8月22日-5
悪ィが、ココから先は苦し紛れの文章だァ!
「待てよ、シキ!」
くそっ、結構足速かった。
息を切らしながらも追いついた俺は、シキの肩を掴み、止まらせる。
「………何だ?」
振り向いたシキの返答はじつにあっさりとしていた。
何故アタシを追ってきた? 何か用なのか?
それを一気に凝縮して、俺に問う。
つーか、何だ? じゃねぇーだろ。
「どこに、行くんだよ?」
「さぁな、それはアタシも分からない。取り敢えず勘で動いてる」
なんて適当な。それでいて俺を充分にイライラさせる答え方だこと。
俺が訊いてるのはそういう事じゃねぇ。
「何が目的で動いてるか訊いてるんだよ」
「原因を潰しに行くだけだ」
単調に答えるシキに、また俺はイラつく。
原因………多分、さっきの園塚の怒声の原因の事だろう。
つまりは今この建物で起こった事態の根源。まあ、何が起こったかはまだ知らないが。
シキはその根源を潰しに行くという。
なんてバカな発言だろうか。いや、普通に考えれば最も適する発言か。
【蒼い死神】と呼ばれ、生死を自在に操る力を持っている少女。
緊急時にそこに駆けつけるのは当然な事なのかもしれない。
ただ、俺の勘に基づいて判断したらバカな発言に変わるだけ。
もしかしたらバカは俺の方かもな。
でも、
「お前の言う原因が、怪物………オトアだったらどうするんだよ?」
なんとなく嫌な予感がして堪らない。
「………その時は、その時だ」
「なら行かせられない。避難するぞ」
俺はシキの手を掴み、今まで来た道を戻ろうとする。
が、シキはその手を振り解く。
「……避難するぞ、シキ」
「お前は先に行け」
………………………………………………………。
長い沈黙が流れる。
コイツ……、最初からオトアと対峙する気だったのか。だから俺に何も言わずに行ったわけだ。
ふざけやがって、このバカは。
そんなの見殺しみたいな事、俺が出来るわけないって知ってるだろ。
「小月、さっきお前に言いそびれた事があったな」
沈黙を先に破ったのはシキだった。俺はまだ自分の気持ちを言葉に出来ないでいたからだ。
「アタシはお前を足手纏いだと思っている」
…………ヤベェ、心が挫けそうだ。
直接本人から言われると、死にそうなくらい、傷付く。
しかもこんなシリアスな場面で。後々、冗談とかで済まされる場面でなくて。
うぅ、泣きそう。
「だから、これ以上アタシに関わるな」
「………嘘は止めろよ」
シキの声が若干震えていた。本当にほんの少しだけ。
本当に、少しだけ。仮面を被って。
「………………そうか。バレたか」
シキは自虐気味に微笑むと、
「ならここから先は嘘は無しだ。正直に話し合おう」
意味の分からない提案をしてきた。
「ああ」
仕方が無いから俺はその提案に乗る。
「お前はアタシが怖いだろ?」
直後、後悔しそうになる。またその話をしなきゃならんのか。
「それは………」
さすがに師匠の時みたいに簡単に口に出来るわけが無い。その力が怖い、なんて。
本人の前で、そうそう簡単に言えるものではない。
「はは、さすがに本人の前じゃ答えにくいよな。………アタシは怖いんだ、この力が」
そう言って、シキは掌に蒼い炎を現す。
「生物を一瞬で殺せる力。生物なら何でも蘇らせれる力。まるで神様みたいな力がな、怖いんだ。まるで自分が怪物になったみたいで」
…………………あぁ、だから師匠はあの時、怪物みたいって言ったのか。
確かにあの人がシキに対して怪物みたいなんて思うわけないよな。
あれは、シキの言葉を借りて言ったのか。
くそっ。
次にシキが言う言葉が分かっちまった。
「怪物の相手を出来るのは、怪物しかいないだろ?」
………………………………ちくっ、しょう。
違う、って事は分かってる。シキは怪物なんかじゃない。そんな事は分かってる。
だけどそれを言葉に出来ない。適する言葉が見つからない、分からない。
すぐに否定されてしまうから。
「多分、お前の予想は正しい。この事態の原因はオトアだ」
シキは俺に背を向ける。このままじゃ、行ってしまう。
「園塚に伝えろ。逃げろ。一時間程度なら時間稼ぎできる、って」
「待てよッ!!」
呼び止める。振り返る。
振り返った瞬間、俺の思考は真っ白になる。
泣いていた。誰が? シキが。
「……アタシは、な」
シキが口を開く。何だ? 嫌だ、聞きたくない。
これを聞いたら、シキが本当に遠くに行ってしまう気がする。
嫌だ、それは。
嫌だ。まだ俺はお前の傍に居たいんだ。
「……アタシはお前に言いたい事が沢山有った!」
シキの声は泣いてるせいか、痛々しい程、儚かった。
そして俺は叱られている子供のように、その言葉を聴き続けるしかなくなっていた。
「アタシはお前と行きたい場所も沢山有った! アタシはもっと沢山お前と過ごしたかった!! ………………でも、ここでお別れだ。今まで楽しかったよ。ありがとう小月」
直後、俺の身は蒼い炎に包まれていた。
何でだよ、シキ。
…………………………何で、そんな事言うんだよ。
活動報告のほうにも書きましたが、NIOSEはちょこっとストックが溜まりました。
つっても、残りストック2個なんですけどねwww
それで、活動報告の方だけだと、ユーザーしか書き込めないんですよ。
居ないとは思いますけど、ユーザー登録をしてないここまで読み切っている勇者の方々の為に、募集場所を変更します。
場所は、このNOISEの感想欄。どうせ、まともに使われてませんから大丈夫。
それに感想欄ならユーザー登録なしで書き込める。
つーわけで、次回の更新日時で、何かご要望があれば感想欄に書いてください。
感想欄に何も書かれなければ、更新はしばらくしません。メンドイから。
ストックは一応あるので、遠慮は無しで書いていいですよ