125 事前の準備
ロザンナのアピールは朗読に決定した。
ロザンナ付きの侍女と侍女見習いは、ロザンナがアピール時間をしっかりと確保できるように、移動の補佐と盛大な拍手をする支援を行うことになった。
そして、ロザンナのアピールの支援には特別な用意もその練習も必要ないため、加点につながる侍女や侍女見習いによる出し物の方により力を注ぐことになった。
歓迎式典におけるリーナの役割はダンスになった。
しかし、リーナはまったくダンスを踊れない。
貴族の女性であれば社交デビューのために絶対習うワルツでさえ踊れないことがわかり、ロザンナ付きの全員が愕然とした。
「リーナにダンスの特訓を行います。この機会にダンスが苦手な者は任意で参加しなさい。ダンスは一生役立つ技能です。一緒に克服しましょう」
「はい!」
ヘンリエッタとダンスが得意な侍女の熱血指導により、リーナだけでなく任意で参加した者のダンス技能も上がった。
全く何も知らないリーナは一番苦労したが、自主練習にも励んだおかげでなんとか歓迎のダンスと貴族に必須なワルツを踊れるようになった。
後宮の華の会の開催が近づくにつれ、細かい部分も決まっていった。
歓迎式典については華やかさを演出するための変更が行われ、若い侍女と侍女見習いがダンス、年長者が合唱や演奏を担当することになった。
侍女の能力審査は身支度競争と整理整頓競争、侍女見習いの能力審査は手紙配達リレーと借り物競争になった。
また、側妃候補付きの侍女と侍女見習いには、歓迎式典や出場する出し物で必要なものを揃えるよう通達され、必要品のリストが配布された。
「必ず購買部の専用売り場で購入するの?」
「該当する商品の中から選ぶようにって……」
「手持ちのものじゃ駄目ってこと?」
「ドレスが二着必要だわ!」
「信じられない!」
側妃付きの侍女と侍女見習いは驚いた。
最も驚くべきことは、必要品を揃える費用が自己負担になることだった。





