狐狩り-6
どうにか連日更新が出来た・・・・。はぁー。
「御馳走様でした」
「お粗末さまでした」
・・・・なんか、この二人のこういうやり取りを見ると、兄妹とか親子に見えるな。
っていうか、御馳走様、ってシキえらいな。俺は最近一切言ってないぞ。
「食器片付けます」
まあ、人様の家で御馳走になったんだ。洗い物とかはしとかないとな。
俺達は鑑師匠の家に泊めてもらう事が出来た。
っていうかむしろ、『シキ、泊まっていてくれよぉー。お願いだからぁー、頼むよぉー。あ、小月君。泊まるんなら布団は上の階にあるから。シキぃー、泊まっててくれよぉー』ってな具合に懇願された。
俺は別に枕すら有れば床に直接寝れるのだけど、シキはそういう訳にはいかないだろう。
だからさっきまで、上の階にあった布団を二人分敷いて(尚、俺はシキと同室で寝ない)、鑑師匠が作ってくれた夕飯を食べ、今に至るわけだ。
「あ、いいよいいよ。僕がするから」
「いえ、この位の事はさせてください」
俺は食器を片付けながら言う。
ちなみにシキはテレビを見出していた。片付けくらいはしろや。
「むしろ、お風呂のほうを頼みたいんだ」
「あ、じゃあついでに風呂も洗っておきますよ。師匠はゆっくりシキに礼儀ってものを教えといてください」
物凄く厳しく、シキに教えといてください。人様の家にいる時の礼儀作法ってものを。
「いや先に、お風呂を洗って沸かしておいてくれないかな。じゃないとシキが信用ならないって言って入らないんだ。あ、ちなみに僕達はシャワーだよ」
「・・・・・じゃあ、風呂を沸かす必要ってあるんですか?」
俺は自然と食器を洗い始めていた手を止めて、鑑師匠に問う。
「あるよ。シキが入るから」
「じゃあ、なんで俺達はシャワーなんですか?」
「少女が入った湯船に入るなんてマネは僕の流儀に反するからね。その逆も然り、僕らが入った湯船に少女が入るなんて事は絶対に起こしてはならない」
・・・・・・この人・・・本当に凄いな。
俺はそんなの気にした事すらなかったぞ。
「でも小月君はそういうのを気にしないみたいだね。だから君からほんの少しシキと義妹系統の匂いがするわけねぇー」
アンタは一体どんな嗅覚してんだよ!
「ま、僕は自分の流儀を自ら破ることはしないからね。お風呂、洗って、沸かしてきてくれるぅー?」
「・・・・はい。分かりました」
鑑師匠は、時々人間という枠を超えてると思うんだ、俺は。
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シャワーを浴びてきた。シキが風呂に入る前に。
鑑師匠は工房に籠りだした。シキも今は風呂に入っている。
俺はぼけーっ、とテレビの画面を見ていた。
考え事をしてたのだ。
今日見た10歳程度の女の子。あんな歳で裏の世界に関わっていた。
シキも同じだろうか?
幼い頃から裏の世界に関わっていたのだろうか?
【蒼い死神】とまで呼ばれる彼女。
年齢までは知らないが、少なくとも、俺なんかよりも長く裏の世界に関わっている。
彼女も幼い頃から、物心つく前から、裏の世界に関わっていたのだろうか?
幼い頃から、殺人兵器として、蘇生装置として、上から使われていたのだろうか?
だから彼女は時々人形のように表情をなくすんだろうか?
だったら俺は、彼女に何かしてやれる事は無いんだろうか?
「寝てないか? 小月」
「ああ――」
後ろから聞こえてきた声に俺は振り返りながら答える。
「――何か用グハッ!!!?」
シキに殴られたわけじゃない。俺が勝手に自滅をしただけ。
いや、だって、さっきまでシキの事を考えていたんですよ。
変な言い方をしますけど、頭の中がシキで一杯だったんですよ。
だから、自滅をしても仕方が無いんですよ。
だって振り返ったら、半袖でハーフパンツで濡れ髪のシキがいたんですもん。
俺は悪くない。
片目を瞑ってバスタオルで頭を拭きながら俺に話しかけてきたシキが悪い。
・・・・・すいません。言い訳です、はい。
「・・・? 何をしている」
あからさまに目を逸らしてる俺に、シキが問う。
「時には自分の醜さから目を逸らしたい時もあるんだよ。それで、何の用だ、シキ」
「奴らが網にかかった」
「奴ら?」
「アタシ達が狩る対象だ。奴らがこちらが張った網にわざわざ掛かってくれた」
「そんな網、いつ仕掛けたんだよ」
「お前が幼女相手に苦戦を強いられていた時だ」
「幼女と言うな!!」
俺が犯罪者か変態かに見えちまうだろうが!
せめて少女だ! 少女だったらセーフなんだ!
幼女はアウトなんだ!
「そんなの今はどうでもいいだろうが。とにかく行くぞ」
「どこに?」
「今日いた海辺に、だ」
どうしましょうね、この後の展開。
まあ、なるようになるか。