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猫と鴉、王子と神父、侍女と下心

 猫が啼いている。鴉が啼いている。

 美しい王宮の醜い場所。巨大な木の塀に囲まれたゴミ捨て場には猫と鴉がたむろする。

 鼻がひんまがる異臭のため、貴族はおろか、使用人も好んで近づかない。

 猫が一匹、ゴミ捨て場から躍り出た。その薄汚れた小さな体を跪いて、両腕に抱いたのは黒髪の青年である。

 猫は青年の腕に頭をこすりつけ、おとなしく納まった。青年が人差し指で体をくすぐってやると、髭をぴくぴくと震わせる。

 にゃあ。

 青年は猫の真似をして、小さな鳴き声を発し、目尻を下げる。人に冷血漢と評され、好まれない顔立ちも、この時ばかりは和む。

「にゃあ」

 猫も青年に応えるように啼く。

 青年が宙を見上げれば、晴れ晴れとした青空が広がっていた。青年は猫の毛並みと同じ黒の瞳を細めた。

 青空の中には黒い点々がいくつか自由に飛翔する。黒い鴉がガアガア、と喚き散らしているのだ。

 黒猫が耳をそよがせて、彼の腕から顔を天へと覗かせる。空で円を描く鴉を睨むようであった。

「にゃあ」

 猫が一声すれば、黒い鴉は散り散りに飛び去った。代わりにゴミ捨て場の上から次々と猫が地面に飛び降りてくる。美しい着地を見せた猫たちは一目散に青年の足元に絡みついてきた。あまつさえ、よじ登ろうとまでしてくる猫もいた。その数は十匹を超えている。

「にゃあ、にゃあ」

 青年が猫に話しかけるようにかがめて、猫のごとく啼く。猫たちはまるで青年に牽引されるように後ろをついてくる。

 人が外からこの光景を見たならば、木々の合間から、飼い主と猫たちの行進が始まったものと捉えるだろう。

 青年が抱いていた黒猫が、するりと腕をすり抜けて、肩に乗った。青年は穏やかな顔で猫の顎の下を撫でてやっている。白いシャツにその可愛い足跡がくっきり残ってしまっても気にする素振りも見せない。

「にゃあん」

 男の薄い唇から漏れるのは、その長身と顔に見合わぬ猫の鳴き声。まるで猫の声を解するかのごとく、頷きを返すのだった。

 一方で、近くを通りかかる人影が二つあった。彼らは探し人の姿を林の奥に認めて立ち止まった。それでも話しかけることができずに息を止めて、奇妙な光景を凝視している。

「気味悪いことをなさる方だ」

 衛兵服を着た男が言い、もう一人の同じ服装をした男はその発言に対するように畏怖と羨望を込めて呟いた。

「だが、ここは〈鴉〉と〈猫〉の街だ。それならば、その国の王の血筋にふさわしくもあるだろうとも」

 王都クレーエキッツェは〈鴉〉と〈猫〉に愛され、守られる街。古くからこの地を支配していたのは、この国の王の血族である――。

 


 

 どうぞお入りください、神父さま。

頭を下げた衛兵に促されて、かぼちゃが潰れたような黒い帽子をちょいと乗せた彼は王宮の通用門を通り抜ける。

「ありがとうございます」

 彼は最後にお礼を一つ述べて、先に進む。

 黒い神父服に、縦横の長さが同じ十字のネックレスを胸に下げ、その表情はいつだって微笑みを絶やさない。亜麻色の癖の強い髪に、繊細そうな顔立ちをした彼は、ともすれば優しげで気弱な印象を与えるが、それを裏切るのは瞳に宿る意志の強い大きな目であった。

「こんにちは、アレクセイ君」

 彼を迎えたのは彼と同じ服装をした初老の男である。銀の鎖のついた眼鏡を鼻先に乗っけながら、目を眇めている。互いに帽子を取って胸に当てて、頭を下げる。

「アレスタ神父。ご健勝そうでなによりです」

「いや、そうでもないのだよ。もうね、心臓ががたがたさ」

 淡々と言いながら、アレスタ神父は胸に手を当てた。

「いつぽっくり行くか、気が気でない。君のような後任がいるからこそ、私も安心できているというものだ」

 顔を顰めながらつまらなそうに言うものだが、アレクセイが気にする素振りは見せず、再び頭に帽子をのせる。

「王宮勤めなど私には向きませんよ。修道院でひたすら学問をし、日々、神の教えを探求している方がよほど向いています」

「君は己をまだ知らないようだね、アレクセイ君。私が君を推薦した理由をよくよく考えてみることだよ。とりあえずは、今日のことだ」

 アレスタ神父が後ろ手に組んで歩き始める。体を労わるような間延びした歩き方に合わせ、アレクセイの歩調も自然と遅くなる。行き交う荷車と人々を避けながら、彼らはぽつりぽつりと近況を報告しあう。

