海に浮かぶ船
最近書くスピードが落ちてきてしまったのです。
なんということでしょう。
全く気が付かなかったが、部長はかなりコンパクトなゴムボートを持ってきていた。2つほど。
それをかなり慣れた手つきで膨らませると、流れるように水面に浮かべた。
「さ、乗るぞ―」
「待って待ってください!?」
慌てて僕は止めたが、部長は焦る様子もなくボートに飛び乗った。
無論部長はライフジャケットなど着ていない。沈みでもしたら助からないだろう。
だが別段焦るどころか、そのまま副部長を招き入れる。副部長もやめればいいのに、部長の後ろに乗り込んだ。
「おお、結構揺れるな…」「言ってる場合じゃないでしょう!?」
ホントに沈んだら危ないから。命の危険だから。警察に迷惑だから。
「ホントだー、結構揺れる―」「美樹も乗るの!?」
3人がボートに乗って、ただ催促するでもなく、追い出すでもなく、じーっと見つめられてる。空気が重い。
「わかりました!乗ればいいんですね、乗れば!」
やけくそになってボートに飛び乗る。よく考えたらこれが一番危ない行動だったが、まぁ沈まなかったのでよしとしよう。ただしいっしょに乗っていた美樹が変な汗をかいてた。ごめんね。
ちっちゃいオールで漕ぐ。オールと言っても、何故か牛乳パックの開いたやつに棒を接着しただけのお手軽なオールだが、まぁぶっちゃけ漕げればいい。
ゴムボートは安物ではないみたいで、ちゃちなオールで初心者が漕いでも、転覆しないようになっている。中に水が入ったら抜きにくいのが唯一の難点か。
陸地が離れてゆく。街頭の明かりが、徐々に点になっていく。
水面で反射した、弱くて白い光が、水面を示す。水音が優しく響く。
いつも賑やかなこのメンバーも、流石に漕ぎながらしゃべるのは体力が持たないからなのか、真剣だからなのか、皆目見当もつかないが、皆が一生懸命漕ぐので、とうとう陸地が薄く見える程度の場所まで漕いできた。
月は既に高く昇っている。あと数十分もすれば頂上だろう。
悩ましげな顔の部長を、やわらかな月光が彩っていた。
さて、来たからには帰らねばならない。帰り道、というか後方の海を見て、僕らはため息をついた。
またあそこまで行くのか…疲労困憊の体であった。
そして僕らは来た時と同じ交通手段で防波堤に、そして各自の家に戻った。
家につく頃には既に東の空が橙色に染まっており、まさに今日が出るといった時間だった。
でも、なんだろう。
心のなかに、何か不思議なものを感じたような気がした。
でも、それが何か分かる前に、頭のなかから朝露のように消えてしまった。
完結させたくなってきた感ある




