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意気込みだけの集団  作者: TEXTER
2章 暗闇の山
9/13

木漏れ日

部活でたくさん小説を書けるので幸せです

僕たちは進んでいる。森の中を。

本来は山なのだろうが、部長が山道のない方から登ろうとしたので、麓の所から気が生い茂っているようだ。

森の中を歩き、コンパスを持っている部長以外は、既に方向感覚がおかしくなっている。

さらに、同じ景色が続くため「さっきも通らなかったか」という疑問も生まれ、みんなの心は芳しい状態ではなかった。


そんな中部長は、まるでそこに道があるかのような軽快な足取りで、先へ先へと進んでゆく。正直言ってあの楽観空っぽ頭が羨まし…いや、そんなことはないか。

重い荷物を背負っている。部長さん、全部持ってください。





斜面に差し掛かった。

それだけのことで、景色の変わったことを喜ぶ3人。抜けているのは部長ではなく僕だ。

意味不明すぎる。

時刻はすでに日の傾く頃。刺すような橙色が眩しい。

今から帰っても真っ暗にはなるだろう。ましてや山登りなんぞすれば、すぐに暗くなって「ココドコー マイゴダヨー」ってなるに違いない。それだけは回避しなければなるまい。部長にその旨を説明すると、任せておけ、と満面の笑みを返した。

もう部長は信頼できない。


そして勾配というものは意外に体力を奪うもので、あたりがうす暗くなるくらいには、みんな息も切れて散々だった。

しかし、あたりは既に見えにくく、帰るにもコンパスは万能の道具ではない。

部長の顔には、ようやく(本当にようやく)焦りが見え始めた。

部長が焦るということは、相当なピンチのようだ。

無論、他の3人の焦燥感は常軌を逸する。


ただひたすらに歩く。

最早どこまで行っても同じ景色。

きれいな星空が皮肉だ。


みんなは、息も切れていることに気がつかないような速さで歩き続けた。

足は既に棒と化している。もう歩きたくない、そんな思いが暗闇の中にこだます。

しかし答える者は皆無。真の暗闇が時間を遅くする。

僕たちができること。それは歩き続けること。

頂上に立つこと。


こうなったら、星空を眺めるしかない。

僕たちは、全力で頂上を目指した。

僕たちは珍しく団結し、一方を夢見る。

歩く速度はまた速くなる。





きつかった斜面が緩やかになる。

ついには、下り坂になる。

下りの少し前で、4人は止まった。

無言のまま月からの光に影を落とす。


達成感の嵐は、歓声となって僕たちから放たれた。

星は満天に輝き、まるで祝福してくれているよう。

僕たちは手を取り合って喜んだ。

どんどん更新していきます

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