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距離

ピンポーン

もう、誰よ!今から寝ようと思ってたのに…

夜勤明けで疲れた体にむちをうち、ノロノロと立ち上がる。

「宅配便でーす」

私宛てに送られてきた荷物だ。

送り主は韓国語でよめない…ヒョルだな。

「ありがとうございます」

宅配便のお兄さんにお礼をいい、早速箱を開けてみた。

「何?これ?」

中にはマイクやヘッドフォンが入っている。

とりあえずよくわからないのでそのまんまにしてわたしはベッドへ入り、眠りについた。


どの位寝たのだろう…

携帯がなり起きる。

「は…い」

まだ眠い。

「雪!荷物届いた?」

嬉しそうに話すヒョルに対して私はテンションが低い。

「来たよ、あれ何?」

「スカイプだよ、これで雪の顔がみたいとき、いつでも会える!雪が私の顔を見たいときも会えます。」

聞いたことはあるけど…用はTV電話なんだよね??あれ?違ったっけ?

「とーやればいいの?」

ちらりと荷物をみた。

「スカイプをパソコンからダウンロードして…うんたらかんたら」

なんか、よくわかんね…

「わかった、とにかくやってみる」

ヒョルとの電話を切り、パソコンをいじる。


─奮闘すること三時間─


「多分これでOKだとおもうけど…」

いつしか部屋は暗くなっていた。

その時、画面に着信がある。

(うわ、どうしよう)

とりあえずビデオ通話を選ぶ。

『雪!できたね!あぁ、雪だ…』

パソコンの画面にはヒョルがいる。

DVDとかじゃなくて、今この時動いているヒョルだぁ…

『すごい!すごいね!これ』

年甲斐もなくハシャぐ、そんな私を見て

『やっぱり雪は可愛い』

と、ヒョルがいう。

は、恥ずかしい…

『ヒョルは…かっこいいよ』

と、美男子のDVDをカメラに向けた。

今度はヒョルが照れる番だ。

『な、買ったんですか?!』

『うん…好きな人のこと知りたかったから』

お互いに流れる沈黙

先に口を開いたのはヒョルだった。

『いつか…いつかその目で見て下さい。TVの中の私じゃなくて…』

『うん、見たい』

ヒョルが国に帰ってから一週間しか立っていないのに、会えない時間が思いを募らせているような気がする。

『ところで伝えたい事が…』

ヒョルが話しかけたとき、彼の携帯が鳴る。

『ごめん、雪、時間ある時またかけるから』

…通話は終了した。

ヒョル、改めてみるとかっこいいなぁ。

でも、これで会いたいときいつでもヒョルの顔を見ることができる!

世の中の技術進歩に感謝!!

でも…

とりあえず眠いから寝よう…

今日はヒョルの夢見れるといいなぁ


起きたのは朝の?9時だった。

今日の休みは特に予定も立てておらず、何をしようかとぼーっとしている。

予定はないが天気がいいのに家にいるのはもったいないので出掛ける準備をしてみた。

朝ご飯兼昼食はどっかで食べるとして…

車を走らせる。

周りの景色は紅葉も終わりを迎え、寒々しいものだ。

「やっぱりこの季節は温泉でしょ!」

独り言をつぶやき、何度か行ったことのある温泉へむかう。

車で1時間、廃校を利用して建てられた温泉施設についた。

平日のせいか、人もいなく貸切状態だ。

熱めのお湯が体にしみる。

はぁー

最高に幸せを感じる瞬間。

風呂場の縁に寄りかかりぼーっとする。

今の仕事に就いてから温泉へよくいくようになった。

精神的にも体力的にもキツい仕事だが、好きだ…

けれど、年齢と共に体力がついて行かなくなる。精神的にやられるときもある。

温泉は私の癒やしなのだ。

五分ほど入った後、大浴場をでて露天へ浸かる。

冷たい風と温泉の熱さがちょうどいい具合だ。

そう言えば、ヒョル達とも温泉いったよな…

あの時はすぐにでてきたから癒やされるなんて事もなく。

私は一人思い出し笑いをする。

おばちゃんたちが入ってきてでてきたんだっけ、顔赤くして…

(2人きりのデートが実現するのはいつかな)

