1 孤児
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*こちらはWeb版になります。
リーナは十六歳。
孤児院で生活していたが、そろそろ孤児院を出て行かなければならない年齢だと院長から教えられた。
リーナは就職先を探すため、職業斡旋所に行くことにした。
「住む場所も探さないといけないので、住み込みで働ける仕事がいいのですが」
「孤児院育ちではなかなか採用されないですね。まったくないとはいいませんが、難しいです」
「そうですか」
リーナはがっかりした。
しかし、相談員の話には続きがあった。
「ですが、一つだけは問題なさそうなものがあります。応募しますか?」
「どんなお仕事でしょうか?」
「後宮で働く者の募集です」
リーナは驚愕した。
「王宮! 私がそんな凄い所で働けるのですか?」
「違います。後宮です」
「後宮?」
相談員は全然わかっていなさそうなリーナに説明をした。
後宮というのは王族の側妃や寵姫が住む場所だ。
その候補者もいる。
大勢の女性が働いている。
後宮に勤めると様々な情報を知ってしまうため、ほとんど外出できなくなる。
家族や後宮外部との連絡が取りにくい。
なかなか仕事を辞めることができないなどといった厳しい条件がある。
若い女性は王族に見初められるのではないか、素敵な出会いがありそうだと期待するが、実際にはそのようなことはない。
王族どころか男性に会う機会も非常に少ない。
理想と現実との差を推し量り、応募を断念する者も多い。
「但し、十五歳以上の女性であれば誰でも申し込めます。採用されれば衣食住も保証されます」
「応募します!」
リーナは即決した。