深淵の海
ネタが尽きてくる今日この頃、なのです。
「じゃぁ、支度しろー!」
部長の声が響き渡る今日この頃。今日もすばらしい青空だ。
無論ここは挑戦部の部室。この狭い教室内で大声を出されると迷惑である。
しかし、今日は部長にも声を張り上げる訳があった。
少し暑くなってきたこの頃、突然部長が「海に行こう!」と言い出したのである。
ああ、またかとスルーしたのは言うまでもない。というか慣れ始めた僕自身が怖くて仕方が無い。
副部長は今回のりのりだ。上田は…苦笑いだった。
いよいよこの部のおかしさに気がついたのかもしれない。最初からそうであったが、なんだかエスカレートを続けている気がする。気をつけたほうが身のためであろう。
とにかく決まったことは仕方ない。僕は決定事項はいかなる矛盾があろうと実行するタイプだ。いろいろ失った感じは気にしない。
海に行く。
◆
海といっても、ここから一番近い海でも車で1時間かかる。とてもじゃないが、歩いていけるような距離ではない…と思っていた時期が僕にもありました。
まさかの徒歩。何時間かかるのか、わざわざ測定してくれた先人はいない。
未知数すぎて怖い。
それならやめればいいじゃないか、と思うこともあるだろう。
僕は諦めないのだ。簡単には。
というわけで歩き始める。部長は、なにかしまった、という感じの顔をしている。副部長はのんきだ。
僕は、携帯の、全然進まないナビを見ながら、ため息をついた。
いつ海に着くのだろうか。分からない。
僕らはただ歩き続けた。海を目指して。
周りの景色は少しずつ移り変わる。
時々通りかかる大通りが明るい。住宅街が暗い。
明るいと暗いを通り過ぎる。見覚えの無い景色に達しても、日が暮れてきても、海はまだまだ見えない。
また、森のときのようになりそうだ。空には既に一番星が輝き、急かすようにその高度を上げる。
僕たちはついに急ぎ足になった。走り出した。
もうすぐ日の光が沈む。オレンジ色はまもなく地平線の向こうへ隠れる。
空の色が移ろってゆく。
時間経過の波が僕らの心を追い詰める。
息が荒くなる。
しかし止まらないメンバー。
果たして彼らは海に着けるのかっ?……
◆
結論。
海に着いた。
時刻は既に午後10時。深夜と呼ぶ人もいるのではないだろうか。
僕たちは再び達成感に包まれ、万歳三唱して近所迷惑に祝いあった。
空は雲がかかってきており、満月は隠されようとしている。
僕たちはしばらく喜び合ったあと、静かになった。
さて帰ろうと足を家の方向に向けた瞬間、部長からの一言。
「じゃぁ、向こうまで行ってみるか」
僕たちはフリーズした。
景色の変わらない所の表現が雑ですね。
もう少し丁寧に書きます。