すでに思い出となったこの間の出来事を考えながら、今度ヒョルに会えたときどこへ行こうかと思い悩むのも楽しかった。


1時間くらいたっただろうか、私は温泉を後にし、帰路へつく。

途中、ヒョルから電話がかかってくる。

通話をスピーカーに切り替え話す。

「どうしたの?」

いつも日中は忙しくなかなかかけてこないヒョルが、電話をしてくるのは珍しい。

「聞いて下さい!私の作った曲が映画の主題歌に決定しました!!」

ヒョルは嬉しさを押さえきれないほど興奮し、早口で話しまくる。

「あぁなんて幸運でしょう。雪に会ってから良いこと沢山起きます!雪は幸運の女神です!」

え、いや、女神様はおばちゃんじゃないし、ただ、単にヒョルの実力ではないだろうか…?

とりあえずそうは思ったが言うのはやめた。

「すごいね!私、必ず聴くから。その映画も見に行く。…あ、日本でやるかな?」

「日本でも上映するはずです。」

ヒョルの声のトーンが落ちた。

「はず?」

「まだ…クランクインしてません。上映しても今から6ヶ月後くらいになります。」

まだまだ先の話なんだぁ~

「いいね、6ヶ月間楽しみを持てるんでしょ(笑)」

私の返答にヒョルは喜んだ。

「そう考えれば、映画が始まるまで雪が映画にふれるたび、私の事思い出してもらえるんですね!本当は早く聴いて欲しいけど、6ヶ月後まで楽しみに待ってて下さい!あ、そろそろ移動の時間なので夜また電話します」

ツーツーツ

一方的に切られた…

本当にすごい人だ。

そんな人と私は一緒の時間を過ごしたのだろうか。

会話の次元が違いすぎて現実味がなく、常にこれがリアルに起こっていることなのかすら疑ってしまう。

もしかしたら私は精神的に病んでて憧れが妄想になり、頭を侵しているのではないかと…

そんな事考えても仕方がないのだけれど。

でも一体どんな映画なのだろう。

私は六ヶ月後を楽しみに車を走らせた。


その夜、ヒョルからは連絡が来なかった。

こちらから電話をしようかとも思ったが、なんとなく電話も出来ず、もしかしたら着信があったのかもしれないと、何度も携帯を確認した。

嫌になってしまう…

明るくて、サバサバしてる雪さんが、恋をしたとたん暗くて、ネガティブな女になるのがとても嫌だ。

それは私が恋をすると必ずセットでくっついてくるものだ。


次の日もその次の日も連絡はなかった。

(いいよね、彼女なんだから電話くらいしても…)

私は思い切って電話をかけてみた。

コールは10秒程鳴ったとき、留守番電話に切り替わった…

泣きたくなるような不安におそわれる。

その直後、すぐにヒョルから電話がかかってきた!

「もしもし!ヒョル?!」

すぐさま電話にでる

「雪?どうしたの?」

…ヒョルは私と毎日電話しなくても平気なんだ。

彼の第一声でそう感じた。

「あ、いや、何してるのかなって…」

あなたの声が聞けなかったから寂しいなんて…言える年じゃない。

「仕事が忙しくなってきて今もTV収録してます。休憩中だったからちょうど良かった」

「そっか…ごめんね、用もないのに電話して…それじゃまた。」

なんだかいたたまれなくなって電話を切ってしまった。

私とヒョルを阻むもの…

それは私の弱い心と距離

離れている距離じゃなくて、お互いの生活の距離…

わかって、理解してあげれるだろうか。

自分のわからない世界に生きている人、自分のわからない風習で育った人。

私の不安は加速して大きくなり、恐怖に変わりそうだった。





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