「君が呼ばれたサロンがどういうものかは知っているね」

「ええ、ホルテンシュタイン夫人のものですね。その方の名前で招待を受けましたから」

「参加者の中には、クリスタ王女もいらっしゃる。それも踏まえた上でもう君の説教内容は決まっているね?」

「……急な依頼でしたが、アレスタ神父のご忠告通り、注意して行おうと思います」

 ぽんとアレクセイの肩にアレスタ神父の血管の浮き出た手が乗せられた。

「君は若い。それに見目もいい。きっと、夫人方に気に入られる。君には気に入らないことだろうがね。頑張りたまえ」

「肝に銘じます」

 ちょうどその時、二人の行方の生垣から一人の青年が走っていた。迷いなく二人のいるところへ駆けてくる。近づくにつれ、彼の長身と風貌がより鮮明に映った。

 彼は少し汚れた白いシャツと黒いズボンを着ていた。顔に浮き出る汗を拭きつつ、全力疾走の体を為している。そんな彼の後ろを追いかけるのは数人の衛兵である。

「お待ちくださいませ、殿下!」

 軍靴の音とともに、彼らがそう告げれば、彼は黒髪を振り乱しながら振り返って怒鳴った。

「もう少しだけだ! せめてもう少しだけ猫と戯れていたいんだ!」

「いけません! 皇太子殿下が待っておられます! お戻りください!」

「だからもう少しで帰ると言った! このわからずや!」

「我々も命令を受けておりますから! 無理です!」

 かなり滑稽であるが、当人たちは必死のやり取りである。

 青年がアレスタ神父とアレクセイの横をすり抜けていく。アレクセイは青年の横顔を通り過ぎるその瞬間まで見送った。

 衛兵たちも過ぎて行き、気づけば立ち止まっていたのを歩き出す。

「あの方が、カロ王子ですか」

 答えを半ば知っていながら、アレクセイは訊ねた。

 公の場に出ることが稀な国王の第三子。王位継承権二位でもあった。歳は自分より少し下ぐらいだったと記憶している。年格好といい、王族には稀有な黒髪と黒い目といい、彼以外ではありえない。

「そうだ。年も近いので、仲良くして下さるだろう」

 アレスタ神父が頷くのを見て、彼はもう一度カロ王子の後ろ姿を追った。曲がり角で消えたのを確認してから、相手に戻る。

「ああいう方ならば、そうかもしれませんね」

 ただただ無邪気であるようにと育てられた末子には、今何の責任も伴っていない。打算も働く必要もなく、好意のみで築かれる関係にもなり得るかもしれない。

 それでもアレクセイが望むのは静寂であった。一日中、教会で神との対話をし、胸の十字架を抱きながら眠りにつきたい。何者にも邪魔されず、彼だけの小さな隠れ家で。

 ふっと息をつく。

「俗世には、神への信仰に反するものが多すぎると思うのですよ、神父――」

 彼の独り言に、アレスタ神父は苦笑いしたのであった。




 視界の中で、胡桃(くるみ)色の毛先が猫の尻尾のようにくるんと跳ねていた。

 気になるので、ぐっと指先で抑えて、頃合を見て放してみる。やっぱり跳ねてしまった。

 しまいには鏡に映りこんだ自分の姿に落胆を覚えて、諦めた。

 見るに見かねた同僚が差し出した整髪料を用いて、撫で付けた。

「見た目をそこまで気にする必要もないんじゃなくて?」

 美しい同僚が小首を傾げてくるのを、オレリーは緩慢に否定した。

「一度気づいたら、頭にこべりついてしまって。これなら、大丈夫かしら」

 ぱっと顔を上げて、彼女に同意を求めると、ええ、いいわよ、というふうにうなずかれる。ようやく髪をいじるのを終えたオレリーは、気合を入れるように深呼吸をしてから尋ねる。

「奥様は、まだ部屋から外出なされないのよね」

「昼からサロンだから、今のうちに女を磨き上げておくのですって。貴方がふらついている間も、お風呂に、サウナ、マッサージをなさっておいでだったし、このあとも、コルセットを締めて、ドレスを着て、とびっきりの化粧をなさって……」

 オレリーの女主人ホルテンシュタイン夫人は大勢の貴族の女性を牽引する美の探求者であった。世間に流布する美容法を実践、検証して、昨日よりも今日が最上の美しさであろうとする。彼女は国王の愛情をつなぎ止めるための手段として、己の美貌を磨くことを選択したのだ。

