1324 リーナに任せたい
王族妃会議によって、リーナ以外の王族妃の茶会プランが決まった。
王宮省大臣と王宮長は心から喜び、王族妃の茶会は大成功間違いなしだと確信した。
しかし、聖夜の茶会はまだある。
王族妃よりも身分の高い者が主催する茶会が。
王族妃の茶会が成功して、王族の茶会が失敗したら大問題。
全てはリーナにかかっていると思う者が大勢いた。
「合同ですか?」
リーナは王族会議に呼び出されていた。
「冬籠りの差し入れで王族妃が団結を示しただろう? 聖夜の茶会を王族合同にすることによって団結を示そうとなった」
最初は後宮で国王の茶会と王太子夫妻の茶会、王宮で第二王子の茶会と第三王子の茶会と第四王子の茶会を開くということだった。
招待数の上限もある。内容がかぶらないようにしなければならない。
王族会議で各自の茶会について話し合った結果、合同でするのはどうかとなった。
「合同の方が後宮側も対応しやすくなるはずだ。各王族の茶会に合わせた飲食物を用意しなくてもいい。全部同じ内容だ」
「後宮の負担が軽減するよう考えてくださったのですね。とても嬉しいです!」
普通に考えれば王族の都合が重要かつ優先。
だというのに、後宮のことを考えてくれたことにリーナは感激した。
「では、会場も一つ、大宴の間だけになるということですね?」
「それについては二つのままだ。父上が大宴の間を使用する。私と弟たちは月光の間で茶会をする。二百七十名だが、着席にできるか?」
「一応は。でも、配置がちょっと?」
月光の間は細長い。
着席式にするとテーブルを一列で長くつなげることになるため、自分の席の近くにいる者としか話ができなくなってしまうことをリーナは話した。
「去年の茶会は立食式だったので移動しやすく、普段会いにくい友人と話せて喜んでいました。できるだけ多くの相手と話したいのであれば、立食式の方がいいと思うのですが?」
「リーナが考えた王族妃の茶会プランが秀逸だった」
去年は王妃と第一側妃が茶会勝負をしたせいで大変だったため、今年の茶会については内容を国王と王太子とで監査するつもりだった。
少人数しか招待できないことがわかれば、絶対に荒れる。
リーナから説明を受けても納得しないようなら、国王と王太子の合同命令は絶対だと伝える気でいた。
ところが、王妃も側妃たちもあっさり了承。
リーナの考えた各王族妃用の茶会プランが監査資料として提出され、後宮の茶会も着席にしようとなったことをクオンは話した。
「セイフリードが担当する昼食会は王家を含めた全員が立食式になった。そのあとの茶会は座れる方がいい。ずっと立ったままではつらいだろう?」
「それなら着席がいいですよね」
リーナは頷いた。
「でも、大宴の間で全員が着席ですか? 百名だと広すぎますよね?」
「そうだな。それも悩ましい部分だ」
大宴の間はかなり広い。
完全着席だと使用する場所が一カ所にまとまってしまうため、ガランとした印象になりやすい。
場所選びに失敗したと思われてしまう可能性があった。
「オーケストラを配置すると音が響いて会話がしにくい可能性がある。後宮華の会の時のように踊って歌って演奏できる侍女はほとんどいない。真珠の間の侍女はできるだろうが、リーナ付きだ。私が雇用している。父上には貸さない。給仕の数が減るのも困る」
そうだろうとリーナも思った。
「何か案はないか?」
全員の視線がリーナに集まった。
「正直に言います。二カ所での開催は後宮に負担がかかります。大円の間は太陽宮殿、月光の間は月光宮、場所が離れているので調理部から飲食物を運ぶのも片付けるのも大変です」
「そうだろうな」
「全員、大宴の間ではダメなのですか?」
「人数から見ればそうだろう。だが、聖夜の茶会は私的な催しだ。友人との会話を楽しみたい。父上と私たちとでは世代が違う」
クオン、エゼルバード、レイフィールは年齢差が少なく、王立学校時代の在籍中に顔を合わせる機会があった。
友人たちの兄弟姉妹関係を見ると、同学年や近い年齢の者が圧倒的に多い。
セイフリードとは世代が離れているが、兄弟で一人だけ別、孤立しているような印象を与えたくない。
王立大学生の卒業生が圧倒的に多くいるため、それを共通点にできる。
この機会を活用してクオンたちはより若いセイフリードの世代との交流をしたいということが説明された。
「王族全員で考えに考えた。その結果、王宮で国王の妻たちの個別茶会、後宮で国王の茶会、王太子夫婦と王子たちによる次世代茶会にしようとなった」
「なるほど……次世代の茶会ですか」
「私たちはまだまだ忙しい。冬籠りの終わりは官僚からの重要書類の提出が締め切られたというだけだ。その書類を私たちが処理しなくてはいけない」
「そうですよね」
「リーナの実力を見込んで後宮の茶会については任せたい。了承してもらえないだろうか?」
「つまり、お任せプランということですね?」
「そうだ。招待客については各自で選ぶ。人数は必ず上限で抑える」
「わかりました。では、私の方で茶会プランを考えますね!」
王族の茶会プランもリーナが考えることになった。





