表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
後宮は有料です! 【書籍化】  作者: 美雪
第八章 側妃編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1345/1362

1345 小隊戦(二) ~第一王子騎士団側~



「いよいよだ」


 リーナの護衛役を務める第一王子騎士団の塔組はラグネス、サイラス、ユーウェイン、ロビン、デナンの五人。


 普通に考えれば個人技能に優れた護衛騎士を十人選ぶが、ラインハルトは連携や意思疎通のしやすさを考慮したメンバーを選んでいた。


「やることは単純だ」


 塔を降り、外にある馬車にリーナを誘導する。


「王太子騎士団がどう出るかはわからない。注意しよう。行くぞ!」


 ヴェリオール大公妃付き筆頭護衛騎士のラグネスが塔組のまとめ役。


「わかった」


 騎士長のサイラスはラグネスの補佐。


「はい」

 

 ユーウェインは安全と突破口を確保する切り込み隊長。


「頑張ります!」

「気をつけます!」


 ロビンとデナンはユーウェインの補佐。


「はい!」


 リーナも元気よく答える。


 現状において、第一王子騎士団の塔組及び要人の連携はバッチリだった。






 先頭はユーウェイン。


 最も警戒心が強く、誰がどのような戦法で来ても対応できるだろうという安心感から選ばれた。


 ユーウェインは双剣を構えた状態で、王太子騎士団の者がいないかどうかを確認しながら塔の外壁に沿うようにしてある螺旋階段を降りていくが、誰かが突然飛び出してくることはなかった。

 

 一つ下のフロアにいるのは審判のみ。


 ロビンとデナンもどこかに潜んでいないかを確認した。


「いない!」

「いないです!」

「いません!」


 ユーウェイン、ロビン、デナンが簡潔に伝え、リーナを守っていたラグネスとサイラスが頷き合った。


「やはりな。読み通りかもしれない」


 王太子騎士団の塔組は体力の消耗を避けるため、わざわざ上の方の階までは来ないだろうと予想していた。


「だが、油断はするな!」


 次の階段を降りていく。


 ユーウェイン、デナン、ロビンが続き、サイラス、ラグネス、リーナの順番。


 上のフロアには審判しかいないことを確認しているため、後ろから護衛する必要はないということで最後がリーナになった。


 そもそも王太子騎士団がいてもリーナを保護する役目。


 リーナを確保されても安全という意味では問題ない。


 五人しかいないため、ルール的にうまく利用できる部分は利用し、無駄を省くことになった。


「いない!」

「いないです!」

「いません!」

「やはりか?」

「そんな気がする」


 王太子騎士団は襲撃場所を一つに絞っている。


 理由は単純。たった五人しかいない。一人いなくなっただけでも戦力差がつきやすい。


 体力の消耗を避けるのはかなり有効。


 罠を張って一人か二人を削りたいが、失敗するとその分を取り返すのが難しい。


 そうなると全員で襲撃した方が確実。五対五だが、従騎士が二人いる第一王子騎士団の方がやや不利という見立て。


 最も重要なのは外に出てから。


 自分たちの馬車にリーナを誘導すればいいだけだが、勝手に馬車に行ってくれるのを期待することはできない。


 そうなると、リーナを馬車へつれていくための誘導役が一人必要になる。


「一階か外に出た場所で待ち伏せされている可能性が高いが、このあとも注意していこう。使えそうなものがあったら回収だ」


 そのあとも同じように警戒しながら、六人は階段を降りていった。


 そして、二階に到着。


 第一王子騎士団の塔組はタイムを使うことにした。


「五回分のタイムです! 二十五分間は休戦です!」


 審判が叫び、上下の階と外に通達した。

 

「休憩だ。体力を回復しながら作戦を確認しよう」


 王太子騎士団とは遭遇していない。


 戦闘はしていないが、最上階まで登っただけでも体力を消耗している。


 警戒しながら降りてきているため、緊張から来る精神的な疲労感もある。


 王太子騎士団の出方次第でタイムを取るタイミングを決めるつもりだったが、予想通り二階までは何もなかったため、このあとの総力戦に備えて休憩を取ったというのが現在の状況だった。


「水分補給も今の内にしておけ。トイレもある」

「リーナ様、大丈夫ですか?」

「大丈夫です!」

「水分補給用のミネラルウォーターです」


 審判が水分補給用のボトルを持って来た。


「グラスはないので、直接飲んでいただくことになります。リーナ様もそれでよろしいでしょうか?」

「今は緊急事態のようなものなので、細かいことは気にしないことにしましょう!」


 小隊戦の想定状況としては、リーナは第一王子騎士団に守られながら脱出中。


 そんな時にグラスがないので水を飲めないと言うはずがなかった。


「でも、ちょっとだけ後悔しています。ブーツにすればよかったです」


 リーナは極秘で外出すると聞いていた。


 侍女たちはデートかもしれないと思ったため、シンプルでありつつもお洒落な衣装を選び、靴は低めのヒールがついたパンプスだった。


「足が痛いのでしょうか? 靴擦れがありますか?」


 ユーウェインが確認した。


「そうではないですけれど、走りにくいです」


 外に出たら馬車まで走って誘導すると言われていた。


 それはつまり、リーナにも走ってもらうということ。


 だったら、走るのに適した靴が良かったと考えていたことを話した。


「では、作戦を変えましょう」


 ユーウェインが言い出した。


「どう変更する?」

「すでに二階だが?」

「大丈夫です」


 変更部分が説明された。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★書籍版、発売中!★
★QRコードの特典あり★

後宮は有料です!公式ページ
▲書籍版の公式ページはこちら▲

ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