8月22日-3
文章下手っていう事は分かり切ってると思うのでこれからは謝りませんよ。
自責任です。ここまで読み進めた読者が悪い。
「おい、シキ」
あの後、師匠と【とある交渉】をしてシキの居場所を聞きだし、ベットから抜け出して走ってその場所まで行った。
だが、すでにシキはそこには居らず、なんやかんやで10分間、建物の中を駆けずり回り、やっとシキを見つけた。
声を掛けられて振り向いたシキはどこか思い悩んだような表情で、俺を見た瞬間、目を見開き、
「小月ィィィィィイイイイイイイイイッ!!!!」
「ぶぎゃっ!?」
助走ありのドロップキックをわざわざ俺の顔面に決めやがった。
軽く数メートル吹き飛んだ俺は、激痛がする鼻を押さえながらシキに猛抗議しようと声を上げる。
「いきなり何すんじゃー!」
「黙れクソバカ小月が!!」
シキの一言に俺の声は一蹴され、俺には発言権が無くなった。
わぉ、マジで怒ってらっしゃるよシキさん。
「………………」
「…………………………」
しばらくの重い沈黙。それだけで嫌なほど怒りが伝わってくる。
……………………………………。
重い、重すぎる。なんか進展しないかな。
このままじゃ俺が重圧で死んじまうよ。
「あ、あのー………………………シキさん?」
「…………すまない」
重すぎる沈黙を破ろうとした俺にシキは謝ってきた。
ちょっと、逆じゃね?
「アタシのせいだ」
いやだから、さすがにそれは逆だって。
「アタシのせいでお前は――」
「俺が悪い、ごめん」
素直に言い、頭を下げる。
四の五の考えずに、言葉に出す。師匠に言った教え通りに行動してみる。
「違う、全ての起因はアタシだ。アタシがすべて悪い」
………何言ってんだ、こいつ?
あからさまに、俺が悪いだろ。勝手に暴れたのは俺であって、シキに悪い所は一切ない。
なのにアタシが悪いなんて、バカだろ。
「すまない」
「てい」
俺は起き上がり、謝ってきたシキの頭に軽く拳骨をぶつけた。
「いたっ」
「お前バカだろ………いいかシキ。世界中の誰がなんて言おうが俺の気持ちは変わらない。俺が勝手に暴れたのは俺の責任であって、シキは一切悪くない」
「だけどっ」
「だからよー、お前がいくら自責の念を感じようと俺には関係ない。シキは悪くないって俺が言ってんだから、俺の中ではそういう事になってるんだ」
一々説明してやんなきゃいけないほど、面倒な奴だったっけ?
「お前が謝る時は今じゃない。俺にいきなり暴力を振った時とか誰かから金を貪り取った時とか、そういう時にお前は謝るべきなんだ」
「でも………」
「シキ、いいか? お前がもしどうしても俺に謝りたい時は、そういう時にまとめて謝ってくれ。じゃないと……デザート買ってやらないぞ」
「………アタシをバカにしてるのか?」
「帰りにショートケーキ買ってやるって言ってんだ。そう怒るなよ、むしろ感謝しろ」
むくれるシキに対して俺は笑って言う。
結局、雑音拒絶が有ろうが、黑鴉を持とうが、今の俺はシキを助ける事は出来ない。
なら少しでもシキの傍に居て、小さくてもいいからアイツの支えとなってやる。
今の俺にはその程度しか出来ないけど、それでも俺はシキの傍に居たいんだ。
だから俺は気休め程度の言葉しか掛けられないけど、それでも気休めにでもなるのなら。
俺は言う。自分の本心であろうが、嘘であろうが。
シキは若干俯きながらこっちに歩いてくる。何か言う事でも考えてるのかな?
俺の真ん前まで来たシキは、
「んッ!!」
俺の顎に見事に頭突きを決めてくれた。
このヤロウ、デザート買ってやらないぞ。
っていうか俺、今日はよく暴力という人災に遭う日だな……………。
「クソバカ小月の分際でアタシに説教か?」
「おバカなシキさんには分からなかったか?」
「いい度胸だな」
ニタリと笑ったシキが異常なまでに不気味だった。
コイツ、何を言い出すつもりだ?
「謝るのは止めてやる。その代りちゃんとお前の全財産分、ショートケーキをアタシに食わせろよ」
「……………あいよ」
俺は少し笑いながら、シキの言葉を了承した。
ところでシキは知っているのだろうか?
俺の全財産が20円だという事を。
「………何で笑っている?」
シキはそう言いながら俺の顔を睨み付けてくる。
ついつい表情が綻んでいたみたいだ。
「因果応報って言葉を思い出してな」
そう。俺の残金が20円という事態を作り出したのは他ならぬシキだ。
ご利用は計画的に、ってやつだな。
「シキ、ちゃんと自分の言ったこと覚えておけよ?」
「ん? あぁ」
何かが引っ掛かるのか、歯切れの悪い言い方をしたシキであった。
そしてそんな様子のシキを心の中で大爆笑している俺がいた。
まあこれは、仕方が無いだろう。
後々、自分の言った言葉で奥歯を噛み締めむくれるシキを想像したら、笑いが込み上げて来るんだから。
小月ボッコボコwwwwwww