 侍女にも華やかさを求めて、若い娘、美貌を誇る女性を置いた。目を奪われるような花園の中で一際咲き誇る華こそ、オレリーの主人である。

 オレリーが侍女の末席に招かれたのは、ほんの幸運に過ぎないのだろう。

 暖炉の上の時計が十一時半を指したとき、ぞろぞろと同じ侍女仲間が侍女の控えの間に入ってくる。

「もう支度が終わったのですか、先輩方」

 オレリーはそう言うと同時に、唇が固まった。彼女らの後ろから、女主人が大輪のごとき姿を現したからである。

「そうなのですよ、オレリー。だって、今日は何もかも要領よく行きましたからね。それに忘れないうちに聞いておきたいと思うのです。そう、あなた休みを取るのですってね? 戻ってくる、ということでいいのかしら。そうでなくてはなりませんよ。王宮に勤めることで与えられた人生の選択肢を狭めることもないでしょうし」

 それとも、あなたは結婚を望んでいるのかしら? 柔肌に触れるようでいて、実際は片手でつまんでひねられているような心地に、オレリーの息は止まった。

「わたくしは、這い上がる女が好き。自立した女が好き。オレリー、初めてあなたを知ったときは、わたくしが望んだとおりの女になると期待したのよ? あなただって、望んでいたでしょう?」

 マリエ・ホルテンシュタインは必ずしも長身の女性ではない。高いヒールを履いてようやく、オレリーたち侍女と並ぶぐらいなのだ。小さな華奢な体と、それに不釣り合いなほどに色香めいた胸の持ち主であり、一方で妖艶さとは程遠い、純粋な瞳を持っている。

 さらに高級娼婦として、高い教養を身につけた彼女から出てくる言葉は、男と同等な機知を含んでいるのであった。

 オレリーの顔色を見たホルテンシュタイン夫人は、ふいに口調を緩めた。

「別に、わたくし、あなたを嫌っているのではないの。ただ、あなたがあまりにも自分のことを語らないものだから。いいたいことはそれだけです。よろしい?」

 オレリーは気まずそうに目を伏せて、頭を下げる。

「はい。ご心配をおかけしてもうしわけございませんでした」

 女主人は再び自室に戻っていってしまう。大部分の侍女がそれについていったが、一番年長の侍女が残った。オレリーの上司で、普段はクリスタ王女づきのフェルメール侍女長である。ホルテンシュタイン夫人の支度が異常に早かったのも、きっと彼女が手伝ったからに違いない。

「あ、フェルメールさま。今朝の朝食の準備は手が足りていたそうです」

 気まずさを打ち消すように、オレリーは口火を切った。フェルメールは乾いた声で、そうですか、と言った。

「オレリー、あなた」

 彼女は咎められると思って、肩をすくめた。侍女長は、オレリーをのぞきこむ。

「少し、ナーバスになっていますね?」

「たぶん、そうです。なんとなく、なのですけれど」

 メラニーと話していた時には表に出てこなかった不安がほろりとこぼれ落ちていった。

 気分がいいときにはまったく気にかけない些細な出来事が、一度ひっかかってしまうと、どうしようもなく、心を袋小路に追いやってしまう。難解な性格に生まれついたものだと思うけれど、いまだに付き合い方がわからない。

「そういうこともあるでしょう。若い時分というものは、何かと安定しないものですよ。自己も、将来も、精神も。あなたには気分転換が必要ですね」

 フェルメール侍女長は、暖炉の上の置時計を見る。

「あなたにもやることがあるのでしょう? そろそろあの子たちが寂しがって啼いているころですから」

 灰色の理知的な瞳が、オレリーを安心させる輝きを宿している。オレリーを(うと)んで、外に出そうとしているわけではないのだと。

「わかりました。お気遣い感謝いたします、フェルメール侍女長」

 オレリーは彼女の勧めを有り難く受けることにして、廊下に出た。並み居る貴族たちの集団に頭を下げつつ、シャンデリアと金が光る廊下から、飾り気のない通路、木の扉へと至った。

「こんにちは、厨房長。いつもの、お願いできますか?」

 コック服を着た親爺が彼女を出迎えるがごとく、手を振ってみせる。厨房の隅の椅子から立ち上がって、オレリーに両手で抱えるほどの深皿を渡した。

「ほれ、持っていけ」

「いつもありがとうございます」

「どうせ、あまり物だ。ほとんど毎朝手伝ってもらっておるし、気にするもんじゃねえ。それより明日からしばらくいないんだっけか」

 ぎい、と背もたれに体を預けながら、厨房長は再び椅子に両足を交差させて座る。

 オレリーが見渡す限り、厨房内には数人の料理人がいたが、各々のペースで作業をしており、朝の切迫感には及ばない。厨房長がオレリーの相手をしたのがいい証拠である。忙しければ、どんな相手でも怒鳴るか、叱るか、顎で使うのかの三択になってしまう人なのだ。

