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後宮は有料です! 【書籍化】  作者: 美雪
第八章 側妃編
1261/1357

1261 妹のお願い



 次の日の朝もリーナはなかなか起きなかった。


 遅めの朝食を取ったあと、パスカルと話したいと伝えた。


「お兄様に聞きたいことがあります」

「何かな?」

「お兄様はクオン様の味方ですか? それとも私の味方ですか? どちらかを選んでください」


 意味深な質問だった。


「リーナの味方に決まっているよ。僕は兄だからね」

「では、王太子領に戻らなくてもいいですか?」

「体調がよくないのかな?」

「王太子領のことは手紙で指示を出して、信頼できる重臣や領民に任せればいいと思いました。結局は王都に戻るわけですし、今また王太子領へ戻るのは時間と労力の無駄です」


 リーナはじっくりと考えた。


「王宮も王都も大変な状況のはずです。こんな時だからこそ、お兄様は一刻も早く王宮に戻るべきではないでしょうか?」


 ユーウェインはパスカルの護衛任務に専念すべき。


 王太子領にいる者も早急に戻らせ、オグデンにはクオンを支えてほしいこともリーナは伝えた。


「私はウォータール・ハウスで休養しながら、王都の孤児院の情報を調べたいと思っています」


 王太子領にいたせいで、王都の孤児院の状況がわからなかった。


 新聞をつぶさに確認していたが、縁談や大同盟の話ばかりが取り上げられていた。


 クオンのおかげで多くの孤児を保護できたが、王都にある孤児院を取り巻く状況がすぐに回復するわけがない。


 報道されていないだけで、王都の孤児院は厳しい状況が続いている。


 まだまだ困っている孤児や関係者が大勢いるはずだとリーナは思っていた。


「私がしたいことは王太子領ではなく王都にあります。お兄様が王宮に戻ったら、福祉省の対策がどうなっているのか調べていただけませんか?」

「そのためにも僕には王宮に戻ってほしいわけか」

「私が王太子領に行った後で、危機的状況になってしまった孤児院があったら大変です。ちゃんと保護できているのかも知りたいです」

「わかった。調べてみる。でも、リーナがここにいることを知られてはいけないよ?」

「それはわかっています。なので、一般品の便箋と封筒を購入しました」


 ウォータール・ハウスにいるのはヴェリオール大公妃の命令を受けたリリー。


 王太子領にいるヴェリオール大公妃が王都に戻るまでに、王都の孤児院の状況について調査する設定をリーナは話した。


「そのために一般品を購入したのか」

「リリーが私やレーベルオードの専用品を使うのはおかしいので」


 リーナなりに考えているとパスカルは思った。


「わかった。王太子殿下と話してみるよ」

「お願いします。でも、お兄様は臣下です。説得するのが難しいようであれば、フレディ様を引き込んでください。いとことして力になってもらいたいです」


 私の持つ全ての力、正式な命令権を行使してでも王都に行きます!


 王太子宮でそう宣言したリーナの気持ちは変わっていない。


 リリーとして王都に戻るだけでは足りない。ヴェリオール大公妃リーナとして戻るため、ミレニアスの力も活用する覚悟だということだった。


「僕が話をつける。いとこの出番はないよ」


 兄としてのプライドにかけて、パスカルは力強く答えた。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 「僕が話をつける。いとこの出番はないよ」 [一言] お兄ちゃんのプライド(≧▽≦) 何気にフレディと仲がいい(?)リーナちゃん 正直フェリックスとフレディは味方になってくれそうだけどね。…
2024/02/21 10:21 みんな大好き応援し隊
[良い点] 「僕が話をつける。いとこの出番はないよ」 僕はお兄ちゃんだぞ!みたいなパスカル様。 いつもはカッコいいのですが、今回はかわいいと思ってしまいました(笑)
[良い点] 使える物は他国の従兄弟の王太子まで使う。 強く、又賢くなったなリーナ。 [一言] 王都の孤児の問題が上手に行ってなかったら、 (元々、孤児院含め状況は良くなかったですけど) 多少なり、悪化…
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