飾品が不足そうなら、今のうちに買い足して準備しないといけない」


 ヘンデルはリーナの所有する宝飾品、つまりは王子やパスカル達から贈られた品がどのようなものかを確認しておきたかった。


「わかりました。メイベルさん、金庫を開けたいのですが」

「すぐに持ってきます」


 メイベルとリーナはすぐに宝飾品を用意した。


 一番大きな箱にはプラチナの土台に小粒のダイヤモンドガあしらわれたネックレスが収められていた。


「第四王子からの誕生日プレゼント?」

「はい」


 鎖の部分がゆるやかな曲線を描き、小粒のダイヤモンドを囲むようなデザインは控えめでありつつも上品さや女性らしさが感じられた。


「さすがパスカルが選んだだけある」

「選んだのはセイフリード王子殿下だと聞きました。デザイン画を見て、イヤリングに合うものを選んでくださったようです」

「そうなんだ」


 次に確認したのはパスカルの贈ったイヤリング。


 中央に一石、それを囲むように六石のダイヤモンドが配置されており、花の形になっているデザインのものだった。


 単体でも他の装飾品も合いやすそうな品だなあ。


 良い品を選んでいるとヘンデルは思った。


「第二王子から貰ったのはどれ?」

「これです」


 ピンクと無色の宝石を使ったイヤリング。


 若い貴族の女性に絶大な人気を誇るブランドの品であることが箱からわかった。


 若い女性用でお洒落な感じか。第二王子らしい。


「こちらが第三王子からいただいたものです」


 パカッと箱を開けたヘンデルは思わず驚いた。


「デカい!」


 楕円形をした水色の宝石はかなりのサイズだった。


「鎖はシンプルだけど……この石はアクアマリンかなあ?」

「そうです。地方視察に行くといろいろなものが安く手に入るそうなので、それほどすごいものではないと言われました」

「ああ、そっか」


 ヘンデルは思い出した。


 軍務統括をしているレイフィールは演習や視察で地方へ行くことが多い。


 その時に現地で目についたものを土産として購入して来る。


「ルースで買うと安いしなあ」


 大きな宝石をルースで手に入れたため、かなりの得だったと自慢されたことをヘンデルは思い出した。


「そのせいでペンダントっぽいね。加工はシンプルにしたわけか」


 見た目の割にそれほど高価ではないだろうとヘンデルは判断した。


「たぶんだけど、これなら問題ないかな。毎日着飾らないといけないような招待はないと思うしね」

「ヘンデル様、相談してもよろしいでしょうか?」

「何?」

「実は……安い指輪を購入してリーナにつけさせておいた方がいいと思うのですが、いかがでしょうか?」

「指輪?」


 ヘンデルは思わず眉をひそめた。


「リーナには私がついていますが、今回同行している女性は二人だけです。男性が非常に多くなります。第一王子騎士団と第四王子騎士団はそれとなく事情を察してくれているのですが、他の騎士団や国軍の方は違うと言いますか……」

「あー、若い女性が気になる症候群だねえ」


 メイベルが言いたいことをヘンデルは察した。


「牽制するために、婚約者か恋人がいるって思わせた方がいいってことだよね?」

「そうです。安物で構いません。経費で落としてもいいでしょうか?」


 ヘンデルは苦笑した。


「サイズわかる? それなら俺の方で手配する」

「お願いいたします」


 メイベルは調べておいた指輪のサイズをヘンデルに教えた。



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