木漏れ日
部活でたくさん小説を書けるので幸せです
僕たちは進んでいる。森の中を。
本来は山なのだろうが、部長が山道のない方から登ろうとしたので、麓の所から気が生い茂っているようだ。
森の中を歩き、コンパスを持っている部長以外は、既に方向感覚がおかしくなっている。
さらに、同じ景色が続くため「さっきも通らなかったか」という疑問も生まれ、みんなの心は芳しい状態ではなかった。
そんな中部長は、まるでそこに道があるかのような軽快な足取りで、先へ先へと進んでゆく。正直言ってあの楽観空っぽ頭が羨まし…いや、そんなことはないか。
重い荷物を背負っている。部長さん、全部持ってください。
◆
斜面に差し掛かった。
それだけのことで、景色の変わったことを喜ぶ3人。抜けているのは部長ではなく僕だ。
意味不明すぎる。
時刻はすでに日の傾く頃。刺すような橙色が眩しい。
今から帰っても真っ暗にはなるだろう。ましてや山登りなんぞすれば、すぐに暗くなって「ココドコー マイゴダヨー」ってなるに違いない。それだけは回避しなければなるまい。部長にその旨を説明すると、任せておけ、と満面の笑みを返した。
もう部長は信頼できない。
そして勾配というものは意外に体力を奪うもので、あたりがうす暗くなるくらいには、みんな息も切れて散々だった。
しかし、あたりは既に見えにくく、帰るにもコンパスは万能の道具ではない。
部長の顔には、ようやく(本当にようやく)焦りが見え始めた。
部長が焦るということは、相当なピンチのようだ。
無論、他の3人の焦燥感は常軌を逸する。
ただひたすらに歩く。
最早どこまで行っても同じ景色。
きれいな星空が皮肉だ。
みんなは、息も切れていることに気がつかないような速さで歩き続けた。
足は既に棒と化している。もう歩きたくない、そんな思いが暗闇の中にこだます。
しかし答える者は皆無。真の暗闇が時間を遅くする。
僕たちができること。それは歩き続けること。
頂上に立つこと。
こうなったら、星空を眺めるしかない。
僕たちは、全力で頂上を目指した。
僕たちは珍しく団結し、一方を夢見る。
歩く速度はまた速くなる。
◆
きつかった斜面が緩やかになる。
ついには、下り坂になる。
下りの少し前で、4人は止まった。
無言のまま月からの光に影を落とす。
達成感の嵐は、歓声となって僕たちから放たれた。
星は満天に輝き、まるで祝福してくれているよう。
僕たちは手を取り合って喜んだ。
どんどん更新していきます