 二、三の世間話をしたあとに、彼女は改めてお礼を言ってから、その場を立ち去る。

 渡された深皿には、今朝のパンの不揃いな欠片や、小さなハムの切れ端などが入っている。

 人気のない階段を軽快に駆け下りて、本館の通用口から出る。近くの芝生の手入れをしていた知り合いの使用人たちが一度は足音に顔を上げるも、彼女の姿に、ああ、またか、と納得した風情で仕事に戻っていく。

 オレリーは林に入って、ゴミ捨て場をひょいと覗いてみる。誰もいないのを確かめてから、持っていた深皿を地に置く。一歩引いてしゃがみこみ、しばし待つ。

 やがて四方から小さな影が一つ、二つと増えていく。丸い深皿を囲むように色とりどりの毛並みをした猫がぞくぞくと頭を突っ込む。一匹の猫がぱっと上げた顔中がパンのくずだらけになってしまう。

 ドレスの裾にそれをこすりつけようとするものだから、彼女は笑いながら、ハンカチで拭いてやると、灰色の猫はにゃあ、と心地よさそうに啼いた。

「おまえ、食い意地がはっているわね」

 オレリーはこの猫をフランソワと名づけている。赤い舌をちろちろ出して、遠慮がちに毛づくろいをしていて、いかにも貴族的な振る舞いに見えるのだ。

 フランソワが気取った仕草で歩く。その行き先には、黒い毛並みの猫がある。まだ子猫と呼べる小さな体で大人のフランソワと戯れていると、親子にも見えるほどだ。

 ああ、あの猫だ、とオレリーは裾をつまんでから、忍び足で近寄った。

 王宮に隠れ住む猫たちに餌をやる習慣をつけてから、しばらく経つ。毎日やっているうちに馴染みになった猫もいて、餌をやる人間に懐くようにもなる。オレリーが手を伸ばしても、引っかかれないまでになった。しかし、オレリーにも触らせてくれない猫がいる。

 猫の集団の中でも年若い黒い猫だ。右が金色、左が青いオッドアイで、太っているわけではないのだが、ころころ、と表現したくなるほど愛くるしい動きをする。思わず触ろうとしたけれど、しなやかに体をくねらせて逃げてしまう。毎日、毎日、その繰り返しだ。

 他の猫を抱き上げることができるようになっても、その子猫だけはするりとオレリーの腕をくぐり抜けていく。この頃にはこの猫が集団の中でも特別だとオレリーにもわかるようになっていた。たわむれに猫たちに餌をやる者がいたとして、まず餌を受け取った彼らは黒猫に与える。オレリーが餌を持ってきても、まずこの子猫が口を付ける。彼らの中でそういうルールがもうすでに決まっているかのごとく、絶対に守られているのだ。

 今日もこの黒猫は一番に餌に口をつけた。今は仲間たちの食事を離れた場所で見守っている。

 オレリーはこの子猫を〈小さな王様〉と密かに呼ぶ。軽々しく名前をつけてはいけないのだ。まだ幼くとも、人に触れさせない気位の高い猫の王様なのだから。

 触らせてくれないことが気になって日課の中でよくよく観察するうちに、〈小さな王様〉が唯一懐いている人を知った。

 触られるのを嫌がるどころか、自分から擦り寄るのを見たとき、子猫を懐かせていることへの羨望と、木立に身を隠すほどの羞恥に苛まれた。

 オレリーはホルテンシュタイン夫人付きの侍女で、彼の人は彼女を知らない。出会ってさえもいないのに、同じ王宮に住まおうとも遠く隔たっているというのに、どうして心惹かれてしまうのだろう。初めは、三白眼の強面で黒い上に、背丈も見上げるほどに高いから、自分が関わらずにすむことに安堵していた。でも、今ではこの距離がもどかしい。

 やはり今日も、黒猫はオレリーの手からぴょんと飛び跳ねて、少し離れた草地に寝そべった。目を瞬きさせるうちに、金と青のオッドアイが見えなくなる。オレリーのことを気にもしない。おそらく近づけば、またも逃げてしまうに違いない。

 少しばかり心が折れてしまったオレリーは逃げられないぎりぎりまで黒猫ににじり寄って、語りかける。

「今日も駄目なの? とんだ強情さんよね、おまえも」

 ここまで拒絶されてしまうと、もしやオレリーの下心にも気づいているのかもしれない。〈小さな王様〉を通して、彼女の想う人に近づきたい、叶うことならばその心まで伝わらないものだろうか、と。

 オレリーを慰めるようにフランソワが膝の上に乗った。両足を持って、目の前に掲げてみる。フランソワも振る舞いにふさわしく貴族的な端正な顔をしていた。

「ね、フランソワ。おまえの〈小さな王様〉は人に厳しいみたい。どうすればいいのかしら」

 もちろん、灰色の猫が答えを持っているはずもなく。されるがままにオレリーの手でぶら下げられていた。

 黒猫は、彼女を見ていた。うずくまる中で、細く目を開けて、じっと――。



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