チョコバーはあいつの好物だが、元々は俺の非常食だったと思い出した。
無意識に口にしていたのは、君の名前。
突き放した。
なのにじっと見つめて来る目に、結局「待ってろ」と。
守るつもりの無い約束を告げたけど。
だからもう口にする事の無い名。
三つ並んでパッケージされたプリンを棚に戻し溜息を吐く。
知らぬ内に値上がりしていようが別に構わない。好物が値上がりして、君が耳をぺたんと伏せた犬の様にどこかで悄気ていようと、今の俺には関係ない。
チョコバーも棚に戻し掛け、しかしそれは買った。